テレワーク、空いた時間でなにしてる?
カーボンロードバイクにe-bike、タイプ別のオススメサイクルキャリアはどれだ?【ぼっち・ざ・ろーど!その3】
2025年7月11日 12:00
ダイエットのために自転車を始めた筆者だが、50歳にして人生初の自転車レース「Mt.富士ヒルクライム(通称:富士ヒル)」に参戦したのは、前回、前々回でお伝えしたとおり。自宅から遠く離れた富士スバルラインでの練習、そして本番と走るべく、導入したのがクルマに自転車を積むサイクルキャリアだ。
実はこれが大正解で、サイクルキャリアを導入したことで走る世界がめちゃくちゃ広がった。さらに家族の自転車も積めるようにしたことで、最近では家族3人でサイクリングに出かけている。5歳の娘も富士ヒルのコース(の一部)を走ったり、山中湖畔を一周したりで、「今度は山中湖を2周走る!」「今度は足をつかないで登る!!」とやる気を出してくれている。これまで1人で気ままに走るサイクリングが趣味だったが、最近は家族で出かけるサイクリングがもうひとつの楽しみになった。
そんなわけで家族にも非常に好評のサイクルキャリアだが、なかなか種類が多くシステムが複雑、そのわりに情報が少なくて、選ぶのは結構大変だった。そこで、本稿では、クルマの屋根の上に自転車を積むサイクルキャリアの選び方について、掘り下げていきたい。
セダンでも自転車を積みたい
まずクルマに自転車を積む方法だが、クルマのタイプによっても様々だ。
ミニバンなどだと、シートレイアウトのアレンジだけで、タイヤを外さずに自転車をそのまま積める場合もある。ただし、7人乗りだと積めるけど8人乗りはダメとか、26インチ車は積めるけど、タイヤ径の大きいロードバイクは、タイヤを外さないとダメ、とか、積めるけど2列目シートまで倒して2名乗車になってしまうなんていう場合もある。
一方でコンパクトハッチバックでも、3名乗車で2台積んでいる人を見たこともある(前後輪とも外していたが)。おそらくフレームのサイズも様々だし、荷室の高さやルーフ部分の形状、リアゲートが起きているか寝ているかなど、そういったちょっとした違いで積めたり積めなかったりするので、なかなか自転車を積めるクルマを選ぶのは難しい。
そして筆者が乗っているクルマはというと、なんとセダンだ。想像のとおり2台3台なんて積めるはずもないが、幸いアテンザという国産車としては大きい部類でトランクも広く、前後輪とも外せばなんとか1台積むことはできた。ただし、本当にギリギリ過ぎてディレーラーと呼ばれるギアを変速するためのパーツがぶつかってしまう。するとその後変速が不調になることもあるし、そもそもディレーラーは壊れやすい部品なので、やむを得ない時以外はトランクに入れての移動は避けたいと思っていた。
そんなわけで、セダンでもロードバイクを積める方法として、サイクルキャリアを考えたわけだ。
サイクルキャリアにもいくつか種類があって、セダンだとトランクにひっかけるようなタイプもある。ただ、アテンザはトランクの強度が低いようで、いくつか製品を調べてみるも、アテンザは適用外。
あとはヒッチメンバーと呼ばれる、要はトレーラーなどを牽引するための部品を付けて、そこにサイクルキャリアを付ける方法もある。探してみるとアテンザ用のピッチメンバーは見つけられたが、適合するのはガソリン車のみ。筆者のアテンザはディーゼルなのでこれも使えず。
ちなみに、上記2つのサイクルキャリアの場合、自転車を横向きに積載する必要があって、そのときに車幅より自転車がはみ出してしまうと、違反になってしまうので気をつけて欲しい(その場合はタイヤを外すなどして対応)。
というわけで残されたのはルーフキャリアのみ。ただアテンザのセダンにはルーフレールがない。中にはフィックスポイントといって、ルーフモール部分にフタがあって、開けるとルーフキャリアを取り付けられるようになっている車種もあるが、アテンザセダンにはそれもない。
あれ? ルーフレールもないクルマにルーフキャリアって装着できるんだっけ?
