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「サイバー防衛隊」新設など、政府の「サイバーセキュリティ戦略」が正式決定

 政府の「情報セキュリティ政策会議」は10日、サイバー攻撃への対策強化を図る「サイバーセキュリティ戦略」を決定した。

 サイバーセキュリティ戦略は、情報ネットワークの利用が進む一方で、サイバー攻撃のリスクも深刻化してきているという状況を踏まえ、「サイバーセキュリティ立国」の実現を目指し、2015年度までの3年間の国家戦略を取りまとめたもの。5月21日に最終案を公表し、パブリックコメント(意見公募)を実施。寄せられた174件の意見を踏まえ、表現などを一部修正した上で戦略として正式に決定した。

 戦略には、強靭なサイバー空間の構築に向けた取り組みとして、政府機関、重要インフラ事業者、企業・研究機関におけるそれぞれの取り組みや、「サイバー・クリーン・デー」(仮称)の新設など社会全体が参加した予防的対策の実施などを盛り込んだ。

 サイバー犯罪対策としては、日本版NCFTA(National Cyber-Forensics & Training Alliance、サイバー犯罪対策のための産官学連合)の創設や、犯罪者追跡のための通信履歴などログの保存のあり方やデジタルフォレンジックに関する取り組みを促進するための方策について検討していく。

 国家レベルでのサイバー攻撃からの防衛策としては、重要インフラなどの情報システムに対する攻撃における自衛隊など非常時における関係機関の役割を整理し、必要な体制・機密情報の共有システムや制度を整備。武力攻撃の一環としてサイバー攻撃が行われた場合には対処する任務を自衛隊が負うとして、「サイバー防衛隊」(仮称)の新設など、能力や態勢を強化するとしている。

 このほか戦略には、サイバーセキュリティ産業の国際競争力強化や、セキュリティ技術の研究開発、セキュリティ人材の育成、一般国民のリテラシー向上、国際連携などに関する取り組みを盛り込んでいる。

 内閣官房情報セキュリティセンター(NISC)については組織体制を整備し、2015年度をめどとして「サイバーセキュリティセンター」(仮称)に改組・機能強化を行うとしている。

 サイバーセキュリティ政策会議では、戦略の正式決定を受け、2013年度に実施する取り組みの年次計画案を公表し、パブリックコメントの募集を開始した。

(三柳 英樹)