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富士通、既存のマルチモードファイバーで伝送距離を2倍の200mに伸ばす解析技術と光送信器を考案

 株式会社富士通研究所は28日、既存の光ファイバーでサーバー間光通信を従来の2倍に長距離化する技術を開発したと発表した。

 サーバー間光通信で広く使用されている「マルチモードファイバー」において、25Gbpsの伝送速度を維持したまま、サーバー間接続を従来の100メートルから2倍の200メートルに長距離化するもの。既存のマルチモードファイバーを用いるため、光ファイバーの交換無く長距離化が可能だとしている。

 マルチモードファイバーでは、光ファイバー内で多数の伝搬モードと呼ばれる経路に分かれて光が伝わり、受信側で光を結合して出力信号を形成する。ただし、伝搬モードごとに速度が異なるため、伝送距離に応じた高速特性の劣化現象「モード分散」が発生するという。モード分散を低減する光ファイバーも存在するが、既存のマルチモードファイバーと比較して価格が1.5倍ほどかかるほか、敷設済みの光ファイバーを交換する必要があった。

マルチモードファイバ―における長距離化の課題

 富士通では「モード分散解析技術」と、モード分散を低減する「光送信器」を新たに開発。光導波路や光ファイバーでは光を伝搬モードとして、外部から光導波路に光を結合するレンズでは光を光線として扱うため、それぞれ解析方法が異なるという。モード分散解析技術では、伝搬モード解析と光線解析を統合し、レンズ、中継光導波路、マルチモードファイバーのそれぞれで伝搬モードの変化を統合解析する。

 解析した結果、光が通過するコアの幅がマルチモードファイバーの2分の1である25マイクロメートルの中継導波路を挿入することで、速度の遅い伝搬モードの発生を抑え、モード分散が低減できることが判明したという。富士通では、この解析結果をもとに、コア幅25マイクロメートルの中継光導波路を持つ、光送信器を考案し、従来のマルチモードファイバーを用いての長距離化を達成した。

中継光導波路によりモード分散を低減する構造
富士通が試作した光送信器の構造

 富士通では、各サーバー間を接続する光通信を長距離化できるため、最大で従来比4倍程度のサーバー接続が可能になるという。今後、開発技術を実装した光トランシーバーの小型化を進め、2017年度の実用化を目指すとしている。

(山川 晶之)