思い返してみれば、筆者の周りでルーフキャリアを付けている人は、みんなルーフレール付きのワゴン車ばかり。もしかしてルーフレールが無いと付かないのか?
結論から言えば、ルーフレールがなくても問題はない。キャリアメーカーでは、車種ごとの専用のステーをラインアップしていて、それを使えばセダンでもルーフキャリアを取り付けることができる。
もちろん専用ステーなので、すべてのメーカーが全ての車種で対応というわけではないが、筆者の乗るアテンザ用のステーはカーメイトのINNOブランドでラインアップされていた。ということで、アテンザの屋根の上に自転車を積むべく、計画を進めていく。
ベースキャリアの選択肢は3タイプから
さて、ルーフキャリアだが、自転車以外にもいろいろなものを積むことができる。街中でもスノーボードやサーフボード、ルーフボックスなどを積んでいるクルマを見たことがあるだろう。
というのも、まずはベースキャリアと呼ばれるバーを装着し、そのバーに対して、ルーフボックスや、スノーボードなどを積むためのアタッチメント取り付けることで、さまざまな使い方ができるようになっている。
なので、ルーフキャリア選びは、土台となるベースキャリア選びと、その上に付けるアタッチメント選びの2ステップが必要になる。
ベースキャリアのステーやバーの長さなどは車種によって異なるため、クルマを乗り換えたら買い換えが必要になるが、その上に積むアタッチメントはそのまま使い続けることが可能だ(サイズなどの制限はあるが)。
ということでまずはベースキャリア選びから。こちらはルーフキャリアのメーカーサイトなどで、車種から適合する製品を選ぶことができる。ただし、必ず適合する製品があるとは限らない。筆者のアテンザの場合、PIAAでは適合製品がなく、カーメイトのINNOとThuleで適合製品が見つけられた。その上で、さらにいくつかの種類から選ぶ必要がある。
筆者はカーメイトのINNOのベースキャリアを買ったので、以降は主にINNOのケースを元に説明するが、まず違いとなるのが、バーの形状で、スクエアタイプとエアロタイプがある。
スクエアタイプはその名のとおり、スクエアの断面をしている。オーソドックスなもので、価格的にも手頃。一方のエアロタイプは翼断面形状をしていて、走行中の空気抵抗や風切り音の低減が期待できる。
また、スクエアタイプの場合、ステーの外側までバーエンドがはみ出すスルータイプが普通だが、エアロタイプの場合、ステーの内側に収まって、バーエンドがはみ出さないフラッシュタイプと呼ばれるものもある。バーエンドが飛び出すスルータイプと比べ、フラッシュタイプのほうが、クルマに装着したときのデザイン的にも収まりがよくなるが、一方でバーの長さがそれだけ短くなってしまうので、積載できるものやアタッチメントに制限が出やすくなるし、車体の中央寄りにしかアタッチメントが付けられなくなるので、積載のしやすさという部分でも若干悪くなる。
そして筆者だが、まずエアロタイプのバーを選ぶのは最初から決めていた。
というのも、以前によく仕事をしていたカメラマンのクルマに、スクエアタイプのベースキャリアが付いていたのだが、これが走行中にかなりうるさかったのだ。その方は冬の間だけキャリアを付けるのだが、キャリアを付けて走行しているときには、終始風切り音がしていて、かなりうるさい。その記憶があったので、自分で付けるなら少しでもノイズを抑えられるエアロタイプと決めていた。
そしてステーだが、これはスルータイプにした。というのも、将来的には娘も含めて3台の自転車を積みたいと考えていて、そうしたときに少しでも余裕があったほうがよいだろう、というのと、積みやすさという点でも、できるだけ車体の外側にアタッチメントがあったほうが、積むのがラクなのは間違いないだろうと思ったから。
もちろんクルマ好きとして見た目も大事なので、あくまで好みにはよるが、実用性という面ではスルータイプのほうがオススメだと思う。
INNOのサイクルキャリアは3タイプ
