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米軍のスマートグラスをコンシューマー製品に転用へ、米企業が1000ドル以下で今年発売予定

R-6S(同製品のスペックシートより)

 米テクノロジーインキュベーション企業のOsterhout Design Group(ODG)は2日、軍事・大企業向け技術をコンシューマー向けに転用したスマートグラスシステムを発表した。すでにプロトタイプデバイス「AR Smart Glass」の開発を完了しており、6日からラスベガスで開催される「2015 International CES」にて展示する予定だ。

 AR Smart Glassは、1000ドル以下の価格帯で2015年半ばに発売される予定。コンシューマー向けとなるスマートグラス製品「R-6S」の重さは125gで、ODGがこれまで主に米軍や大企業向けに開発してきた「R-6」シリーズよりも軽く、デザインもスリムになったとしている。

 ODGのCOOであるPete Jameson氏は、「我々の意図は、コンシューマーフレンドリーな形態で最先端のシステムを提供することだ。これを身に付けることで、あなたのラップトップや携帯電話、タブレットではできないようなことができるようになる。例えば、飛行機や電車の中で静かに仕事をしたり、明るい日光の下で大画面の3D映画を鑑賞したり、インタラクティブな3Dゲームをプレイしたり、ハンズフリーで目を前に向けたまま視線方向に指示や命令を表示させることができるようになる」と説明する。画面の大きさの目安としては、外の風景を眺めながら3m離れたところにある65インチのテレビを見る感覚だという。

 AR Smart Glassは、720p/60fpsの3Dステレオスコープデュアルディスプレイ、センサーと同期するとともにARに対応した高速オートフォーカスHDカメラ、高精度9軸IMUセンサー、位置測定のためのGPS/GLONASS、ネットワーク接続のためのIEEE 802.11ac無線LANとBluetooth 4.0、ステレオサラウンドサウンドイヤホンと磁気オーディオポート、Qualcomm Snapdragon 805(2.7GHz)クアッドコアプロセッサ、3GBのRAM、64GBのストレージ、1300mAhのリチウムイオン電池を搭載する。

 OSとして、Androidから派生したODG独自の「ReticleOS」を搭載。ODGによれば、「既存のAndroidベースアプリを簡単に動作可能」だという。また、Qualcommの「Vuforia」モバイルビジョンプラットフォームも搭載している。ODGでは、開発者向けに「ReticleOS SDK」と開発者向けウェブサイトを開設。ドキュメントで公開されるUI/UXガイドラインに沿ったアプリについては、間もなく公開される「ODG App Marketplace」で販売できるようにする予定だ。

 ODG創業者兼CEOのRalph Osterhout氏は、「我が社のスマートグラスは、世界で最も過酷な環境の中で自らその価値を実証しており、我々はこの革新的な技術を一般的な消費者の手元に提供することを楽しみにしている」とコメントしている。

(青木 大我 taiga@scientist.com)