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二人の愛のDVDや披露宴での楽曲使用、JASRACなどで手続きした新郎新婦1.6%

 披露宴における新郎新婦の紹介ビデオや映像演出、あるいはそれらを収録して参加者に配るDVDで使用する楽曲など、ブライダルシーンにおける音楽著作権(複製権)について、権利処理が必要であることを認識していた新郎新婦は3割に満たないことが分かった。二人の大切な思い出が台無しになるケースも一部であるという。

 披露宴を開催した経験のある20代~40代の新郎新婦800人を対象にアンケート調査した結果を、一般社団法人音楽特定利用促進機構(ISUM)が17日に発表した。これによると、「披露宴で利用する(利用した)楽曲をコピーして、CD・DVD・テープ等を作成する際、著作権・著作隣接権の権利者に許可・承認を得る必要がありますが、そのことはご存知でしたか」との設問に、「知っていた」と回答したのは28.5%にとどまり、「知らなかった」が70.5%を占めた。

 また、「楽曲をコピーして、CD・DVD・テープ等を作成した際、著作権・著作隣接権の手続きはどのようにされましたか」との設問では、「JASRACやレコード会社等の権利者と手続きをした」と回答したのは1.6%、「依頼した人(会場、外部の業者など)から説明があり、手続きは彼らを通して行った」が17.0%だった。このほかは「著作権フリーの曲だけを選んで作ったので、手続きはしなかった」の13.6%など。

権利処理が必要であることを知らなかったというのであれば、手続きをしたのかどうか「分からない」というのが自然な気もするが、この設問ではそうした選択肢が用意されていない。「そのことは知らなかったので、手続きはしなかった」という回答が63.3%で最多だが、新郎新婦自身が手続きをしなかったというだけで、業者が代行していたというケースも含まれている可能性はありそうだ

 ISUMによると、ブライダルシーンにおける楽曲の権利処理手続きは、著作権についてはJASRACなどの音楽著作権管理団体で一括で行え、料率も定まっている一方で、著作隣接権については各レコード会社と個別に条件交渉する必要があり、個々の契約となるため使用料が高額になるケースもあったという。

 もちろん、こうした手続きを新郎新婦自身が行わなければならないというわけではなく、通常はブライダル業者が代行してくれているはずだが、業者にとっても煩雑な手続きや高額なコストはできるだけ避けたいところだ。実際、今回のアンケート調査からは、DVDに収録された映像からはBGMが削除されていたり、オルゴール曲や著作権フリーの曲に差し替えられていたというケースも計11.0%あった(ただし、大部分の78.5%は「披露宴と同様のBGMが流れていた」という回答)。

 ISUMでは、BGMが差し替えられてしまったDVDでは新郎新婦の大切な思い出が台無しになると指摘。そうした残念なことになってしまわぬように、新郎新婦自身にも音楽著作権を啓発していく必要があるとしている。

ISUMが提供する権利処理のスキーム

 ISUMは、ブライダルシーンにおける音楽の権利処理手続きを、オンラインでワンストップで行えるサービスを構築し、今年4月より本格運用を開始した。H2O「想い出がいっぱい」、安室奈美恵「CAN YOU CELEBRATE?」、米米CLUB「君がいるだけで」、平松愛理「部屋とYシャツと私」、福山雅治「家族になろうよ」、ABBA「Dancing Queen」をはじめとした、レコード会社各社から許諾を受けたヒット曲/スタンダード曲のリストから楽曲を選べるようになっている。それらの楽曲については権利処理が確実に行えるため、「新郎新婦のお手元に届けられる記録映像で、権利処理ができないために音楽が差し替えられるという心配が払拭される」とアピールしている。

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(永沢 茂)