ベースキャリアが決まったら、次はアタッチメント選び。サイクルキャリアそのものをどれにするかだ。ただこれも、タイヤを押さえるもの、前輪を外してフォークで固定するもの、フレームを固定するものなど種類があって、どれを選べばいいのかが分かりにくい。
特にロードバイクだけなら簡単だが、クロスバイクや妻のe-bikeなども積みたいと思うと、どれが正解なのか分からなくなる。
なにか有益な情報はないかと、ネットで調べてみたのだが、これが全然情報が見つからない。車載方法にどんな種類があるか、という情報はあっても、具体的な使い勝手や、どんな自転車が積めるか、といった情報が見つけられない。
まぁ悩んでいても仕方が無いし、世の中には筆者と同じ悩みを持っている人もいるかもしれない。ということで、カーメイトに連絡して中の人にアドバイスをもらうことにした。
早速連絡してみると、まずはどんな使い方をするのかを聞かれたので、思いつく限りの条件を挙げてみた。それが次の5つ。
- 絶対条件としてカーボンフレームのロードバイクを積みたい
- 将来的には家族の自転車も積んで出かけたいので、最大3台積むかも
- 妻の自転車はビーチクルーザーのe-bike
- でもe-bikeは重いのでもう一台のクロスバイクを積むかも
- 娘の自転車はまだ小さくトランクに入るので、今は考えなくていいが、いずれ積むかも
思うままにいろいろと注文してみたが、結果なかなか悩ませてしまったらしく、最終的にはサイクルキャリアの開発担当者にまで相談がいくことになったそうな。なんかスンマセン。
でもって、いただいた回答としては、まぁやっぱりなかなか難しいと前置きをされつつも、カーボンフレームのロードバイクに一番オススメなのは、前後のタイヤを押さえる形状の「タイヤホールド3(INA396)」とのこと。
というのも、同社ではもともとフレームを固定するタイプのキャリアを用意していたが、高価なカーボンフレーム車が増えてきた中で、フレームに傷を付けずに固定できるものを、と開発したのがこのタイヤホールドなのだとか。
キャリアと接触するのは前後のタイヤのみなので、ホイールをベルトで縛りつける必要がないのもポイント。ロードバイク乗りならご存じのとおり、実はホイールが結構お高いので、できるだけ傷は付けたくない。
それでいて前後輪ともタイヤを外さずに車載できるから、積載時もカンタンそうだ。また、前後輪の2箇所で押さえるので、フロントフォークだけで支えるのと比べると、フレームに対する負担が少なそうでもある。
それとタイヤホールド3は、別売の「Tスロットオプション(IOP30)」でTスロットにも対応させられる。Tスロットとは、エアロタイプのバーの上部に設けられたスロット(溝)で、その溝に引っかける形でアタッチメントを固定できるというもの。通常だとベルトなどでバーを巻いて固定するので、ステーのある位置では固定できないのだが、Tスロットであれば、本来ステーがジャマで固定できないバーの端っこまで使えるので、積載性も上がるし、サイクルキャリアを複数付けて、多台数積むときに有利になる。
そんなわけで、優等生のタイヤホールド3なのだが、タイヤを押さえる構造上、フェンダーがある自転車は積むことができない。つまり妻のビーチクルーザーは積めないということ。加えて、筆者のもう1台の街乗り用クロスバイクも、リアキャリアを付けているので、これが干渉する可能性もなくはない。
その点でオススメなのが「マルチフォークロック2(INA394)」だ。
これは、フロントタイヤを外して、その車軸部分で固定するタイプ。ロードバイクやクロスバイクの場合、クイックリリース(あるいはスルーアクスル)という機構で車輪をフロントフォークに固定するようになっているのだが、それを使ってキャリアに固定するというもの。
この場合、フロントタイヤを外す必要はあるが、フェンダー付きの自転車でも問題なく搭載することができる。妻のビーチクルーザーはクイックリリースタイプなので装着できるし、筆者の街乗りクロスバイクももちろん対応する。
