ニュース
日経新聞、Evernoteに2000万ドル出資して提携、ノートに記事を自動配信
(2014/11/10 14:29)
日本経済新聞社と米Evernoteは10日、資本・業務提携することで基本合意したと発表した。日本経済新聞社は、Evernoteに2000万ドル出資する。提携の第1弾として、キーワードや文脈にマッチしたコンテンツをタイムリーに自動配信する連携サービスを両社の有料会員向けに提供する。
まずは2015年初頭から、「コンテキスト」サービスを提供する。Evernoteのユーザーが作成するノートの内容に応じて、「日本経済新聞 電子版(日経電子版)」の関連する記事コンテンツがノート画面下部に自動的に配信・表示される。クリックすることで記事をEvernote上で読めるほか、気になる箇所をノートに引用することもできる。
一方、ユーザーが日経電子版を読む際には、ユーザー本人が過去にEvernote内に作成・保存したノートやグループで共有したノートの中から、閲覧中の記事に関連するものが自動的に日経電子版上に表示される。こちらの機能は現在開発中で、追って提供する。
さらに今後、「日経テレコン」をはじめとする日経グループのデジタルコンテンツと連携したサービスを共同展開していく予定。
Evernoteに記事を配信するサービスは、英語圏向けに米Dow Jonesや米TechCrunchなどが開始しているが、米国以外では日本経済新聞社が初めて。また、ユーザーがEvernoteに保存したコンテンツのうち、ニュースサイト上で閲覧しているニュースに関連が深いものを表示するサービスは日経電子版が世界初だという。
Evernoteを新しいワークスペースにしたい
Evernoteは10日、日本経済新聞社との提携およびコンテキストの提供について発表会を都内で開催。日本経済新聞社常務取締役デジタル事業担当の野村裕知氏と、米Evernote CEOのフィル・リービン氏が登壇した。
野村氏は、Evernoteと提携した理由として「同じ価値観を持っていると感じた」としている。Evernoteは、米国発の革新的なベンチャー企業でありながら、長期的な視点での事業展開を行っていると説明。オフィスで働く人にとって必要な情報をとは何かを真剣に追い続けており、ビジネスパーソンに情報を届ける日本経済新聞社と近いとした。また、ネットにある情報が膨大で、ユーザーが本当に必要な情報を探すのが困難であり、価値ある情報を必要な時により使いやすく提供できるサービスが今ほど求められている時代はないとした。
リービン氏は、Evernoteを「書く」ツールとして利用するのであれば、ベストな状態で書いて欲しいとしており、書く部分を改善するために関連する情報を表示するのがコンテキストであると説明。また、日本のEvernoteユーザーの7割が仕事でEvernoteを利用しているとした上で、日本経済新聞は、ビジネス的にも技術的にも財務的にも信頼できる情報源であり、Evernoteにとって非常に強みになるとした。資本・業務提携により、日本経済新聞社はコンテンツ、投資面で協力するほか、日本市場やアジア市場にて、プロダクト面での技術開発を共同で行っていくという。
リービン氏は、Evernoteを新しいワークスペースにしたいとしており、「どこに書こう」「どこに保存しよう」などといった古い定義での生産性という定義から脱却し、新しい意味での生産性をEvernoteで作っていきたいとしている。