au、国内初のWindows Phone 7.5搭載スマートフォン発表
KDDI、沖縄セルラーは、国内初のWindows Phone 7.5搭載スマートフォンとして、富士通東芝モバイルコミュニケーションズ製の「Windows Phone IS12T」を発表した。9月以降に発売される予定。端末の予想価格は、利用料からの割引サービス「毎月割」を適用した場合に3万円台半ばになる見込み。
●Windows Phone 7.5
「IS12T」は、日本マイクロソフトのスマートフォン向けOS「Windows Phone 7.5」を搭載したスマートフォン。マイクロソフトのモバイル向けOSは、2010年2月に発表されたWindows Phone 7よりプラットフォームを一新し、タイル状の縦スクロール型ユーザーインターフェイス(UI)となった。開発コード「Mango」と呼ばれる「Windows Phone 7.5」は日本語を含めた多言語対応となり、国内初のWindows Phone 7.5搭載モデルが発表されることになった。
「Windows Phone 7.5」のメトロデザインと呼ばれるUIは、入り組んだ地下鉄でも案内標識をたどっていけば目的の場所にたどり着くように、「行きたいところに最短で行ける」ことを目標に設計されている。ハブ(People、Pictures、Games、Music+Videos、Marketplace、およびOffice)と呼ばれる6つのカテゴリに分類されており、それぞれクラウドとの連携機能などが強化されている。
なお、ホーム画面こそ縦スクロール型のUIではあるが、ハブをタッチすると横方向に展開され(パノラマ画面)、大カテゴリ(ハブ)から小カテゴリ遷移する。この小カテゴリを縦に展開すると、より詳細な情報が確認でき、詳細情報をタッチすれば情報の個別ページにアクセスできる。縦横に展開していくことで、入手できる情報が広がっていくイメージとなっている。
●ハブ、文字入力
OSレベルで連携するコミュニケーション機能も特徴の1つとなっており、「People」のハブでは、FacebookやWindows LiveのIDなどと連携するアドレス帳が用意されている。従来型の端末プラットフォームは、サービスやアプリから人の動向をチェックすることが一般的だが、Peopleハブでは、いわゆるアドレス帳の機能が拡張されており、人にヒモ付いた情報が全て確認できるようになっている。電話番号やメールアドレスだけでなく、SNSの更新状況なども確認できる。メッセージ機能は、SMSやMMSのほかWindows Live MessengerやFacebookチャットとも統合されている。
また、Windows Phone 7.5というグローバルのプラットフォームではあるが、日本マイクロソフトによりローカライズされ、東京の調布の開発部隊が開発した10キー日本語入力システムも大きな特徴となっている。「カーブフリック」と呼ばれるフリック型の入力システムは、「あ」キーを押すと四方に「い」「う」「え」「お」が表示され、指を該当文字の方にスライドさせることで入力できる。ここまでは通常のフリック入力システムと同様のものだが、濁音や半濁音の「か」「さ」「た」「は」では、そこからさらに枝が伸び、清音の入力と同じ流れの中で濁音や半濁音が入力できるようになっている。このほかQWERTY配列のキーボード入力なども選択できる。文字入力はMS-IMEを採用。
●ブラウザ、音楽機能、Marketplace
ブラウザはInternet Explorer 9を搭載しハードウェアアクセラレーターの搭載によりスムーズな表示を実現している。Officeのビジネス文書(Word、Excel、PowerPoint)の閲覧・編集機能も用意され、Office 2003/2007/2010に対応する。クラウドストレージサービス「SkyDrive」には、約25GBのユーザー領域が用意され、たとえばカメラ機能では、撮影した画像の保存共有先にSkyDriveが選択できるようになっている。
音楽機能としては、Windows PhoneのUIの発端とも言える音楽管理ソフト「Zune」(ズーン)に対応する。パソコン上で管理している音楽データをmicroUSBケーブルで同期できる。DLNA機能に対応しており、Wi-Fiを経由してDLNA対応テレビで「IS12T」内の音楽データや写真、動画などが再生できる。
アプリはアプリ配信マーケット「Marketplace」からダウンロードできるほか、Xbox LIVEからゲームの最新情報やフレンドの最新プロフィールなどが確認できる。Marketplaceは、Windows Live ID(無料)が必要となる。現時点では多くは英語のアプリとなるが約2万4000アプリが配信されているという。
●サクサク感やヌメヌメ感を感じるUI
Windows Phone 7シリーズ以降、マイクロソフトはハードウェアのスペック条件を定め、Windowsブランドをリブランディングすることで、世界観の統一化を図っている。「IS12T」でもサクサク感やヌメヌメ感といった言葉で表現される、人の感性に訴える演出は、海外モデル同様に心地よさを感じさせるものとなっている。とくにヌメヌメ感については、他のスマートフォン向けOSよりも強いこだわり感じる。順調に発売まで進めば、世界初のWindows Phone 7.5モデルは日本から登場することになるとのこと。
このほか、日本語対応となったことで、欧文フォントと日本語フォントが混在している。ゴシック体系の等福フォントと思われる独特な日本語の表記が縦書き・横書きで各所に配されており、海外から見た日本のUIといった印象を受けた。端末のフォントは、「メイリオ」と「Yuゴシック」が採用されている。
●ハードウェア
「IS12T」は、IPX5/7/8等級の防水性能、IP5X等級の防塵性能を実現しており、ボディカラーもポップで鮮やかなカラーリングを採用している。メインターゲットは20~40代の男女で、仕事もプライベートもとことん楽しむようなアクティブなユーザーを想定しているという。
チップセットはクロック周波数1GHzのクアルコム製「MSM8655」(Snapdragon)を採用する。内蔵メモリは32GBでこのうち、データ容量は約28GBとなる。ディスプレイは約3.7インチ、800×480ドットのTFT液晶を搭載する。タッチ式液晶となり、指紋や汚れが付着しにくい耐指紋コートディスプレイを採用する。
端末背面部に配したカメラは、オートフォーカス付きの1320万素のCMOSとなる。画像処理エンジン「Milbeau Mobile」エンジンを搭載し、撮影シーンの自動認識機能なども用意されている。ディスプレイ側のカメラはないが、1280×720ドットのハイビジョン撮影に対応する。
外部メモリには対応しておらず、これはセキュリティ面への配慮という。その代わりに内蔵メモリが大容量で、約25GBのSkyDriveも利用できる。
Wi-FiやBluetooth 2.1+EDR、GPS、緊急地震速報、WIN HIGH SPEEDなどに対応し、ワンセグやおサイフケータイ、赤外線通信には非対応となる。通信方式は、CDMA 1x EV-DO RevA方式のほか、海外ではGSM/GPRS/CDMAがサポートされる。
EZwebのメールは、10月上旬にダウンロードで対応する予定、Cメールは受信のみサポートする。ナビタイムジャパンのアプリなどがプリセットされるほか、Marketplaceでアプリがダウンロードできる。
バッテリー容量は1460mAh。連続待受時間は約280時間で、連続通話時間は約400分間となる。大きさは約59×118×10.6mm(最厚部13.3mm)で、重さは約113g。ボディカラーはシトラス、マゼンタ、ブラックの3色展開。
なお、通信料金は従来のスマートフォン向け料金プランやパケット定額プランが適用される。7月28日より、東京・原宿のKDDIデザイニングスタジオ、愛知・名古屋のau NAGOYAで展示される。
関連情報
(津田 啓夢)
2011/7/27 16:08
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