中国のネット利用者は4億2000万人に、ブロードバンドが3億6000万人超
中国ネットワークインフォメーションセンター(CNNIC)は15日、中国における2010年6月末時点でのインターネットの利用状況をまとめた「第26次中国互換網発展状況統計報告」を発表した。
●中国のブロードバンド利用者は3億6381万人
2009年6月末時点のインターネット利用者は4億2000万人で、半年前に行った前回調査より3600万人、2009年6月末からの1年間では8200万人増加した。ブロードバンド利用者は、携帯電話による利用者を除いたインターネット利用者全体の98.1%にあたる3億6381万人となっている。インターネット利用者を全人口で割ったインターネット普及率は31.8%と、調査以来、初めて3割を超えた。
携帯電話によるインターネット利用者は2億7700万人で、半年前の前回調査比で4334万人増加。増加率は前回調査時より小さいが、毎年下半期は携帯電話キャリア各社がキャンペーンを頻繁に行うのに対し、上半期はキャンペーンの頻度が少ないという要因から増加数がおとなしいものとなっているという。
携帯電話によるインターネット利用者の半年での増加数 |
インターネットを利用する機器(複数回答可)は、「デスクトップPC」(73.6%)が前回調査時からほぼ横ばいだった一方で、「携帯電話」(65.9%、前回調査時比5.1%増)と「ノートPC」(36.8%、同6.1%増)は、前回調査比で5ポイント以上増える結果に。
また、自宅でのPC所有者増加を背景に、インターネットを利用する場所(複数回答可)についても、「自宅」(88.4%、同5.2%増)での利用者が増加し、「インターネットカフェ」(33.6%、同1.5%減)での利用者が微減となった。微減にとどまったのは、インターネットカフェは最新のスペックのPCが置いてあり、オンラインゲームユーザーに重宝されていることが原因と思われる。また、「職場」(33.2%、同3.0%増)での利用も増加した。仕事中にPCでインターネットを利用するのは有職者中31.1%、携帯電話では22.7%。
中国のインターネット利用者は、高校生、大学生、若い社会人に偏っている傾向があり、今回の調査でもそれが浮き彫りとなった。ただし10代、20代よりも、30代以上の年齢層での新規利用者が多かったため、年齢構成比に若干の変動があった。若い層でも中高生の増加が見られたとし、その結果、学生はインターネット利用者全体の30.7%になった。
インターネット利用者の年齢構成 |
インターネット利用者を収入別で見ると、無収入から都市部の平均所得の約2倍となる5000元(約6万7000円)までバラつきが見られた。前回調査時に比べ、失業者のインターネット利用者の割合が大幅に減ったため、無収入の割合が減少し、代わりに500元以下(約6700円)の割合が増加した。
インターネット利用者の収入構成 |
都市部と農村部の比率については、前回調査時よりも農村部の比率が微減して27.4%に。まだまだ普及率の低い農村部において、インターネットの普及が進まないことが伺える結果となった。インターネット利用者の中で第一次産業に従事する人の割合は4.7%、出稼ぎ労働者の割合は1.7%であることから、農村部の中でも学生や、中心の商業地における経営者や労働者に利用されているようだ。
●ドメイン数、ウェブサイト数ともに減少
以前「.cn」ドメイン取得1元キャンペーンを行っていたが、多くのサイトが特別価格キャンペーン終了を迎えたことにより、ドメイン数とサイト数がともに減少。ドメイン数は1121万件で、うち過去にドメイン数の増加を牽引した「.cn」ドメインは724万件。ドメイン全体で「.cn」ドメインが占める割合は、前回調査時の80%から64.7%まで減少した。その一方で「.com」ドメインが増加し、割合では前回調査時の16.6%から29.6%まで増加した。サイト数は、前回調査時の323万件から279万件に減少した。
ウェブサイト数の変化 |
海外バックボーンの総容量は半年前と比べて15.2%増の998,217Mbpsに。ただ、中国から利用している限り、体感速度では以前よりも日本のサイトへのアクセスが遅くなった感じがする。これは、今年に入りインターネットキャリアである中国電信(チャイナテレコム)が、中国全土で2Mbpsから4Mbps以上にプラン変更を推進しているのが一因かもしれない。
●ショッピング系の利用者増加が目立つ、ブログの利用率は頭打ち
インターネット利用者の週あたりのインターネット平均利用時間は、前回調査時の18.7時間から19.8時間へと、1時間以上増加した。では、何を利用しているのだろうか。
利用用途の多い順から「音楽視聴」(82.5%)、「ニュース閲覧」(78.5%)、「情報検索」(76.3%)、「チャット」(72.4%)、「オンラインゲーム」(70.5%)、「動画視聴」(63.2%)、「電子メール」(56.5%)、「ブログ」(55.1%)、「SNS」(50.1%)、「ネット小説」(44.8%)、「オンラインショッピング」(33.8%)、「掲示板/BBS」(31.5%)、「オンラインペイメント」(30.5%)、「オンラインバンキング」(29.1%)、「オンライントレーディング」(15.0%)、「オンライン旅行予約」(8.6%)となっている。各利用用途の利用人口については、携帯電話の利用者も含めた4億2000万人に利用率をかければ算出される。
インターネットの利用用途と利用率の変化 |
いずれの利用用途でも利用者は増加しているが、その増加の度合いには差が見られる。オンラインショッピングやそれに付随する支払いサービスの利用者増加が著しく、将来も利用者増加が期待できる一方で、ブログは前回調査時に比べ全体における利用率が減少している。例えば電子メールはここ数年、利用者全体の5、6割の利用者を維持していることをふまえると、ブログには将来劇的な利用者増は見込めないかもしれない。
携帯電話の利用者に限定した利用用途では、利用用途の多い順から「チャット」(61.5%)、「情報検索」(48.4%)、「音楽視聴」(45.3%)、「ネット小説」(43.3%)、「SNS」(35.5%)、「オンラインゲーム」(21.1%)、「動画視聴」(20.4%)、「電子メール」(16.0%)、「オンラインペイメント」(6.1%)となった。そのうち、チャットやSNSなどのコミュニケーション系の用途ではPCと携帯電話を併用する利用者が多数派であるのに対し、ネット小説では、PCのみ利用する利用者と、携帯電話のみ利用する利用者、併用する利用者がほぼ同率となり3分する結果となった。
利用者のセキュリティに関する意識も調査している。今年に入りウイルスの被害にあったことのある利用者は全体の59.2%、何らかのパスワードを盗まれた利用者は30.9%を占めた。また、オンラインショッピングサイトを訪問する利用者のうち89.2%が、訪れるサイトがニセモノを販売する悪徳サイトではないかと常々心配しているという。
関連情報
(山谷 剛史)
2010/7/20 06:00
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