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国内10カ所に「ドローンバード基地」を――災害発生時に飛び立って空撮、最新地図作成に役立てる市民プロジェクト

 災害発生時、各地に作られた拠点からドローンを飛ばして被災地を空撮し、被災状況を把握するための地図を作成するプロジェクト「災害ドローン救援隊 DRONE BIRD(ドローンバード)」がスタートした。クラウドファンディング「READYFOR」にて24日から資金援助を呼び掛けている。目標金額はREADYFORの最高金額となる4000万円で、期間は70日間(2016年2月2日23時まで)。

訓練された操縦者と準備さえあれば、即座に出動し、現地状況を最短2時間以内に空撮ができるという

 同プロジェクトは、青山学院大学教授であり、クライシスマッパーズ・ジャパン(NPO法人申請中)代表の古橋大地氏が発足したプロジェクト。古橋氏は市民参加型の地図データ作成プロジェクト「OpenStreetMap(OSM:オープンストリートマップ)」の研究と実践を行っており、2010年1月のハイチ地震や2011年3月の東日本大震災、2015年7月のネパール地震など、多くの災害でOSM地図作成者(マッパー)とともに被災地の地図作りに取り組んできた。

2010年1月ハイチ地震の際、古橋大地氏も参加して作成された地図 (C)OpenStreetMap

 OSMで正確な地図を迅速に作成するためには、現在の状態が分かる航空写真が必要で、地図は世界中のマッパーがOSM用の地図エディターを使って航空写真をトレースして作成する。ところがこれまでは、ヘリコプターや衛星を使って状況を確認するためには半日から2日ほどかかってしまうという課題があった。そのために発足したのが、災害時に従来よりも早く現地の航空写真を撮影し、その情報をもとに正確な地図を作り出す部隊を作り出すドローンバード計画だ。

 プロジェクトでは、万が一、人や建物に当たったとしても被害のない小型軽量の無人飛行機が、各地の拠点から現場に急行して空撮する。空撮した映像は、ウェブ上ですばやく共有され、それをもとに最新の状況が地図に反映される。公開先サイトとしては、ユーザー投稿型のドローン空撮画像を共有するプラットフォームとして現在開発が進められている「OpenAerialMap」がメインになる。空撮画像をここで迅速に共有することにより、世界中のマッパーたちに最新の空撮画像を位置情報付きで公開することが可能となる。並行してGitHubにもタイル画像を公開する予定だ。

 このようにインターネット上で共有された画像をもとに、OSMマッパーが最新の状況を地図に反映。被災地の最新状況が反映された地図は、世界中にインターネット配信される。OSMはオープンな地図のため、紙地図として自由に印刷して誰にでも配ることができる。

2015年9月の鬼怒川水害時の様子 (C)国土地理院
ネパール地震が発生した時の“クライシスマッパー”たちの様子 (C)Kathomandu Living Lab

 プロジェクトは今後、日本中のどこで災害が起きても対応可能な状態を作るため、2020年までに“ドローンバード隊員”を100名育成し、全国10カ所に基地を設置することを目的としている。今回はその最初の一歩として、青山学院大学のある相模原にドローンバード総指令本部を2016年8月までに設立し、2016年11月までに伊豆大島に1号基地を設置する。これらの基地に配備するドローンも、安全性が高く、GPSの精度が高い最先端機種を使用する予定だ。

 今回のクラウドファンディングの支援者には、スペシャルキュレーターを務めている箭内道彦氏監修のロゴが入ったドローンバードの隊員証が授与される。また、同プロジェクトでは、ドローンを操縦する「ドローンバード パイロット」や、航空写真をもとに地図を作成する「マッピング隊員」も募集している。プログラミングやラジコンの操縦経験などがない未経験者でも、ドローンバード隊員としての講習を受ければ、比較的短時間で必要最低限の技能を身に付けられるという。

 講習時間の目安としては、「ドローンを飛ばせるようになる」に5〜7時間(約1日)、「ドローンを空撮できるようになる」には10〜14時間(約2日)で、「レースに出場できるレベル」はフライト経験が10回以上、「1人前のパイロット」になるにはレースに3回程度出場する必要がある。また、「OSM上に空撮の画像データを反映できる」までには、1時間程度の講習が必要とのこと。

ドローンバード隊員証

 ドローンバード隊員には、緊急時に情報が共有される。また、講習を受けて一定の技能を取得した隊員には「出動要請」も行なわれる。今回のクラウドファンディングでは、支援のリターンとしてドローン操縦の講習やマッピング講習を受けられるコースも用意されており、東京都内近郊に設置予定のドローン練習場において講習会の開催を予定している。また、1号基地となる伊豆大島の特産品セットや、ドローンバード基地に潜入できる権利を加えたコースも用意している。

 なお、同プロジェクトは、READYFORが日本中からアイデアを募集し、その中で選ばれたプロジェクトに対して、READYFORがスペシャルキュレーターとともに資金調達をサポートする「みんなでかなえる1億円プロジェクト」に採択されたプロジェクト。採択理由としては、防災という誰もがかかわるテーマを、ドローンという最新技術を使って新たな方法で解決策を生み出す姿勢と、行政や企業ではなく個人が防災に対してかかわる手法を提案した点が高く評価された。また、古橋氏が東日本大震災などにおいて、地図による災害救助支援活動を行なってきた実績も加味されている。

「DRONE BIRD」クラウドファンディングページ(READYFOR)

 プロジェクトでは、最終的に日本全国10カ所にドローンバード基地を設置する目標を立てており、今回設置する総指令本部とモデル基地の進捗と成果を見ながら、今後はさらにこの計画をスケールアップさせる予定で、総予算が約1億円以上の規模となる可能性を秘めた段階的なプロジェクトとなる。基地設置後は、その周辺の町の空撮によって収益を上げて運営を行なうことも視野に入れており、将来にわたって継続できるモデル作りも含めて検討を行う方針だ。

(片岡 義明)