J:COMと東急電鉄が相鉄傘下のCATVを共同買収、両社で相互連携を検討


J:COMの森修一社長(左)と東急電鉄の野本弘文社長(右)

 株式会社ジュピターテレコム(J:COM)と東京急行電鉄株式会社(東急電鉄)は22日、相鉄ホールディングス株式会社が保有する横浜ケーブルビジョン株式会社(YCV)の全発行株式を両社が共同で取得すると発表した。取得予定日は10月7日。買収総額は75億円。取得割合はJ:COMが51%、東急電鉄が49%。

 22日に行われた共同会見では、J:COMの森修一社長が共同買収の趣旨について説明した。YCVは横浜市旭区、泉区、保土ヶ谷区の全域、西区と戸塚区の一部をサービスエリアとしており、J:COMと、東急電鉄グループのケーブルテレビ事業者イッツコムのサービスエリアに囲まれているため、両社の経営リソースの有効活用など様々な相乗効果が見込めるとした。

 YCVのサービスについては、現在もYCVがイッツコムからの配信サービスを受ける形でユーザーに提供しており、共同買収後も当面は現状のサービスを継続して提供していくと説明。社名についても変更の予定はないとした。

YCV、J:COM、イッツコムのサービスエリアJ:COMが51%、東急電鉄が49%の株式を取得

 東急電鉄の野本弘文社長は、東急電鉄は「街づくり」の一環としての鉄道事業からスタートし、ケーブルテレビ事業も沿線住民への生活サービスとして1980年代から進めてきたと説明。野本氏は以前イッツコムの社長を務めており、「その頃からJ:COMとはケーブルテレビを生活インフラにしていこうということで様々な話をしてきた。その流れで、配信サービスを手がける日本デジタル配信も共同で設立した。今後はそれぞれの強みを活かし、相互連携による新たな生活サービスの実現を目指す」と語った。

 共同買収を機に、今後両社のサービスの統合や事業統合などを考えているかという質問に対しては、「現状ではまったく視野に入れていない」(森氏)とコメント。ただし、他の放送サービスや通信サービスとの競合が激化していく中では、「ケーブルテレビ業界全体が手を携えて、他のメディアに対抗していかなければならない」として、互いの得意な分野を活かした提携については今後さらに積極的に進めていくと説明。YCVをJ:COMと東急電鉄で共同経営を行っていく中で、両社のサービスやノウハウを互いに学び合い、ケーブルテレビを地域社会における生活サービスメディアとして進化させていくことを目指して、相互連携の検討を進めていくと語った。


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(三柳 英樹)

2011/9/22 18:55