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Yahoo!ウォレット、現金派向けの「預金払い」と電子マネー「Yahoo!マネー」提供へ

 ヤフー株式会社は、オンライン決済サービス「Yahoo!ウォレット」において、「預金払い」サービスおよび電子マネー「Yahoo!マネー」を今夏より提供する。まずは、「ヤフオク!」「Yahoo!ショッピング」およびアスクル株式会社が運営する通販サービス「LOHACO」で導入する。

「預金払い」「Yahoo!マネー」の概要

 「預金払い」はYahoo!ウォレットに登録した銀行口座から決済代金を引き落とせるサービス。25行の銀行口座に対応。内訳は、大手銀行4行(三井住友銀行、みずほ銀行、りそな銀行、埼玉りそな銀行)、ネット銀行1行(ジャパンネット銀行)、地方銀行20行。年内に12行の地方銀行と三菱東京UFJ銀行の追加も予定している。

 Yahoo!マネーは、「ヤフオク!」「Yahoo!ショッピング」「LOHACO」で1円単位で利用できる電子マネー。「預金払い」に対応している銀行口座から100円以上1円単位でチャージできる。また、ヤフオク!で出品した際の落札代金を「Yahoo!マネー」で受け取ると、落札代金の2%が「Yahoo!マネー」として上乗せされる特徴がある。さらに、各サービスでの落札・購入の際にYahoo!マネーを利用すると、落札代金または商品本体価格の1%分の特典を獲得できるキャンペーンも実施する予定。

 両サービスは今秋をめどに「GYAO!」「Yahoo!ゲーム」でも導入するほか、外部のオンラインストアへも拡大する予定。また、2017年春ごろにはリアル決済領域も視野に入れている。詳細は現時点では決まっていないが、モバイル決済または既存のデビットカードなどのカード媒体を使っていくかどうか、今後検討するとしている。

「預金払い」では月額利用料金の上限を設定できる
預金払い対象口座
「Yahoo!マネー」は個人間送金にも利用できる
今後も提供範囲を拡大する予定

 個人間でのYahoo!マネーを利用した割り勘、送金が手数料無料で利用できるスマートフォンアプリ「さっと割り勘 すぐ送金 from Yahoo!ウォレット」も提供する。受け取ったYahoo!マネーを現金として口座に払い出すことも可能(別途手数料が必要)。また、割り勘機能は、割り勘する金額と人数を入力すると自動で割り勘リストが作成され、「LINE」「Facebook」のユーザーなどに支払依頼を送ることができる。

送金手順
割り勘手順

自社決済による循環モデルで新しい体験を提供

 都内で行われた記者発表会では、ヤフー執行役員決済金融カンパニー長の谷田智昭氏と決済カンパニー決済コンシューマ本部決済サービス部長の白石陽介氏が登壇した。

 ヤフーは2002年にYahoo!ウォレットのサービスを開始。現在、登録者数は3300万人、加盟店数は40万以上に上るという。決済取扱高はECの成長とともに増加。クレジットカード決済の利用者の増加を受け、2015年4月には「Yahoo!JAPANカード」の提供を開始している。

 白石氏は新サービス提供の経緯について説明。「Yahoo!ウォレットはクレジットカードをYahoo! JAPAN IDに対して登録することで“インターネットの財布”としてワンクリックで支払えるサービスとして提供してきた。しかし、これまで現金派ユーザー向けの支払方法がなかった」という。銀行振り込みやコンビニ払いは各店舗に出向く必要があり、代引きでは手数料の負担が生じる。Eコマースの拡大を考えた際、これらの課題を解決するため、「Yahoo!マネー」「預金払い」サービスを開始するに至った。

 谷田氏は、「自前の電子マネー、新しい預金払いサービスを提供することで、現金に代わる新決済サービスがユーザーに使われることを望んでいる。まずはYahoo!の中でサービスを育てていきたいと思っている。『ヤフオク!』で出品した商品の落札代金を電子マネーで受け取り、Yahoo!ショッピング、LOHACOで利用してもらう循環モデルの基盤を作っていきたい。また、チャージフリーで貯まった残高を送金アプリで送金するなど、新しい体験をユーザーに提供していきたい」と意気込みを語った。

ヤフー決済事業の歩み
これまでは現金派向けの支払方法がなかった
ユーザーメリットは「安心」「簡単」「お得」
決算手段別取扱比率。ネットでは32%、リアルでは79%の現金派ユーザーがいる
ヤフー株式会社執行役員決済金融カンパニー長の谷田智昭氏
ヤフー株式会社決済金融カンパニー決済コンシューマ本部決済サービス部長の白石陽介氏

(磯谷 智仁)