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ヤフー、2014年度通期決算は18期連続の増収増益、スマートフォン広告が好調

 ヤフー株式会社は、2014年度通期(2014年4月~2015年3月)および第4四半期(2015年1月~3月)の連結決算を発表した。通期の売上高は、前年度比4.9%増の4284億円。営業利益は、前年度比0.4%増の1972億円。親会社の所有者に帰属する当期利益は、前年度比3.5%増の1330億円。サービス開始以来18期連続の増収増益となった。配当額は、前年度比2倍の1株あたり8.86円を予定している。

ヤフー株式会社代表取締役社長の宮坂学氏

 売上高構成は、広告や情報掲載サービスなどを扱うマーケティングソリューション事業が前年度比7.5%増の3042億円、eコーマスなどを扱うコンシューマ事業が前年度比2.7%減の1020億円。その他、クレジットカード事業やFX関連が323億円となる。なお、マイナスとなったコンシューマ事業は、前年度の消費税増税前の駆け込み需要による反動が大きかったためとした。

 広告関連は、前年度比7.4%増の2498億円と伸びた。特にスマートフォンの動きが活発で、広告のスマートフォン経由比率も前年度比11.6ポイント増の33.4%と好調で、通期累計のスマートフォン広告売上高は、前年度比64.6%増の834億円となった。eコマースの国内流通額は、前年度比8.6%増の1.19兆円。「ヤフオク!」を展開するオークション事業が、通期取扱高で7年ぶりに過去最高を更新した。

 ヤフーでは、広告関連事業、オークション関連事業、「Yahoo!プレミアム」などの会員サービス事業を基幹事業としており、「Yahoo!ショッピング」を展開するショッピング事業、クレジットカード事業を投資事業と定めている。投資事業の先行投資を実施した結果、営業利益は基幹事業が107億円増、投資事業で68億円減、システム基盤の設備投資で31億円減と、トータルで8億円増の増益となっている。

2014年度通期業績ハイライト
2014年度通期売上高
2014年度通期営業利益
2014年度親会社の所有者に帰属する当期利益
2014年度通期売上高構成
2014年度通期営業利益の増減要因

 「Yahoo!ショッピング」は、出店・出品手数料の無料化により、ストア数は前年同月比3.6倍で8万から28万に増加。商品数も前年同月比68%増で0.9億から1.6億に増加している。このため、コンバージョンレートも年間平均で前年度比2桁で伸びているという。現在、Yahoo!プレミアム会員限定で、Yahoo!ショッピングを利用したユーザーに「Tポイント」5倍キャンペーンを提供しており、商品数の増加、購買率の向上を背景に、売り場の活性化を進める。

 クレジットカード事業は、2015年1月にケーシー株式会社を連結子会社化して「ワイジェイカード株式会社」が誕生。4月より「Yahoo! JAPANカード」の提供を開始。Yahoo!ショッピング加盟店に対して、低レートな決済手数料を提供するほか、プロモーションやビッグデータを用いた新規加入の促進施策を展開する。これにより、現在60万人の有効会員数を、2015年度末をめどに140~160万人まで拡大を目指し、年間約40億円のマーケティング費用を計上予定としている。

 また、ヤフーの強みである広告、eコーマス、決済・金融事業で蓄積されたビッグデータを活用するために、2014年度では約300億円の設備投資を実施。それぞれのデータを組み合わせて、広告単価の向上、ターゲティングの精度、eコマースでのレコメンド、新規会員の獲得などが可能になるという。ヤフー代表取締役社長の宮坂学氏は「ヤフーがデータテクノロジーの会社になるための投資」としている。

 今回、PCからスマートフォンへのシフトがより加速している傾向が浮き彫りになったという。アプリとブラウザーを足したスマートフォンのDUB(デイリーユニークブラウザー数)は、年間平均で54.6%(前年度は43.1%)に達している。ヤフーでは、スマートフォンシフトは順調と評価。今後3年で、ブラウザーからスマートフォンアプリへの利用拡大を推し進めるとしている。

「Yahoo!ショッピング」の出店・出品手数料の無料化は、買い手の増加として現れてきているという
クレジットカード事業は、ヤフーの他事業へのプラス要因も多い
ビッグデータの増加により、各サービスとの連携により、ターゲティング精度の向上やパーソナライズ化を促進する
今後3年間で、スマートフォンブラウザーからスマートフォンアプリへのシフトを促す

 宮坂氏は2014年度について「検索ニーズがPCからスマートフォンへシフトしたほか、クレジットカード事業やショッピング事業を育てる投資を行った。金額のかさむ1年だったが、未来の成長に向けた仕組みをしっかり行った1年だった」と総括した。なお、2015年度も増収増益を目指すとしている。

(山川 晶之)