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ケンコーコム、スイッチ直後品目など医薬品のネット販売規制を巡り国を提訴

 ケンコーコム株式会社は27日、一般用医薬品の一部を「要指導医薬品」に指定し、インターネット販売を禁止する改正薬事法の規定について、指定差し止めを求めて東京地方裁判所に提訴したと発表した。

 改正薬事法では、「リアップX5」「ロキソニンS」などの医療用医薬品から一般用医薬品に転用されたばかりの「スイッチ直後品目」などを「要指導医薬品」に指定し、転用後原則3年間はネット販売を禁止することが盛り込まれた。

 ケンコーコムでは、この改正薬事法が施行されれば、これまで問題なく販売できていた一般用医薬品の一部であるスイッチ直後品目等のネット販売が禁止されることになると説明。「要指導医薬品」という新たなカテゴリーを創設してそのネット販売を禁止することとした新薬事法の規定の違憲および審議会の指定の違法を理由として、これらの規定に基づく要指導医薬品の指定の差し止めを求めるとしている。

 ケンコーコムでは、第1類医薬品および第2類医薬品のネット販売を禁止した2009年6月施行の厚生労働省令を巡って、これらの医薬品をネット販売する権利があることの確認を求め、国を相手に提訴。2012年4月に東京高等裁判所がケンコーコム側の主張を認める判決を下し、2013年1月に最高裁もこの判決を支持。ケンコーコムに医薬品のネット販売権があることが認められた。

 この判決を受けた改正薬事法では、一般用医薬品は適切なルールの下でネット販売が可能だとしつつも、スイッチ直後品目や劇薬については他の一般用医薬品とは性質が異なるため、「要指導医薬品」に指定してネット販売を禁止すると規定。スイッチ直後薬品は原則3年で一般用医薬品に移行させ、ネット販売可能にするとしている。また、処方薬についても対面での販売を求め、ネット販売は禁止することが定められた。

 これに対しケンコーコムでは、処方薬をネット販売できる権利の確認を求めて、2013年11月に国を相手に提訴。さらに今回、スイッチ直後品目についても販売権の確認を求めて提訴した。

 ケンコーコム代表取締役の後藤玄利氏は、「報道によると6月にも新薬事法が施行され、要指導医薬品に指定された医薬品のネット販売が禁止される見込みです」として、「本来であれば、要指導医薬品について、仮に他の一般用医薬品とリスクの違いがあるのであれば、そのリスクの違いを十分に検討し、安全・安心なルールの下でネット販売する方法を議論するべきです。裁判所には、合理的・科学的根拠に基づかない要指導医薬品の指定を一刻も早く差し止めることを願います」とコメントしている。

(三柳 英樹)