ニュース

翻訳サイトに入力した内容が公開状態に、IPAがクラウドサービス利用について注意喚起

 独立行政法人情報処理推進機構(IPA)は20日、ネット上の翻訳サービスに入力した文章が、他のユーザーにも閲覧できる状態で公開されていたという問題が明らかになったことを受け、クラウドサービスの利用に関する注意喚起を行った。

 この注意喚起は、無料の翻訳サービスを提供しているサイトに入力した原文と訳文が、誰でも閲覧可能な状態となっており、企業や省庁などで業務でやりとりしていたと見られる文章も含まれていることが報道されたことを受けたものだ。

 IPAでは、クラウドサービスはその利便性から急速に普及した反面、利用者がサービスの内容やリスクを正しく認識せずに利用したことが原因で、意図しない情報漏えいの問題が再三指摘されていると説明。クラウドサービスの利用に際しては、信頼できるサービスであるかどうかを慎重に検討して、提供されるサービスの機能や仕様を十分に確認することや、いったん預けた情報や書き込んでしまった内容は、自分のコントロールが及ばないことになるリスクを認識して、利用するかどうかを判断するよう呼び掛けている。

 また、サービス提供側に対しては、提供するサービスの機能や仕様を分かりやすく提示すること、入手した情報の扱いについて方針を示すこと、対応窓口などの連絡先を明記して問い合わせに適切に対応することを求めている。

 株式会社ラックの広報担当者によると、問題となった翻訳サービスは「I Love Translation」という名称のサイトで、多数の文章が検索サイトからも検索可能な状態となっている。サイトには翻訳結果がサーバーに保存されることを承知するという趣旨のチェックボックスが付いているが、文章が公開状態となっているのが意図的なものであるのかについては不明だという。

 また、サイトは多数の言語の翻訳に対応しており、利用者の少ない言語の翻訳にも対応していることから、こうした言語の使用者が日本語などの文章を翻訳するために利用していたと思われるケースも散見されるという。

 ラックの広報担当者は、こうしたサービスの利用については提供企業が信用に足るものであるかを判断することや、機密文書や機微な内容をクラウドサービスに入力するといった行為自体についても注意が必要だと説明。サービス内容や情報の公開範囲について確認することや、暗号化されていない通信では重要な情報を送らないといった、インターネットを安全に利用するための教育を幅広く行っていくことが必要だと語った。

(三柳 英樹)