電源入れればあとは自動で中継開始、Ustream専用機器「CEREVO LIVEBOX」発売
ビデオカメラをつなぐだけでPCは不要
CEREVO LIVEBOX |
株式会社Cerevoは8日、ビデオカメラを接続するだけで、その映像と音声を簡単にUstreamで配信できる機器「CEREVO LIVEBOX」の販売を開始した。エンコーダーやインターネット接続機能をワンボックスに搭載しており、初期設定の完了後は、PCなど不要で、電源を入れればあとは自動的にUstreamに接続して中継を開始できる。
価格は5万円。同日より自社通販サイトで受注を開始する(発送は10月21日より順次開始)。また、一部専門店での店頭販売も予定されている。
本体サイズは132×103×28mm(幅×奥行×高さ)、重量は450g。鉄板製の筐体に950mAhのリチウムポリマーバッテリーを内蔵しており、外部電源なしでも最大2時間の駆動が可能だ。ACアダプターも付属しており、給電しながらの連続駆動も行える。
インターフェイスは、映像がSビデオ入力1系統、コンポジットビデオ入力1系統、音声がステレオライン入力(RCA)1系統、モノラルマイク入力(ミニジャック)1系統。このほかUSBが1ポートあり、同梱するプラネックス製の小型無線LANアダプター(IEEE 802.11b/g/n)または有線LANアダプター(100BASE-TX/10BASE-T)をここに接続して、インターネットに接続する。本体前面には、ステータスを表示する小型LCDのほかは、POWER/LIVE/SETUP/RESETの4ボタンのみとなっている。
PCを使わずにUstream中継を行うツールとしてはiPhoneやAndroid端末があるが、CEREVO LIVEBOXでは、ズームや手ブレ補正機能を備えたビデオカメラや高性能マイクなど、スマートフォンに比べて高性能な映像・音声入力機器が使えること、また、CIF解像度(352×288ピクセル)で最大30fpsでの映像送出が可能な点が強みだ。エンコード方式はH.263。
さらに、2系統あるビデオ入力にそれぞれビデオカメラを接続すれば、別途ビデオスイッチャーを用意しなくても、2台のカメラを切り替えながら中継することが可能だ。音声入力については2系統をミキシングする機能を備えており、例えばBGMとマイクからの音声を重ねることができる。
前面 | 背面 |
PC不要で配信できるよう、操作の簡便化も追求した。
Ustreamの登録IDやチャンネル名などの各種設定は、Cerevoが運営するウェブサイト「CEREVO LIFE」上に用意されるユーザーページにおいて、スマートフォンやPCから入力しておき、それをCEREVO LIVEBOXが読み込みに行く仕組みだ。
ただし、購入直後はネットワーク接続設定がなされておらず、インターネットに接続することができないため、独特の方法でDHCPや無線LANなどの設定データをCEREVO LIVEBOX本体に転送するようになっている。具体的には、CEREVO LIFE上でESSIDおよび暗号化キー(最大10セット)などを登録し、そのデータを音声に変換して再生できるようになっている。スマートフォンやPCのヘッドフォン端子とCEREVO LIVEBOXのマイク入力端子をミニジャックケーブルで接続することで、音響カプラーの要領で設定データを転送・保存する。
CEREVO LIFEのネットワーク設定画面 | 設定データ転送用の音声再生画面 |
以降は、CEREVO LIVEBOXのPOWERボタンを押すと、ひも付けられたCEREVO LIFEアカウントの設定情報を読み込み、自動的にUstreamに接続してそのまま中継を開始する流れとなる。本体前面のLIVEボタンを押せば中継を一時中断(実際は、真っ黒の画面と無音状態を送信している)、再び押せば中継を再開できる。
なお、中継はCEREVO LIVEBOX本体のみで可能だが、細かい設定などについてはスマートフォンまたはPCからCEREVO LIFEにアクセスし、ウェブアプリ上からCEREVO LIVEBOXをリモートコントロールする仕組み。LIVEボタンに相当する再生/一時停止のほか、ミュートやボリューム調整、回線速度に合わせたクオリティ選択、映像・音声のビットレート調整などが行える。また、2系統ある映像入力の切り替えも現時点ではここから行うようになっている。今後、ファームウェアのアップデートなどで、本体スイッチ操作からでも映像入力の切り替えができるようにすることも検討したいという。
リモートコントロール画面 |
本体だけでUstream中継ができる機器として、Cerevoではすでに無線LAN対応デジタルカメラ「CEREVO CAM live!」を販売している。手軽さや小型化を追求した製品だが、同社代表取締役の岩佐琢磨氏によると、映像・音声のクオリティを求めるユーザーからは、外部のカメラやマイクをつなげたいという、デジタルカメラとしては本末転倒な要望も多いという。いわば、カメラやマイクは性能の高いものを別途用意するから、エンコードやネットワーク接続を簡単に行う機能のみが欲しいというわけだ。
そこでCerevoでは、こうした要望を持つハイアマチュアや、企業におけるイベントや発表会中継などのニーズを見込んで、CEREVO LIVEBOXを商品化した。じつはCEREVO LIVEBOXは、CEREVO CAM live!の基板を改良したものに、ビデオ入力などの外部インターフェイス基板を拡張した構成になっている。Texas Instruments製の画像処理プロセッサー「DM355」を搭載し、Linuxベースのシステムで動作させている。
なお、技術的にはUstream以外のライブ中継サービスにも対応可能だが、今のところその予定はないという。
CEREVO LIVEBOX本体の上下には三脚穴があり、このような設置も可能 | 株式会社Cerevo代表取締役の岩佐琢磨氏 |
関連情報
(永沢 茂)
2010/10/8 09:00
-ページの先頭へ-