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VIA、タクシー会社の要望から誕生した車載ファンレスPCシステム「AMOS-825」、JapanTaxiとの協業で開発

 VIA Technologiesは14日、JapanTaxi株式会社と協業し、タクシーなど特殊車両向けの車載IoTソリューションとして、業務用PCシステム「AMOS-825」を開発したと発表した。

 AMOS-825は、7インチタブレットがセットで提供されるAndroid/Linux対応のファンレスPCシステム。CPUはNXP i.MX 6Quad(1.0GHz)、1GBのDDR3 SDRAM、ストレージに16GBのeMMCフラッシュメモリを搭載。通信機能は、ギガビット対応Ethernet×1ポート、IEEE 802.11n/g/b、Bluetooth 4.0のほか、NTTドコモまたはソフトバンクの3Gをオプションとして付けることも可能。将来的にはLTEにも対応する予定。GPS/GNSSにも対応する。

 外部インターフェイスとして、USB 2.0×3ポートのほか、CAN(Controller Area Network)バス/シリアルポート用のD-sub 9ピンコネクターと、D-sub 50ピンのSCSIマルチ信号コネクター(LVDS/I2C/オーディオ)を備える。本体の大きさは150.5×48.1×103.3mm(幅×高さ×奥行)、重さは0.673kg。入力電圧は9〜36V、動作温度範囲は0〜60℃に対応。

「AMOS-825」
タクシー周辺機器と「AMOS-825」を接続した状態
「AMOS-825」とタブレットの仕様。USBコネクターはロック機構を備える。

タクシー会社の要望から誕生した製品

 3月14日に都内で行われた記者会見では、AMOS-825の開発経緯の説明や製品のデモが行われた。

 VIA Technologies JapanプロダクトマネージャーのCody Sera氏は、「AMOS-825は開発から量産まで6カ月という短い期間を実現できた」と述べ、自社の既存製品をユーザーの要望に合わせてカスタマイズできる強みがあることをアピール。今回、JapanTaxiからカーナビゲーションとIP配車システムを統合したタブレット端末の開発を求められた際、動作温度範囲、インターフェイスの拡張性など実用性を考慮し、CPUと表示機を分けるセパレートシステムを提案。同社で取り扱っている10インチクラスの産業用タブレット「Viega」、既存製品の「AMOS-820」をカスタマイズすることで柔軟に対応できたという。

VIA Technologies JapanプロダクトマネージャーのCody Sera氏
自社製品をカスタマイズできるため、タクシー会社の要望に合わせた製品を開発できた

 JapanTaxiプロダクトマネージャーの山本智也氏は、「モビリティ業界は激動の時代に入っている。ライドシェア事業を行いたいベンチャーは存在するが、それを支える母体がない。今回、VIA Technologiesとの協業により、マーケットのニーズと技術力が融合する良い例になる」と述べた。

 JapanTaxiではタクシー配車アプリ「全国タクシー」などソフトウェアの開発・提供を行っているが、ハードウェア機器に関しては、これまでパナソニックや富士通などから取り寄せていた。もともとタクシー業界においては技術に精通した人材が不足しており、作られたものを一方的に買わざるをえない状況で、機器の進化が起きにくかったという。とあるハードウェアベンチャーにドライブレコーダーの見積もりを依頼した際、自社で製作する場合とコストに大差がないことに気付いたことから自社開発に至った。また、車内に設置された機器の各ボタンの名称が統一されていないことや、乗務員が研修期間中に機器の使い方を修得するのに3日を費やすなど使用感にも問題があった。そこで、「乗務員フレンドリーなシステムを構築することで、教育にかけるコストダウンにも繋がる」と考えたとしている。

 当初、タブレットで無線機とナビを兼ねたシステムを目指していたが、直射日光を浴びる夏に端末が強制終了するなど耐熱性で問題があることが判明。そこで、VIA Technologiesからの提案により、セパレートシステムを採用した。山本氏は、「カーネルのチューニングやACCをオフにしたあとのシステムの動作時間の設定など、酷なオペレーション下で詰めなければいけない問題はハードウェアに精通したVIA Technologiesの提供する技術により解決できた」と協業による強みを語った。

 タクシーを“日本全国を走るセンサー”と捉え、各車両側の端末やユーザー側の端末から得た情報をクラウドサービス「Windows Azure」上で一括管理する「AIOS(All In One System)」も構築し、タクシー利用者以外にもデータを活用できるプラットフォームとして運用する。今後、JapanTaxiでは、ドライブレコーダーやメーターなど各機器の持つ情報ソース(車速、加速度、位置情報などの運行情報、売上情報、車内映像・音声など)を「Taxi Controller Unit(TCU)」であるAMOS-825に集約し、クラウド上でデータを管理する“タクシー×IoT”の拡大を目指すとしている。

JapanTaxi株式会社プロダクトマネージャーの山本智也氏
タクシー配車アプリ「全国タクシー」。現時点では、全国47都道府県、約3万台のタクシーに対応。300万ダウンロードを達成
車内に設置された機器(無線、ナビ、カメラなど)はタブレットに置き換えることができるのはないかと考え、「AIOS」の構想に至った
各機器で取得したデータをクラウドサービス「Windows Azure」で管理
各機器から取得するデータの概要
山本氏自身、実際にタクシーで使用感を確認している。民生用のタブレットでは、CPUの性能の問題でナビゲーションが動作しない問題も発生したという

(磯谷 智仁)