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図書館流通センターやボイジャーなど4社、視覚障がい者向け電子図書館システムを開発
(2016/5/16 13:40)
大日本印刷株式会社(DNP)、株式会社図書館流通センター(TRC)、日本ユニシス株式会社、株式会社ボイジャーは16日、視覚障がい者向け電子図書館システムの開発を発表した。
今回発表された電子図書館システムは、DNP、TRC、日本ユニシスがボイジャーの協力の下、4月1日現在で全国36の図書館に提供している「電子図書館サービス TRC-DL」に、音声読み上げとキーボード操作で書籍を検索・閲覧できる機能を追加したもの。
4社では2014年より、立命館大学の視覚障がい者向けに電子書籍の普及を目指す研究プロジェクト「電子書籍普及に伴う読書アクセシビリティの総合的研究(Integrated Research of accessible ebooks: Interfaces & Services:IRIS)」に参画。その活動の1つとして、兵庫県の社会福祉法人三田市社会福祉協議会と「公共図書館で働く視覚障害職員の会」の協力を得て、図書館で視覚障がい者が独力で書籍を検索して貸し出しを受け、音声読み上げで読書を楽しむために必要な要件や課題を抽出し、追加機能を開発したという。
電子図書館サービス TRC-DLは、音声読み上げ可能な電子書籍6000タイトル、オーディオブックが1500タイトルを収録する国内最大規模のクラウド型サービス。ウェブアクセシビリティ規格「JIS-X8341」ガイドラインに配慮しているが、健常者向けの画面構成で、視覚障がい者の多くが利用するPCやスマートフォンの画面読み上げソフトに適合しないことが主な課題となっていた。
このため、TRC-DLに電子図書館サイトに画面読み上げソフト「スクリーンリーダー」に対応した検索用画面を追加し、読書用ビューアーには、タイトルや著者名の表示/読み上げ機能、自動音声での読み上げによる再生や停止、ページ送り/戻しの機能とこれらへのショートカットキー設定機能を追加したという。
DNPでは電子図書館システム全体の企画と運営、TRCでは電子書籍の書誌データベース「TRC MARC」の制作やコンテンツの企画、システム販売を、日本ユニシスはシステム開発と保守を、ボイジャーはビューアーの企画と開発を行っている。
2016年4月に施行された「障害者差別解消法」では、全国の公共・大学図書館で情報へのアクセスのしやすさを確保することが求められていることから、4社では、今回開発された電子図書館システムにより、視覚障がい者が読書を自立的に楽しむことができる環境を提供するとしている。
この電子図書館開発システムは、2016年4月から三田市立図書館で検証実験が行われ、夏にサービスを開始する予定。今後は、利用者や図書館からの要望に基づいて機能の拡充を進め、3年間で200図書館以上への導入と、30億円の売上を目指す。