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文化庁、違法DL経験者など調査、刑事罰化で抑止効果、正規流通への影響は不明

 5日に開催された文化審議会著作権分科会の第39回会合では、違法ダウンロードの刑事罰化などを行った2012年10月施行の改正著作権法について、施行状況などに関する調査研究の結果が報告された。違法ダウンロードの刑事罰化は一定の抑止効果を及ぼし、刑事罰化の認知度は比較的高い水準にあるとする一方で、刑事罰の対象となる具体的内容などに関する理解度は必ずしも十分ではないと評価。また、正規コンテンツの流通への影響については、明らかにすることはできなかったとしている。

文化審議会著作権分科会第39回会合

 改正著作権法では、違法であることを知りながらコンテンツをダウンロードする行為(違法ダウンロード)が刑事罰化された。改正法の施行にあたっては、附則で「施行後1年を目途として、これらの規定の嗜好情報などを勘案し、検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置を講じる」とされており、調査研究はこれに対応する文化庁の委託調査として実施された。

 調査では、インターネットアンケートによる5万サンプルの中から、改正法施行前(2012年10月1日以前)に有償で販売・配信されている音楽や映像をインターネットから無料でダウンロードした経験があるとした回答者を対象として、より詳細な調査を実施した。対象数は1329人。

 違法ダウンロードの刑事罰化を知っているかという質問では、82.3%が知っていると回答。何によって知ったかという質問では、「ニュース等のサイト」(47.8%)、「テレビ番組」(39.1%)、「新聞記事」(34.3%)、「インターネット上の掲示板」(24.9%)、「映画館で流れるCM」(20.1%)の割合が高い。

 刑事罰化についての認知度は、調査の対象とならなかった回答者の認知度(62.3%)に比べて高く、経験者の方が違法ダウンロードの問題がより身近で関心が高かったため、認知度も高いと考えられるとしている。

 また、Twitterなどでの投稿件数についての調査では、違法ダウンロードの刑事罰化に関する投稿件数(2万522件)が、同時期(2012年9月〜10月)の主要なニュース(レスリング吉田選手に国民栄誉賞:1万6012件、日馬富士関が横綱昇進:1万4262件)と同等の投稿件数で、インターネット利用者にとって大きな関心事項だったと指摘。違法ダウンロード刑事罰化の認知度は比較的高い水準にあると評価でき、その要因はインターネット利用者にとって大きな関心事項だったことと、その後の関係事業者や国などによる普及啓発活動があると分析している。

 一方で、刑事罰化を知っているとした回答者に対して、具体的にどのような行為が刑事罰の対象になるかを知っているかを尋ねた質問では、「知っている」という回答は49.7%と約半数にとどまり、今後、理解度を高めていくためには適用要件をより分かりやすく伝える工夫が必要だとしている。

 法改正により違法ダウンロードが抑止されたかについては、インターネットトラフィックやファイル共有ソフトのノード数などの調査では、いずれも施行日の10月1日を機に値が減少していると説明。また、ウェブアンケートでも、調査対象の68.5%がファイル共有ソフトを利用しての音楽・映像ファイルのダウンロードが「減った」「やめた」と回答しており、刑事罰化が一定の抑止効果を発揮したと評価している。

 正規コンテンツの流通に影響があったかについては、レコード生産実績、有料音楽配信売上実績、ビデオソフト売上実績などは、2012年から2013年にかけて漸減傾向が見られ、売上・生産実績の推移と違法ダウンロードの刑事罰化の影響については明らかにすることができなかったとしている。一方、ウェブアンケート調査では、改正著作権法を読んだ上での行動の変化として、権利者の許諾を得た正規ビジネスを利用したものと考えられる行動の増加意向を示した回答者の割合が10%程度あるとして、今後、正規ビジネスの流通にプラスの影響が出る可能性も考えられるとしている。

文化庁

(三柳 英樹)