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“自分を編集する空間”がモチーフの新感覚書店、新宿・小田急百貨店にオープン
本を持ち込めるカフェやネットの人気雑貨も、楽天と協業
(2015/4/23 15:54)
株式会社有隣堂は、楽天株式会社およびリーディングスタイル株式会社と協業し、書籍・雑貨・カフェの複合型店舗「STORY STORY」を、小田急百貨店新宿本店(東京都新宿区)10階に4月24日にオープンする。
「『私』、編集空間。」を店舗のテーマとして、訪れた人の関心軸に沿ってセレクトした書籍・雑貨を「食」「趣味」「暮らし」といった分野ごとに展開する。紙の本だけでなく、雑貨や電子書籍、インターネットで人気の商品なども販売することで、書店・百貨店と接点の薄い客層の誘客を狙う。なお、STORY STORYは、2月28日に閉店した三省堂書店が入っていた場所を改装してオープンしたもの。
店舗は、正面入り口中央に雑貨コーナーが設置されており、訪れた人のライフスタイルに合わせたさまざまなアイテムが並ぶ。雑貨コーナーのラインナップは、すべて有隣堂がチョイス。本に関連するアイテムや本で紹介されているアイテムなど幅広く、本と一緒に楽しむことができるという。季節やテーマによって入れ替えることで、旬なアイテムをそろえる。また、外国人観光客向けコーナーも常設しており、日本製の雑貨などをそろえる。
正面入り口左手には、有隣堂初の自社運営カフェを併設。購入前の書籍(一部を除く)を持ち込めるだけでなく、自由に使える電子書籍端末も設置。紙・電子両方の書籍を楽しめる居心地のよい空間を目指したという。また、有隣堂がチョイスした楽天市場の人気スイーツをはじめ、カレー、オムライス、カツサンド、パスタなど豊富なフードメニューを取りそろえる。スイーツは月替わりで提供する。ちなみに、カフェでのみ楽天の「Rポイントカード」を利用できる。
店舗の中心付近には、楽天の電子書籍端末「Kobo」の販売スペースがあり、楽天が今年2月に発売した防水端末「Kobo aura H2O」も販売している。これまで有隣堂でのKobo端末販売は一部店舗で行われているが、防水端末を取り扱うのはSTORY STORYが初。また、タブレット端末「Kobo arc 7HD 16GB」を台数限定で税込6480円のセール価格で販売する。そのほか、楽天市場で人気のアイテムも展示。すべて有隣堂側でSTORY STORYにマッチしたアイテムを選定しているとのこと。
店舗奥には書籍コーナーが広がっており、テーマ色を持たせた特設コーナー(開店時は「スター・ウォーズ」)も設置。知育玩具や絵本を取りそろえた子供向け体験型コーナー「Do! Kids」では、親子が参加できる読み聞かせなどのイベントを随時開催する。Do! Kidsからは、9階屋上の子供向けアスレチック広場を見下ろすことができ、10階から9階のアスレチック広場に移動する際に9階の子供売り場を通るといった、ほかの階への誘導も考慮されている。
有隣堂店売事業本部の滝口剛氏は、書籍販売が厳しい一方で電子書籍やネット通販が勢いを増しており、紙の書籍にこだわらず、EC事業者とともに模索する中で、楽天との出店に至ったと説明する。有隣堂では昨年6月、ヨドバシAKIBA店にて、書店で電子書籍が購入できるカード「BooCa」の実証実験を「楽天Kobo」などと共同で実施している。
また、小田急百貨店広報担当者によると、百貨店は45歳以上の客層が中心。ネットで購入しているアイテムをリアルで展開することで、電子書籍やネット通販を利用する客層にもふらっと寄ってもらう狙いがあるという。なお、通常の書店の場合、書店を利用する客層は他のフロアに立ち寄らない傾向があったというが、カフェや雑貨があり、在留時間が伸びて興味の幅が広がれば、本で読んだアイテムや商品を他の階で購入するといった連動も考えられるとしている。