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Linux Foundation、IoT向けのリアルタイムOSを構築する共同開発プロジェクト「Zephyr Project」を発表

 非営利団体のLinux Foundationは18日、IoTのためのリアルタイムOS(RTOS)を構築するオープンソースの共同開発プロジェクト「Zephyr Project」を発表した。

 Zephyrプロジェクトの早期支援企業としては、Intel(同社が買収したAlteraとWind Riverを含む)、NXP Semiconductors(合併したFreescaleを含む)、Synopsyx、UbiquiOS Technology Limitedが参加。同技術に関心ある他企業の参加も募集している。

 Linux Foundationではプロジェクトについて、IoT機器にはシームレスに接続できるスケーラブルで安全なソフトウェアが必要であり、開発者にはアーキテクチャを選ばず組み込み機器に簡単に統合できる高モジュール化されたプラットフォームにおける革新能力が求められると説明。Linux OSは組み込みシステム開発では成功を納めた実績があるが、IoT機器には少ないメモリ容量に対応できるRTOSを必要としているものもあり、これはデータ収集システムや工業機械など時間の制約がある設備や、世界トップクラスの複雑なコンピューティングシステムに不可欠なインフラを提供しているマシンに有利なリアルタイムLinuxを補完するものだとしている。

 Linux FoundationのエグゼクティブディレクターであるJim Zemlin氏は、「今日の開発者には、プラットフォームに関してさまざまな選択肢があります。Zephyrプロジェクトは、IoT機器向けに最小フットプリントをサポートするモジュール化されたコネクテッドOSを提供します。Zephyrプロジェクトに貢献し、IoTを進化させるカスタマイズ可能な組み込みオープンソースRTOSの発展に寄与する開発者を募集します。このプロジェクトをLinux Foundationが誘致することで、Linuxと当コミュニティによるプロジェクトを超えたコラボレーションが生まれるでしょう」とコメントしている。

 また、モジュール性とセキュリティは、組み込みIoT機器のシステムを構築する際の重要な条件だとして、Zephyrプロジェクトでは、RTOSをそのまま使用するかソリューションを提示するかを自由にすることで、それらを優先させると説明。プロジェクトはセキュリティを重視し、セキュリティ専用のワーキンググループや専任セキュリティメンテナーを置く計画があるとともに、広範な通信やネットワークへの対応にも努めており、当初よりBluetooth、低消費Bluetooth(BLE)、IEEE 802.15.4を含め、今後もさらに広範な通信/ネットワークサポートを拡充していく計画だとしている。

 Zephyrプロジェクトの対応プラットフォームとしては、Arduino 101(x86およびSynopsys ARC EMコア搭載のIntel Curieモジュール)、Arduino Due(Atmel SAM3X8E ARM Cortex-M3 CPU)、Intel Galileo Gen 2、NXP FRDM-K64F Freedomボード(Kinetis K64F ARM Cortex-M4 MCU)の各プラットフォームが挙げられており、徐々に広範なアーキテクチャーをサポートして行く予定としている。

(三柳 英樹)