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お父さん=家庭内セキュリティ管理者の悩みを解消するトレンドマイクロ新戦略

 トレンドマイクロ株式会社が6日、コンシューマー分野の新戦略を発表した。IoE(Internet of Everything)時代の到来を見据え、企業向けに提供されているようなネットワークレイヤーでのセキュリティソリューションを家庭向けにも展開する構想だ。

トレンドマイクロ株式会社代表取締役社長兼CEOのエバ・チェン氏
トレンドマイクロ株式会社取締役副社長の大三川彰彦氏

 この戦略でトレンドマイクロは、まず「セキュリティアットホーム」というキーワードを掲げている。ホームネットワークに接続されるデバイスは、PCだけの時代からゲーム機やテレビ、スマートフォンやタブレット、メガネなどへと拡大しており、今後も冷蔵庫などの家電、自動車、電球、さらには現時点では想定もできないようなデバイスが出てくることから、それらデバイスごとに導入・管理するセキュリティソフトではIoE時代の脅威には対応できないと説明。ホームネットワークのゲートウェイ部分でセキュリティソリューションを提供するという。

 具体的な機能はまだ明らかにしていないが、ホームルーターまたはホームネットワーク内に設置する小型アプライアンスによって各種機能を提供する計画だ。ただし、すべての機能をホームルーターなどの機器に搭載してしまおうというのではなく、各種機能自体はクラウドと連携して提供することで、標準的なスペックのホームルーター機器でも対応できるようにしてく考えだ。ホームルーターなどの通信機器ベンダー、ISPやCATV事業者など通信事業者、電力・ガス・水道・警備会社などのサービス事業者との協業に向けて検討を進めていく。

 「セキュリティアットホーム」によるソリューションを導入すると、例えば新規購入したスマートフォンが家庭内に持ち込まれ、ホームネットワークに接続した段階で検出し、これを一元的に管理下に置くことができるようになるという。デバイスごとに個別にセキュリティアプリをインストールしたり、購入時期によって異なるライセンス期限の管理などを行わなくて済むため、家庭内セキュリティ管理者、すなわち、多くの場合、その役目を任されていると思われる「お父さんが必要とするソリューションではないか」と表現している。

 もちろん、こうしたデバイスがネットワークに接続されるのは家庭内だけではない。次に掲げるキーワードが「セキュリティエブリウェア」だ。外出先で4Gや公衆無線LANなどを経由してインターネットに接続されるスマートフォンやタブレットについては、それらモバイルデバイスにエージェントアプリをインストールしておくことで、VPN技術によりトレンドマイクロが提供するクラウド上のゲートウェイに接続。そこを経由してインターネット接続することで、不審な通信などをチェックする仕組みだという。このサービスは、申し込みや導入、使用する機能の追加などをクラウド上で即座に行えるようにするとしている。トレンドマイクロから直接ユーザーに販売する形式のほか、オンラインショッピングやオンライン金融サービスの事業者経由での提供、ブラウザーへの組み込み、さらには自動車メーカーとの協業などのパートナー経由での展開も計画している。

 このほか、「セキュリティコンシェルジュ」というサービスの構想も明らかにした。これは、セキュリティに関するパーソナライズされたサポートサービスを提供するものだ。トレンドマイクロが運用する「Trend Micro Smart Protection Network」で収集・蓄積・解析されたマルウェアや不正サイトなどの脅威データベースをもとに、ユーザーがそれぞれ保有するデバイスの種類や利用状況などをふまえながら、ユーザーごとに異なるパーソナライズされたセキュリティ関連情報を提供するものだという。現在ではネットワークの脅威はウイルスだけではないとし、何か怪しい動きが起こった際には、膨大なデータの中から、それぞれのユーザーに必要な情報を伝えていくことで、常に守られている安心感を提供したいとしている。

トレンドマイクロ株式会社執行役員コンシューママーケティング統括部長の吉田健史氏

 トレンドマイクロは新戦略の発表にあたり、「もはやウイルスバスターの会社ではない。デバイスから脱却して、家族すべてを守る」とアピール。年内を目標に、これら新戦略に基づく具体的なソリューション/サービスの開始時期や提供形態、料金体系などを発表したい考えだ。

(永沢 茂)