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東急建設、無線LANの通信環境を改善する電磁波シールド壁の実用化へ前進

 東急建設株式会社は6日、無線LANの通信環境を改善するための電磁波シールド壁を開発し、実用化の目処を付けたと発表した。

 東急建設では、無線LANなどで使われる特定周波数の電磁波のみを選択してシールド(遮蔽)できる電磁波シールド壁(乾式二重壁構造)の設計法を2013年12月に開発している。その設計法に基づき実験を重ね、間仕切り壁などに使われる乾式二重壁について、電磁波シールド壁の実用化に目処を付けた。

 開発した電磁波シールド壁は、石膏ボードの表面に電磁波を遮蔽するアルミ箔を格子状に敷設することで、隣室などから侵入する干渉電波を軽減し、室内の無線LAN通信環境の劣化を緩和するもの。同時に室内から隣室への干渉電波も軽減される。壁の全面に隙間なく電磁波シールド材料を敷設する従来のシールド方法に比べて、表面に格子状導体を配置して電磁波をシールドすることで材料コストの縮減を図ることができる。

 東急建設では、2015年2月に東急建設技術研究所(相模原市)の住宅総合実験棟内に電磁波シールド壁で囲った2.7m角の試験室を製作し、室外から妨害波を受けている状況でファイル転送の実験を実施。電磁波シールド試験室内ではファイル転送が可能であるのに対して、室外では妨害波の影響でファイル転送ができず、電磁波シールド壁による無線LAN環境の改善効果を確認した。

 また、電磁波シールド試験室内で主要3社の携帯電話での通話が可能であることも確認でき、日常生活の便利さを失わずに無線LANの通信環境を改善できると説明。東急建設では、無線LAN環境の建築的な改善技術として技術の製品化と普及に向け、さらに技術開発を進めていくとしている。

電磁シールド試験室内外での無線LANファイル転送実験の機材配置図
電磁波シールド壁試験室の外観1
電磁波シールド壁試験室の外観2
電磁波シールド壁試験室内
電磁波シールド壁試験室の内外

(三柳 英樹)