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この現実世界すべてが冒険世界になる某RPG風ウェブ地図API、MapFanが提供開始

 「MapFan」ブランドの地図サービス/アプリを展開するインクリメントP株式会社は20日、企業などのウェブサイトに地図を組み込めるAPIの新サービス「MapFan API」を提供開始した。同社では従来よりウェブ地図APIを提供しているが、MapFan APIは地図のデザイン・表現について複数のバリエーションを提供するのが特徴。

RPG風マップ
グレーマップ
標準マップ

 MapFan APIで提供されるJavaScriptライブラリを使うことで、企業の自社サイト内で地図を表示できるようになる。例えばチェーン店の各店舗、不動産物件、イベント会場の検索ページなどのほか、HTMLベースのスマートフォンアプリでも活用可能だ。表示された地図は、閲覧者が縮小・拡大したり、スクロール操作できる。

 料金は、実際に地図表示が発生する回数を想定した段階的なプランとなっており、年額48万円(税別)から。このほか、ウェブ上での表示に加えて、商用印刷物での地図の利用も許諾される有料オプションもある。

 MapFan APIの特徴である地図のデザインについては、同社の地図サービス「MapFan」で使用している標準的な配色のほか、「グレーマップ」と「RPG風マップ」の計3種を用意した。

 地図表現については、注記文字が日本語のほか、オプションで英語、中国語(繁体字・簡体字)、韓国語から選択できる。このほか、コンビニエンスストアやファーストフードなどの場所に表示される各チェーンのブランドアイコンについても、ジャンルごと、あるいは特定チェーンごとに表示・非表示を設定可能だ。

RPG風マップ
英語
中国語(繁体字)
中国語(簡体字)
韓国語

 グレーマップは、水系部分をブルー3色、それ以外の部分(注記文字や建物の枠線などを含む)を25色のグレーの階調で表すデザイン。一方、RPG風マップでは、現実世界の地図がそのまま、ファミコン時代のRPGのようなレトロなマップ画面のデザインになる。

 例えば、地面のベース色は草原のような黄緑色のパターンとなり、大規模施設・ビルなどの範囲は灰色または茶色のレンガのドット絵パターンで塗りつぶされるといった具合だ。同様に、道路は砂地のようなパターン、公園・緑地は森のパターン、川・海は水面を表すパターンとなっており、要するに、有名なRPGを彷彿させるデザインだ。

 主要施設のアイコンもRPG風にデザインされたものを表示する。例えば都庁などの大きな行政機関は西洋のお城のアイコン、それよりも小さい規模の区役所などは村落のアイコン、高層のタワーには塔のアイコンなどである。

 また、緑地などを示す森のパターンの中には、何かアイテムでもありそうな単独の大きな木のアイコンが表示されている場所があるが、これは公園などの中にある具体的な施設を示しているという。地図をズームアウトして縮尺の小さい広域エリアの地図表示にすると、こうしたアイコンが相対的に強調され、RPGのワールドマップ風になる。

「MapFan API」サービス紹介ページでは、表示した地図のデザインのバリエーションを実際に切り替えて見ることができる
鉄道・駅の表現。「梅田駅」「東梅田駅」「西梅田駅」に付いているアイコンが、地下鉄駅を示すデザイン

 鉄道の表現は、一般的にJR路線に用いられる白黒の旗竿タイプの表現や私鉄路線の太い一本線は使用せず、いずれも茶色い一本線に横棒が一定間隔で交差する梯子タイプの表現で、JR・私鉄・地下鉄の区別はない。また、駅はローカル線の駅のホームにでもありそうな看板のアイコンとなっているが、地下鉄の駅だけは“地下ダンジョンに通じる階段”のあのデザインで区別されている。

 さらに凝っているのは、注記文字のデザインだ。「美咲フォント」を採用し、非常に解像度の荒いドット文字で表示している(美咲フォント自体は8×8ドットで表現されているが、MapFan APIでは見やすさを考慮し、16×16ドット相当に変換)。交差点名も、このフォントで木の立て札風のアイコン上に表示される。

 なお、レトロなRPG風になっているのはあくまでも色彩やアイコンなどのデザイン面だけであり、土地や道路などの輪郭などがタイル状に簡略化されるわけではなく、現実の地図の正確な位置を表示する。地図データも月に1回、最新情報に更新される。

東京駅付近
東京ドーム付近
東京スカイツリー付近
東京の広域図
中部の山岳地域のデザイン

 インクリメントPによると、RPG風マップはエンターテインメント系のサービスでの地図表示を想定しているとしており、例えば位置情報ゲームと連携したO2Oキャンペーンなどでの活用が考えられそうだ。ただし、ニーズが特に大きいということでRPG風マップを用意したわけではなく、多様な地図デザイン・表現に対応できることをアピールする1つのサンプルとして、まずはRPG風マップを公開したかたちだ。

 MapFan APIで提供する各種デザインの地図はすべて、同社が整備した同一の地図データを使用しており、表現のパターンを設定したファイルを差し替えることで複数の地図デザインを実現している。

 そのため、ほかにも表現パターンの設定ファイルを用意することによりさまざまなデザインで描画することができ、PRG風マップやグレーマップ以外のデザインも可能になっている。具体的には、輪郭線だけの白地図や、ドライバー用に道路を見やすく強調したデザインなどが考えられるほか、経年変化で薄汚れた古紙のような色あいで、注記文字に毛筆フォントを採用した「古地図風マップ」を試作中だ。

「古地図風マップ」の試作中サンプル

 さらに、設定ファイルのカスタマイズにも対応するとしており、MapFan APIのユーザー企業が独自デザインの地図を描画させることも可能になる。

 なお、独自デザインのアイコンを表示するだけであれば基本サービス内で対応でき、例えばRPG風マップ上に自社チェーン店の場所を独自のRPG風アイコンで表示するといった使い方も可能。その場合はユーザー企業側で独自アイコンの画像を自社サーバー側に用意するとともに、JavaScriptでそれを表示するよう設定を行う。

(永沢 茂)