マルチフォークロック2のメリットは、積んだときの全高が、タイヤホールドより少しだけ低くできるところ。それと、タイヤを外す分、自転車を持ち上げるのがラクになる。フルカーボンのロードバイクはタイヤ付きでも軽いが、e-bikeのビーチクルーザーは激重なので、ここは結構重要だ。
ただしその都度前輪の脱着が必要が面倒だし、主にフロントフォークだけで支える形になるので、走行中の自転車への負担は大きそうではある。
最後に紹介してくれたもう1タイプが、もっともお手頃価格な「サイクルアタッチメントST(IN385)」。
これはフレームをホールドして固定するタイプで、タイヤは前後輪とも付けたままだし、フェンダーなどがあっても問題無い。シティサイクル(いわゆるママチャリ)のようにダウンチューブ(クランクとハンドルポストを繋ぐ部分)が湾曲しているタイプだと固定できないのと、カーボンフレームには対応しないが、前輪を外すのも大変な子供用自転車などは積みやすそうだ。
ただしこのサイクルアタッチメントSTだけは、スクエアベースのみの対応とのことなので、エアロベースを選ぼうと思っている筆者には適合しない。
とはいえ子供の自転車を積むのにはちょうど良さそうだし、いずれエアロベースにも対応できる後継モデルとか、変換アダプターなどが登場しないか注目しておきたいところだ。
カーボンフレームにはタイヤホールド3がオススメ
というわけで、エアロベースを選びたい筆者にとっては、タイヤホールド3かマルチフォークロック2の2択だ。
カーボンフレームのロードバイクでも、フェンダー付きのビーチクルーザーでも、どちらでも使えるのはマルチフォークロック2となるが、タイヤを外さずに積載できて、フレームへの負担が少なそうなタイヤホールド3も使ってみたい。
なので、その2種類を1つずつ付けてみることにした。予算的にはマルチフォークロック2を2つのほうが安く済むが、今後クルマを買い換えたとしてもサイクルキャリアは使い続けられるし、前輪を外さないでいいというのはやっぱりラクそうだ。
それと、体験談として、外したカーボンホイールをクルマの後ろに置いたのを忘れて走ってしまい、自分で踏んで粉砕したというのを聞いて、カーボンホイールに比べればタイヤホールド3は安い、という気になったというのもある。
それと、それぞれの使い勝手を知っておけば、記事のネタ的にも、また、将来3台目を買い足すときの基準としてもいいだろうと判断したワケだ。
結論から言えば、先の富士ヒルレポートでも書いたとおり、タイヤホールドはめちゃくちゃ便利だった。
積むのも降ろすのも10秒というレベルで、降ろしたあとに変速やブレーキの調整が必要になったことも一度もない。他のレース参加者は仲間内で楽しそうに話しながら準備しているが、こちらはぼっち参戦で話し相手もいないので、駐車場に着いたらすぐに出発できて、撤収もあっという間というのは本当に助かる。レースの順位は下位だったが、準備と撤収の速さだけならプラチナリング級であった。
積載の仕方は動画を撮ったのでそちらをご覧いただきたいが、手順としてはこうだ。
まず、折りたたまれたフロント側のアームを起こし、続いてキーロックを解錠して中央のラチェットレバーを解除。そうするとリア側のアームが起こせるようになるので、こちらも全開まで起こす。
次に自転車を持ち上げて積む。筆者の場合は、右手でフロントフォーク、左手でシートステー(シートポストの付け根とリア車軸を繋ぐ部分)をつかんで持ち上げて、前後アームの間に入れる。筆者のロードバイクだとそのままでは入らなかったので、入れるときにハンドルを少し切った状態にして差し込むような感じだ。
自転車が間に収まったら、まずは前側に移動させて、フロントアームにタイヤをはめる。この時、ちょうどいい位置に来るようにフロントアームのタイヤアジャスターを調整しておく必要があるが、これはタイヤの外径によるので、最初に合わせてしまえば、タイヤサイズが変わらない限り調整は不要だ。
タイヤアジャスターにはちょうどロードバイクのタイヤがはまるぐらいの溝があるので、そこにタイヤをはめれば、手を離しても基本的にはバイクは倒れなくなる。
