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楽天、二重価格表示問題で謝罪会見~従業員18人が店舗に不当価格表示を提案
(2014/4/25 17:58)
楽天は4月25日、運営するオンラインショッピングモール「楽天市場」の二重価格表示問題について、記者会見を開催。従業員18人が出店店舗に対して元値を釣り上げて安く見せる不当価格表示を提案していたと発表。楽天株式会社代表取締役副社長の山田善久氏は、「楽天顧客、出店店舗やご心配・ご迷惑をおかけした関係者にお詫びします」と謝罪会見を行った。
「楽天市場」では、昨年行った楽天日本一セールなどで、通常価格で販売しているにも関わらず、通常価格の表示を2倍以上に釣り上げるなどで半額以下のセールと見せかける不当な二重価格表示が指摘され問題になった。元値をつりあげてセール価格を安く見せかける二重価格表示は、景品表示法違反の有利誤認に当たる可能性がある。楽天は当時、店舗の独断で行ったこととして、不当表示が確認された17店舗について出店停止措置を発表した。
しかし、今年3月20日に楽天社員が元値のつり上げ表示を店舗に指導していたと一部報道機関が報じ、モール運営者である楽天の責任を問う声が高くなっていた。4月22日に開催された消費者庁の消費者委員会「景表法における不当表示に係る課徴金制度等に関する専門調査会」でも、モールの責任も問うとの消費者庁見解が出たという報道もあった。
記者会見には、楽天株式会社代表取締役副社長の山田善久氏と同執行役員の河野奈保氏が出席。3月20日の報道を受けて楽天では同日「社内調査委員会」を設置。外部専門家に相談しながら調査を実施した。調査はECコンサルタント業務に従事した在職者全員661名と、楽天市場の全出店店舗4万1993店舗に電子メールを送付し、記名調査を行った。
調査を実施した結果、不当な二重価格表示の提案を行った事実が確認された楽天従業員は18名、楽天従業員が不当表示の提案を行った店舗は合計28店舗だったと発表した。
楽天では調査では組織的な指示があったことを示す事実は確認できなかったことから、「不当表示の提案は組織的に行われたものではないと判断した」としている。
楽天では、問題になった昨年の日本一セール後、2013年11月から元値の価格を「当店通常価格」または「メーカー希望小売価格」に限定し、それ以外は表示できないようにするなどの対策を実施してきたと説明。しかし、これらの対策はいずれも店舗の不正を防ぐための対策であり、楽天従業員に向けた対応策ではなかった。
楽天では今回、従業員による不当な二重価格表示の提案が実際にあった事実が判明したことを受けて、楽天市場のECコンサルタント向けの再発防止策を新たに実施すると発表。従業員向けの不正防止対策として、営業倫理委員会を新設するほか、監査体制の強化を行うとした。
山田副社長によると、問題の18人の従業員は「それほど悪いことだと認識していなかった」「ルール違反だとは知っていたが、それほど悪いことだとは思っていなかった」などと述べており、コンプライアンス意識が徹底していなかったことがわかったという。山田副社長は営業倫理委員会設置によって、一部の従業員ではあってもこうした意識がある点を是正していきたいと述べた。
また楽天では、今回の事態を受け責任の所在を明確にするため、常務執行役員1名に6カ月間10%の減俸と6カ月間10%の報酬返上、執行役員3名に6カ月間10%の減俸の処分を行うと発表した。不当表示の提案を行った従業員18名については処分は行わない方針という。