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オバマ大統領、“ネット中立性”保護のため「可能な限りの規制」を求める声明

 オバマ米国大統領は10日、米国連邦通信委員会(FCC)に対して「インターネットの中立性を守るため、可能な限り強力な規則を設ける」ように要求する趣旨の声明を発表した。

 オバマ大統領はFCCの独立機関としての立場を認識しつつも、インターネットのサービス提供企業の立場を公益事業者と同等にすべきとの見解を示した。声明文では曖昧な語句を使用しておらず、立場を明確に示したことが注目される。

ホワイトハウスによるネット中立性についての特設サイト

 FCCは現在、ネット中立性の規制作成を急いでいる状況だ。大統領の声明を受け、FCC会長のTom Wheeler氏は「私は大統領の意見を頂戴したことに感謝し、今後も一般社会、上院・下院委員会の議長を含む議会両党の議員、そして私の仲間の委員を含め、すべての利害関係者からの意見を頂戴したい」と無難なコメントを述べるにとどまった。

 オバマ大統領は声明文の中で、1)特定のウェブサイトをブロックすることの規制、2)特定のコンテンツに対しての速度制限の禁止、3)ラストマイルだけでなく、ISPとコンテンツ配信企業間の接続についてもネット中立性規制を設けること、4)料金に応じてコンテンツを高速または低速配信することの禁止――を求めている。

 オバマ大統領は、米国でネットワークへの投資が活発に行われた結果として米国がデジタル大国として反映したが、中立性が問題となって投資に悪影響を与えている現状を問題視している。そして、中立性により投資とイノベーションが促進されると裁判所も認めていることを指摘した。

 ネット中立性を保護する規制については、ケーブル事業者、通信事業者などが軒並み反対している。今回の声明についても米Comcast、米Verizon、業界団体のBroadband for Americaなどがすぐに反対の声明を発表。これに対して中立性保護を支持してきた消費者団体などは大統領を支持している。

 なお、この問題についてはFCCのパブリックコメントの求めに応じて、一般市民から400万件近くの意見が寄せられている。

(青木 大我 taiga@scientist.com)