つぎにリアクレードルという、リアタイヤが乗る部分を前後に調整して、リアタイヤが真上にくるようにする。これも最初に調整すれば、乗せる自転車のサイズが変わらない限り調整の必要はほぼない(ずれたら調整する程度)。
続いてリアアームを倒して後輪に押し当てる。ここでもアームが良い角度になるようタイヤアジャスターを調整。こちらも乗せるバイクサイズが同じなら、調整が必要なのは初回だけだ。
最後にリアアームを後輪に押し当てながら、ラチェットレバーを押し下げて、ガチっとロックし、施錠して完了。ラチェットレバーを押し下げるのにそれなりに力がいるが、このときの力でリアアームが閉じようとして、自転車を前後から挟み込んだ形で固定される仕組み。なので積むときにはタイヤに十分な空気が入っている必要がある。
なお、ワイヤーロックも付属しているので、自転車に巻き付けて、ラチェットレバーで一緒にロックすることも可能だ。
文章にすると長く感じるが、毎回同じ自転車を積むのであれば、タイヤアジャスターの位置調整などは不要なので、ほんとうにあっという間だ。それでいてしっかりと固定される。
本当に外れないの? と不安に思う人もいるだろうが、聞いたところなんとテストでは200km/hでの高速走行やスラローム、急ブレーキなども行って検証しているので、国内で法定速度内で走っていればまったく問題無いとのこと。
ちなみにタイヤに空気が入っていることが大事と書いたが、仮に走行中にタイヤがパンクしたとしても、自転車が抜け落ちてしまうようなことはないという(ちゃんと検証しているそうです)。ただしホイールが傷つく可能性はあるので、すぐに停車してパンク修理するなどの対応をしてほしいとのことだった。
それとリアキャリアを付けたクロスバイクも積載してみたが、リアのアームの角度を少し広めにする必要はあったものの、リアキャリアに干渉することなく積載することができた。もちろんリアキャリアのサイズや、タイヤサイズにもよると思うので絶対ではないが、参考まで。
重めのアルミバイクにはフォークロック2もアリ
さて、もう一方のマルチフォークロック2だ。
こちらはフロントタイヤを外して、フロントフォークを固定する形になる。クロスバイクもビーチクルーザーもクイックリリースタイプだったが、アダプターを付け替えることでスルーアクスルにも対応する。
固定方法としては、前輪のフォークを軸のクイックリリース、もしくはスルーアクスルで固定し、後輪はクレードルという、タイヤのはまるお皿状の部分に乗せて、ベルトで固定する。
前軸のクイックリリース(スルーアクスル)の部分には、QRガードと呼ばれる、クイックリリースのレバーを回転させるのを制限する部品があって、それを閉じた状態でカバーを施錠できるようになっている。このQRガードがあることで、第三者はクイックリリースを回転させられないようになっていて、自転車の盗難対策になるということ。
実際にクロスバイクを積んでみると、やはり前輪がない分だけ持ち上げるのはラクになる。特に重いアルミのバイクだとこの差は大きい。
最初はリアタイヤの乗るクレードルの位置を合わせる必要があるが、一度位置を合わせておくと、次からは後輪で位置を合わせるとフロントフォークもちょうど収まるようになるので、がぜん積載がスムーズになる。
フロントフォークは専用のクイックレバーで固定する(クイックリリースの場合)が、このクイックレバーがよくできていて、レバーを倒した時にストローク量が大きいのか、それほどねじ込まなくても良い感じで固定できる。クイックリリースもメーカーによって善しあしがあるが、これは手応えも固定力もかなりいい。レバーを倒すのももさほど大きな力がいらず、それでいて一般的なクイックリリースより軸が太いのでしっかりと固定ができる。
あとは後輪のクレードルのベルトを使ってホイールを締め込む。ラチェット式になっているのでグイッと引っ張ればいい位置でロックされる。ただしカーボンホイールだとちょっと傷が心配かもしれない。
