ソニー、PSN不正アクセス対応、2011年度の営業利益に140億円の影響


執行役EVP CFOの加藤優氏

 ソニーは26日、2010年度の連結決算を発表した。売上高は前年度比0.5%減の7兆1812億円、営業利益は同528.9%増の1998億円。純損益は、日本における繰延税金資産に対して現金支出を伴わない3623億円の評価性引当金を計上し、2595億円の赤字となった。東日本大震災の影響で業績が不透明になったため。

 営業利益は為替の影響を大きく受けたが、ネットワークプロダクツ&サービス(NPS)分野で「プレイステーション3」のハードウェア原価低減やソフトウェアの売上増加により損益が改善。また、コンシューマー・プロフェッショナル&デバイス(CPD)分野でも日本やアジア・太平洋地域で液晶テレビの売り上げが伸び、全体では好調に推移した。

 4月に発生したPlayStation Network(PSN)およびQriocityのサービスへの不正アクセスについては、2011年度の営業利益に約140億円の影響を与えると試算。この金額にはまず、不正アクセスにより盗まれた個人情報の不正利用により生じた損害を一定の上限まで補てんする保険が含まれている。

 このほかにも、不正アクセスの対象ユーザーへのゲームや音楽、ビデオなどの無償提供、コールセンターなどの各種カスタマーサポート、ネットワークセキュリティの強化、法務・調査、売上減に伴う利益の影響額が含まれているという。なお、現時点では個人情報が不正使用されたという報告は確認されていないとしている。

 不正アクセスに関してはソニーグループが運営するウェブサイトも標的となっている。26日の会見で執行役EVP CFOの加藤優氏は、「ソニーグループのサイトとPSNのシステムは別々。一概に同じ問題ととらえるのは難しい」と説明した上で、ネットワーク事業を収益の柱とする企業として、グループ全体でセキュリティを強化していきたいと語った。

 なお、ソニーはPSNへの不正アクセスによる個人情報流出が発覚した4月20日以降、日本ではサービスを停止している。再開のめどについて業務執行役員SVP広報センター長の神戸司郎氏は、「5月中という目標は変えていない。欧米では部分的に再開しており、日本も近日中に一部サービスを再開し、全面再開への準備もしている」と語った。

 2011年度の連結業績予想は、売上高が前年度比4.4%増の7兆5000億円、営業利益が同0.1%増の2000億円、純利益が800億円。


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(増田 覚)

2011/5/26 20:30