ソフトバンク決算発表、通信事業の好調と基地局建設の進展をアピール


 ソフトバンク株式会社は31日、2013年3月期第2四半期(2012年4月~9月)の連結決算を発表した。売上高は1兆5861億円(前年同期比3.3%増)、営業利益は4027億円(同7.9%増)、経常利益は3630億円(同15.4%増)、当期純利益は1694億円(同22.0%減)。

 決算説明会で代表取締役社長の孫正義氏は、9月に発売したiPhone 5の販売も好調で、モバイル事業が好調を維持したことなどにより、売上高は3期連続、営業利益は7期連続で過去最高となり、営業利益はNTTドコモに迫る勢いだと説明。当期純利益については、前年同期には株式売却益などの一時利益があったため減少しているが、その分を除けば順調に推移しているとした。

 国内事業の状況説明では冒頭、「ソフトバンク版のiPhone 5には2つの誤解がある」と切り出し、「ソフトバンク版のiPhone 5は電池の減りが早い」「ソフトバンクのLTE基地局はオムニセル型のためカバーエリアが狭い」というのは誤解だと主張。電池の問題については、LTE待ち受け時のパケット通信の接続状態を10月19日から最適化したことにより、「現在ではau版よりも長持ちするようになった」と説明。LTE基地局もオムニセル型は3%だけで、97%はカバーエリアの広いセクター型が占めているとした。

10月19日以降は電池の減りの速さを改善(プレゼンテーション資料より)基地局の97%はセクター型だと主張(プレゼンテーション資料より)

 通信事業の状況については、契約純増数はNTTドコモ、auを上回る1位、ARPU(1契約あたりの月間売上)も3キャリアの中で唯一増加傾向にあり、モバイルの通信量売上が順調に伸びていると説明。ウィルコムも買収以降一貫して契約数を増やしており、固定通信でも営業利益を伸ばし続けているとして、事業の成長ぶりをアピールした。

 一方で、ソフトバンクが米Sprintの買収を発表して以来、孫社長のTwitterアカウントにも「Sprint買収のために国内の電波改善を後回しにするのでは」といった懸念が寄せられているが、そうした心配はないと説明。プラチナバンド(900MHz)の基地局については計画よりも前倒しで展開を進めており、今年度と来年度の設備投資額もさらに上積みしていくとした。

 また、LTEについても基地局の整備を進めており、「山手線の駅でつながらないといった声があったが、本日から山手線の全29駅でLTE接続可能になりました」と、決算説明会当日に調べたデータを紹介。さらに先週には、JRの乗降客数トップ1000駅でソフトバンクとauのiPhone 5を用いて調査を実施し、LTE接続可能な駅数や平均接続速度でソフトバンクがauを上回っていたとし、今後はこれにイー・モバイルの1.7GHzのLTEが加わることで、さらにLTEを強化していくとした。

10月31日時点で山手線全29駅でLTE接続可能に(プレゼンテーション資料より)JR乗降客数トップ1000駅で実施した調査でも、ソフトバンクの方がLTEで接続できると説明(プレゼンテーション資料より)

 Sprintの買収については、サービス停止予定のNextelの影響を除けば、契約数も売上も順調に増加しており、ソフトバンクからの増資により有利子負債が大幅に減少することなどで今後大きな成長が見込めることから買収を決断したと説明。スマートフォンやLTEといった、世界規模でスケールメリットを発揮できる状況に世界の競争環境が変化しており、今後もユーザーに最高のサービスを提供していくためには、事業規模の拡大が必要だと訴えた。

 また、買収を発表したイー・アクセスの株式保有割合については、「一旦100%にした後、どうするかは複数の案を検討中」だと説明。買収後のイー・アクセスの資本構成については「買収を決めた段階から複数の案を検討していた」として、その前に「我々の意志で株主構成を決めるため」に100%子会社とする方針に変更はないとしている。


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(三柳 英樹)

2012/10/31 19:50