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世界初? “ツールに存在しない機能”をChatGPTが紹介→ベンダーが実際に開発してニーズに応える

 ツールに存在しない機能をChatGPTが誤って紹介したことがきっかけで、そのツールのベンダー側が実際にその機能を開発して実装に至るという出来事があった。

 これは、写真やPDFから取り込んだ楽譜を実際の録音と同期させ、演奏を聴きながら楽譜をスクロール表示できる「Soundslice」というツール。ことの発端は、同ツールではサポートされていないASCIIタブ譜(ギターやベースの記譜形式であるタブ譜を、ASCII文字のテキスト形式で記述したもの)を読み込もうとしてエラーを起こすユーザーが急増したこと。調査の結果、ChatGPTがそのような機能が存在すると回答しており、結果的にツールの評判を落とす格好になっていたという。本来ならばそこでChatGPTの回答が間違っていることをアナウンスして話は終わるはずなのだが、意外なニーズが発覚されたことで、Soundsliceでは、それまでは開発優先度を下位に位置付けていたASCIIタブ譜の読み取り機能を実際に開発することを決定。めでたく実装に至ったというのがこれまでの流れだ。ChatGPTのハルシネーションが新機能へと昇華した珍しい例だが、SoundsliceのCEOは「人々の役に立つツールを追加できたのはうれしいですが、奇妙なかたちで無理やりやらされているような気がします」と、複雑な気持ちであることを吐露している。