ニュース

ケンコーコム、処方箋薬のネット販売権確認を求めて国を提訴

 ケンコーコム株式会社は12日、医療用医薬品(処方箋薬)をインターネットで販売できる権利の確認を求めて、国に対する訴訟を東京地方裁判所に起こしたと発表した。

 政府は12日、一般用医薬品(市販薬)のインターネット販売のルールなどを盛り込んだ薬事法改正案を閣議決定し、国会に提出した。改正案では、市販薬のインターネット販売を認める一方で、医療用医薬品から一般用医薬品に転用されたばかりの薬は市販後3年間はネット販売を認めず、劇薬または毒薬に該当する「劇薬指定品目」はネット販売を禁止する。また、医師の処方箋が必要な医療用医薬品についても、対面による販売が必要だとして、ネット販売を禁止する。

 ケンコーコムは、2009年に一般用医薬品のネット販売を禁じた厚生労働省令の有効性について行政訴訟を起こし、2013年1月の最高裁判決で勝訴している。今回の訴訟については、薬事法改正の動きを受け、「処方箋医薬品インターネット販売の安全・安心なルール作りに関する議論が全くないまま、なし崩し的に処方箋医薬品インターネット販売を法律で禁止される瀬戸際まで来てしまったので、やむなく訴訟に踏み切った」としている。

 また、楽天の三木谷浩史会長兼社長が代表理事を務める一般社団法人新経済連盟も、薬事法改正案についてコメントを発表。閣議決定された薬事法改正案に対し、「処方箋薬、スイッチ直後品目等のネット販売を合理的な理由や立法事実がないまま規制する内容となっており、受け入れられない。処方箋薬の規制にいたっては、具体的な議論がなされていない。一般用医薬品の販売規制の議論を隠れ蓑にしながら今回の薬事法改正の機会に乗じて行った不適切なものと言わざるを得ない」と批判。「日本再興戦略で示された医療福祉分野でのIT活用という施策全体が後退することを懸念する」としている。

(三柳 英樹)