固定した状態でフレームを持って揺すってみると、タイヤホールドよりもガッチリ固定されている印象。タイヤではなくフォークをリジッドに固定しているのである意味当然か。といってもタイヤホールドが弱いということではなく、タイヤホールドのほうがゆとりがある、という感じだろか。荒れた道などを走ったときは、タイヤホールドのほうが自転車への負担は少ないと思う。
あと、タイヤホールドより、積んだときの全高が抑えられるのもメリットだ。カーポートによっては、車載したままでも車庫に入れられるかもしれない。我が家のカーポートだと、助手席側の屋根が低くなっているので、運転性側にマルチフォークロック2を付けて、自転車のサドルを一番低くしておけば、車載したままカーポートに入れられそうだ(現状は助手席側がマルチフォークロックなので試せていないが)。
ただしやっぱり面倒なのはフロントのタイヤを外す必要があること。外したタイヤはトランクに入れる必要があるし、さらにディスクブレーキ車の場合、キャリパーにスペーサーを挟む必要もある。タイヤやブレーキまわりを触ると手も汚れるから、クルマのハンドルを握る前に手を洗いたくなる。
このステップは降ろす時にも必要で、タイヤをトランクから出して、自転車を降ろして、ブレーキのスペーサーを外して、前輪を付けて、クイックリリースを調整して、また手を洗って、と。一つ一つはちょっとしたことではあるのだが、タイヤホールドのラクさを知っていると、この差は大きい。
それと先の体験談ではないが、確かに外したタイヤを忘れそうになることはあった。外したタイヤを脇においてまずは自転車を積んで……、とやっていると、積んだ自転車がちゃんとロックできているか、曲がっていないか、鍵は掛けたか、などをチェックしているうちに、すっかり外したタイヤのことが意識から飛んでしまう。これは本当にけっこう怖い。
ただ、アルミのクロスバイク、特に筆者のはリアキャリアなども付けていてそこそこ重いので、前輪を外した方が持ち上げるのがラク、というのはある。もちろん種類によるが、ホイールとタイヤ、チューブなど合わせれば、前輪だけでも1kg以上、場合によっては1.5kgぐらいにはなる。もちろん腕力には個人差があるので絶対ではないが、軽いカーボンバイクならタイヤホールド3、重めのアルミクロスバイクやMTBならマルチフォークロック2、というのが製品選びの目安になるんじゃないかと思う。
実際に走ってみたが、エアロベースは静か過ぎる!!
それと走行中の音だが、まずベースキャリアだけで走った場合だが、これがとんでもなく静かだった。
以前のスクエアバーでの経験があるので、ある程度の音は覚悟していたのだが、これが全然違いが分からない。厳密に言えばきっと音はしているはず、いや、するでしょう普通。と思うのだが、車速をあげればロードノイズも大きくなるので、それが風切り音なのかロードノイズなのか判断ができない。そういうレベルなので、ベースキャリアを付けたから不快、みたいなことは感じられなかった。これなら一年中付けっぱなしでも気にならないだろう。もちろんクルマの静粛性にもよると思うが、エアロタイプの恩恵はかなり大きいと思う。
次にサイクルアタッチメントを付けた場合だが、こちらは装着するとさすがに音がする。
最初にタイヤホールド3だけを付けたところ、わずかに「ヒュー」とか「キュー」という感じの音がし始めた。音量は小さくて、最初はエアコンのガスの音かとも思ったが、やはり風切り音のようだ。
そこでロードバイクを積んで走ってみたが、ロードバイクを積んだからといって音が大きくなる印象はなかった。もちろんこれは積む自転車のタイプにもよるとは思うが、積載していないときと同じような「ヒュー」というわずかな音だけがしている印象だ。
続けてもうひとつのマルチフォークロック2を付けると、風切り音が少し大きくなった。パワーウインドウを閉めたつもりがほんの少しだけ閉まりきっていなかった時のような、音質としては先ほどと同じ「ヒュー」という小さい音だが、聞き間違いではない、と明確に思えるぐらいの音量には上がった。
