「光の道」構想に向けた取りまとめ案、NTT東西については機能分離を提言


 総務省の「グローバル時代におけるICT政策に関するタスクフォース」は11月30日、「過去の競争政策のレビュー部会」と「電気通信市場の環境変化への対応検討部会」の共同会合を行い、「光の道」構想の実現に向けた取りまとめ案を示した。合同部会では、取りまとめ案とこれまでの議論をもとに、タスクフォースの政策決定プラットフォームに報告する。

 「光の道」構想は、2015年ごろをめどに超高速ブロードバンド(100Mbps以上)の整備率を100%とし、日本のすべての世帯がブロードバンドサービスを利用することを目標とするもの。この構想について議論を行っていたタスクフォースの合同部会では、11月22日に骨子案を発表。今回の取りまとめ案も骨子案に沿う形となっている。

 取りまとめ案では、光の道構想の実現に向けた3本柱の政策として、1)未整備地域における「ICT利活用基盤」の整備の推進、2)NTTのあり方を含めた競争政策の推進、3)規制改革等によるICT利活用の促進――を挙げ、それぞれについて提言を行っている。

 未整備地域の整備推進については、超高速ブロードバンドの整備率は2010年3月末時点で約90%で、残り約10%の未整備世帯についても競争環境の中での民間主導による整備を原則とすることが適当と指摘。一方で、整備には多大なコストを要することから、公設民営方式を基本とする支援策や、光ファイバーが敷設困難な場合などには一定の代替的な役割を有する手段としてケーブルや無線ブロードバンドの有効活用を図ることが適当としている。

 NTTのあり方を含めた競争政策の推進としては、サービス競争促進の観点から加入光ファイバー接続料算定方法の見直しに向けた具体的な検討を開始することを求めている。

 また、NTT東西が保有する加入光ファイバーなどのボトルネック設備を、他社が利用する場合も同等性が確保されていることが、公正な競争環境整備のために必要だと指摘。そのための手段として、NTT東西のボトルネック設備を保有する部門と、その他の部門の間で、人事・情報・会計などのファイアウォールを厳格化する「機能分離」を速やかに行うことが、現時点で最も現実的かつ効果的であるとしている。

 この問題については、NTT東西のアクセス回線部門を分離して別会社とする案をソフトバンクが提案していたが、取りまとめ案では事業成立の可能性や、メタルから光への移行に関わる課題などをふまえると、実現には不確実性が高いと考えられると評価している。


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(三柳 英樹)

2010/12/1 13:36