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“世界共通語”の写真で4億人のMAUを抱えるInstagram、現在の利用動向と広告事業について説明
(2015/10/2 12:01)
Instagramは1日、SNSサービス「Instagram」の利用動向と広告ビジネスについて説明会を開催した。
10月6日で5周年を迎えるInstagramは、順調にユーザー数を増やしており、月間アクティブユーザー数(MAU)も4億人を突破。米国外からのアクセスが75%を占めており、写真という“世界共通語”が国の垣根を無くしているという。日本でも過去1年でMAUが810万人と倍増している。また、1日にアップロードされる写真は8000万枚以上で、Instagramの使用時間は全世界平均で1日あたり21分に及ぶという。
Instagramが注視するポイントとして、アジア太平洋地域を統括するInstagramコミュニティマネージャーの三島英里氏は「シンプルなUI」「クリエイティビティの触発」「コミュニティファースト」の3点を挙げた。Instagramのコミュニティは、個人やアーティストなどが写真を通してさまざまなクリエイティビティを行っている。これが、コミュニティを盛り上げる要素になっており、Instagramのモノ作りの要にもなっているという。
また、三島氏は「コミュニティはInstagramが存在するすべての要素」としており、コラージュアプリやハイパーラプス動画を作成するアプリ、正方形の写真をアイデンティティとしつつ、縦・横写真への対応など、コミュニティからの要望などを反映しているという。同社共同創業者のケヴィン・シストロムとマイク・クリーガーが最初に雇ったのは、コミュニティマネージャーだったというエピソードもあり、コミュニティの維持・発展を重要視している。現在、世界で20人のコミュニティマネージャーが在籍している。
Instagramのコミュニティは、オフラインにも広がりを見せており、「インスタミート」と呼ばれるユーザー同士の交流の場や、ユーザー同士で撮影しあう場がユーザー発信で生まれてきているという。世界規模でユーザーが集まる「ワールドワイドインスタミート」が催されているほか、日本でも「MeetMeJapan」として47都道府県でのインスタミートを開催するなど、活発化している。
なお、Instagramの5回目の誕生日を祝い、10月3日~4日に第12回目のワールドワイドインスタミートが開催されるという。国内でも東京や沖縄など19拠点で催される予定だ。
Instagramの広告のキモは「ユーザー経験を損なわない広告プロダクト」
Instagramでは2013年から広告事業を展開しており、9月には全世界で広告事業を開始した。現在提供している広告メニューは、Instagramの投稿と同様のイメージアド、ビデオアドのほか、4枚の写真をパノラマ写真のようにスライドして表示するカルーセル広告がある。日本では2015年5月から広告事業を開始しており、これまでSUUMOなどが広告を配信している。
広告のパフォーマンスも高く、ニールセンの調査によると、広告の平均認知率は全体の17%と、平均と比較して2.8倍に上る。日本では、事例が少なく広告の目新しさという要素も含まれている可能性があるとしているが、認知率が25%近くとさらに高いという。また、ブランド認知率もニールセン調査の平均よりも高い。
事例として、日本ケンタッキー・フライド・チキンの場合、広告の平均認知率は44%、ファーストフードとしてケンタッキーを選ぶマインドも7%向上。また、あまり知名度が高くない鞄メーカーの場合でも、広告の認知率が29%増加、ブランド認知率が6%増加したという。クリエイティブには、鞄メーカーのロゴが大きく入っているわけではなく、雰囲気のある鞄の写真が掲載されている。ケンタッキーの件も同様だが「ユーザー経験を損なわない広告プロダクト」の提供が、ブランド認知につながっているという。
今後の展開として、ブランド認知以外にも、ダイレクトレスポンスやターゲティング機能の追加により、より適切なユーザーにピンポイントで広告の配信が可能となる。広告フォーマットとしては、画像全体がリンクになっているリンク広告や、Facebookで人気のモバイルアプリインストール広告(App StoreやGoogle Playに誘導)を提供。コンバージョンに直結した広告も展開可能になった。
クリエイティブにはFacebook同様、ガイドラインが制定されているが、ユーザーも楽しめ、企業のメリットになる広告を、同社の広告運用チームと連携してサポートするとしている。
Instagramは、ちょっとした自慢も許される「居心地の良い遊び場」
Instagramは「居心地の良い遊び場」だとユーザーは捉えており、自身が好きなものや情報、インスピレーションが得られる写真に触れることで、アクティブに自分の世界を広げられるツールだと認識しているという。自分の見たくないものや雑多な情報が流れてくる他のSNSと異なり、「ちょっと自慢が許される場所」「簡単におしゃれができる」といった「表でちょっと素敵な自分」「センスの良い話題を共有できる空間」を演出できる。特に、画像のみのコミュニケーションは日本人と相性がいいとしている。
そのため、ユーザー自身が投稿する写真にも気を遣っており、約7割のユーザーが写真にフィルターをかけるなど編集・加工したり、コラージュなど1枚の素敵な写真に仕上げて投稿するという。当時の思い出として見返したり、マナーとしてタイムラインを汚さないためだとしている。特別なイベントなどで使用されていると思われがちなInstagramだが、家や通勤・通学の移動時間、就寝前が最も多く、オケージョン別では、旅行や待ち合わせ、テレビを見ている時、友達や家族一緒にいる時などでも使用されている。投稿されている写真は、友達、料理・グルメ、旅行が多い。
なお、ユーザーが投稿する写真に気を遣う点は、先述の「ユーザー経験を損なわない広告プロダクト」に通じており、企業はきれいなクリエイティブ、きれいなストーリーを心がけることで、広告への高いアクション率が実現するという。調査では、企業からの情報について「いいね!」やコメントなど、何らかのアクションをとるユーザーが全体の73%に達し、企業アカウントに求める事として「内容が面白い」「写真が高品質」が多くを占めた。一方で、従来のSNSアカウント運用で有用とされていたフォロワー数や、こまめなコメントへの返信、ハッシュタグなどのキャンペーンは、クリエイティブの品質と比べるとあまり重要ではないとしている。
Instagramのフレンドは、Facebookでつながっていて、さらに親しい人との間で利用されている場合のほか、クリエイティビティや興味・趣味でつながるケースが多いという。ユーザーの84%がInstagramに満足しており、82%が今後も使い続けたいと回答。利用頻度も高く、1日に複数回利用するユーザーは、全体の54%。1日に1回の利用も合わせると全体の79%に達する。また、Instagram起点のコミュニティが育っており、そこでしかできない体験や、ユーザー自身の好きな写真や瞬間が蓄積されているなど、SNSとして独特のポジションを得ているとしている。