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本の見開き画像の歪み、90%の精度で補正、富士通研究所が「ブック補正技術」

 株式会社富士通研究所と中国の富士通研究開発中心有限公司は10日、本の見開き画像を撮影した際に生じる歪みを補正する技術を開発したと発表した。オーバーヘッド型スキャナーで見開き画像を撮影するだけで、書面の歪みをフラットに補正できるという。

 富士通研究所によると、本の見開き画像の歪みを補正する技術としては従来、特殊な模様を書面に投影してその模様の変化から歪みを推定したり、カメラを2台使って書面の歪みを推定することで補正処理を行ってたという。あるいは、カメラ1台のみで補正する方式もあるが、ページの谷間の文字が縦長になりやすいなど、正確な補正が困難だったという。

 これに対して今回開発した「ブック補正技術」は、1台のカメラを使用する方式だが、ページの谷間の文字が縦長になることなく、正しく補正されるとしている。撮影した画像からページの輪郭線を正確に検出し、それをもとに書面の各場所の“高さ”を推定。隣接する場所との高さの差が大きい(湾曲が大きい)場合は大きな補正を、差が小さい(湾曲が小さい)場合は小さい補正をかける。撮影の際にページを押さえる指が写り込んでしまった場合も考慮。指領域の自動検出・除去も併せて行う。

「ブック補正技術」の仕組み
ページ境界の補正効果例

 富士通研究所によると、A4サイズの見開きページを解像度300dpi相当で読み取る場合、約90%の精度で歪み補正を行うことができ、約1.3秒で高速処理できるという。今後、同技術の高精度化を進めていくとしている。

 なお、ブック補正技術は、株式会社PFUが12日に発売するオーバーヘッド型スキャナー「ScanSnap SV600」ですでに商品製品で使用されている。ただし、ソフトウェアで処理する方式のため、同技術に対応した専用カメラなどの特殊なハードウェアと組み合わせなければ利用できない技術ではないという。すでに撮影済みの画像データに対してPC上でソフトウェア処理を行って補正することも可能だが、そうした単体ソフトウェアとしての製品化の具体的な予定はないとしている。

(永沢 茂)