これまた自転車を積んでみたが、やはり自転車を積んだから音が大きくなった、という印象はない。自転車を積んでいても積んでいなくても同じような音の感じなので、アタッチメントのどこかの穴をふさげば消えるんじゃ無いか、と言う気はしている。
ただ、そこまでうるさいわけでもないので、まぁそのうち試してみよう、ぐらいでまだ手は付けていない。
サイクルキャリアでサイクリングの楽しみが広がる
最後に妻のe-bikeを積んだ話をしよう。結論から言えば、ちょいちょい大変ではあるけど問題無く積めている。
妻のe-bikeはビーチクルーザータイプで、フェンダー付きだが、クイックリリースなのでマルチフォークロック2に理論上積むことができる。
懸念していたのは重量なのだが、リアの荷台ごと子乗せシートを外し、バッテリーとメーターを外し、前輪を外したところで実測20kg。マルチフォークロック2の最大荷重は23kgなので、重量の問題は解消できた。世の中のe-bikeはスポーツ車タイプが多く、妻のe-bikeより軽い場合が多いと思うので、おそらく大半のe-bikeでも、バッテリーなどを外すことで積載できることと思われる。
ちなみにタイヤホールド2も最大積載重量は23kgなので、フェンダーがなく、軽量なe-bikeであれば、こちらでも積めるだろう。
とはいえ、積めるのと積むのとでは意味が違う。腕力には個人差があるが、20kgの自転車をクルマの屋根の上に持ち上げるのはかなり大変なので、e-bikeであれば、タイヤを外して少しでも軽くできるマルチフォークロック2のほうが相性は良いと思う。
それともうひとつ、妻のe-bikeには後付けで前カゴが付けてあるのだが、そのかごを支えるステーが、、マルチフォークロックのクイックレバーと干渉してしまった。ステーの先端が無駄に長いので、その部分を削り落とせば良さそうではあるが、今のところネジを外してステーをよけることで対処している。まぁネジ1本外すだけなのでさほど大変でもないし。
まぁさすがに重いからe-bikeを積むのはかなり大変ではあるのだが、それでも普段から走り慣れた自転車でサイクリングに出かけられるのはうれしいようなので、最近は毎週のようにe-bikeと自分のクロスバイク、トランクに娘の自転車を積んで遠征している。
筆者が富士ヒルに出たこともあって、娘も富士山に登りたい、というので、富士ヒルのスタート地点から料金所まで挑戦させてみることにした。距離としては短いが、勾配は7.8%とけっこうな急坂だ。たぶん途中で諦めるだろうと思っていたのだが、途中何度も足を付きながらだが、最後まで登り切ってしまった。
しかも坂を登り切って調子づいたのか、そこから忍野八海、山中湖まで自走。最後はヘトヘトで転んで泣くこともあったが、山中湖畔に着くと、ゴールできた達成感からかまた元気を取り戻していた。
父の影響もあって自転車好きの娘だが、どこまで走れるか、といったことは、帰り道のことを考えるとこれまでなかなか挑戦させられなかった。ただ、クルマに自転車が積めるようになると、そうしたことができるようになる。
この日も、妻と娘には湖畔で待っていてもらって、筆者が単身駐車場までクルマを回収に走った。こういうことができるのもサイクルキャリアがあるからこそ。加えてタイヤホールドなら自転車を積むのも数分で済むので、家族を待たせる時間も少なくて済む。
最初は富士ヒル参戦用として導入を決意したサイクルキャリアだったが、レースに向けてはもちろん、その後も大活躍している。最近走るルートがマンネリ化している人や、家族とサイクリングを行くには走れる場所が限られる、と感じている人など、サイクルキャリアがあると、かなり世界が広がりますぞ。
テレワークで余裕ができた時間を有効活用するため、または、変化がなくなりがちなテレワークの日々に新たな風を入れるため、INTERNET Watch編集部員やライター陣がやっていることをリレー形式で紹介していく「テレワーク、空いた時間でなにしてる?」。バックナンバーもぜひお楽しみください。