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新手の地図サイトが登場、現実世界をドラクエ風に表示、「MapFan」が地図デザインなど大幅刷新

 レトロなファミコン時代のRPGのマップを思わせる地図デザインで、この現実世界を表示する地図サイトが登場した。

 描かれている世界そのものは現実の日本だが、例えば、地面の色は草原のような黄緑色のパターンとなっており、大規模施設・ビルなどの範囲は灰色または茶色のレンガのドット絵パターンが張られている。同様に、道路は砂地のようなパターン、公園・緑地は森のパターン、川・海は水面を表すパターン。主要施設のアイコンもRPG風で、都庁などの大きな行政機関は西洋のお城のアイコン、それよりも小さな区役所などは村落のアイコン、高層ビルは塔のアイコンといった具合だ。

 鉄道の表現も、一般的にJR路線に用いられる白黒の旗竿タイプの表現や私鉄路線の太い一本線ではなく、いずれも茶色い一本線に横棒が一定間隔で交差する梯子タイプの表現。駅は、ローカル線のホームにでもありそうな看板のアイコンだ。ただし、地下鉄の駅は“地下ダンジョンに通じる階段”のあのアイコンで示される。

 注記文字は「美咲フォント」を採用し、非常に解像度の荒いドット文字で表示。交差点名も、木の立て札風のアイコン上に同フォントで書かれている。

 要するに、有名なRPGを彷彿させるデザインだが、RPG風なのはあくまでもデザインだけだ。地図の情報じたいが簡略化されているわけではなく、現実の地図の正確な位置を表示。地図データも月に1回、最新情報に更新されるという。車・徒歩によるルート検索機能も使用できる。

お出かけの際、目的地をこの地図で探せば、退屈な日常が一気に冒険に満ちた世界に変わるかもしれない。その一方で、車・徒歩ルート検索機能を通常通り使えるため、例えば、この画像のように東京・丸の内の地下ダンジョンへ行きたいという場合も、経路を探すのにラクできる
地下鉄の駅の入り口は、“地下ダンジョンに通じる階段”のアイコン

 これは、インクリメントP株式会社の地図サイト「MapFan Web」で4月1日に実施したリニューアルにともなうもの。地図デザインやUIを大幅に刷新したほか、ルート検索機能などの強化も行った。地図デザインについては、RPG風のほか、2016年の地図でありながら、古地図風の地図デザインで表示することもできる。

RPG風。「MapFan Web」がRPG風のの地図デザインになるというネタは、すでに昨年の4月1日に使用済みだったはず、と思われるかもしれないが……
古地図風

 リニューアルでは、トップページをシンプルな構成にするとともに、地図の表示領域を大きく拡大。また、ページがレスポンシブデザインとなっており、PCブラウザーだけでなく、タブレットやスマートフォンでも、画面の横幅に応じて地図を広く表示するよう、適切なUI表示に切り替らえるようにした。

トップページ

 通常使用する標準地図のデザインは、従来のMapFan Web独特のコントラストの強い色合いのデザインから、Google マップに近いような淡い色合いのデザインに変更。地図上に表示される注記やアイコンが認識しやすくなった。

 地図デザインは、標準のものに加えて、道路強調、グレーマップ、、前述のRPG風や古地図風など、7種類をワンタッチで切り替えられる。また、標準地図などでは、日本語のほか、英語、中国語(簡体字・繁体字)、韓国語、タイ語、インドネシア語の6言語・7種類に対応。地名や駅名、スポット名などの注記を切り替えられる。

標準地図。リニューアル前と比べ、地図タイルが軽快に表示されるようになっているという
タイ語での注記表示

 ルート検索機能は、出発地・目的地に加えて、任意の経由地を最大5カ所まで設定できるよう強化。また、出発地・目的地を指定する際の操作を、地図上の該当地点をクリックすることで簡単に行えるよう改善した。

 また、車、徒歩(自転車)に加えて、大型車規制を考慮したルートも検索できるようになった。大型自動車の種別、総重量、車幅、車高、危険物の有無を指定した上で、該当する大型車の通行が規制されている道路を回避したルートが検索できる。

ルート検索結果

 このほか、徒歩と電車・バスを組み合わせた複合ルートを検索できる機能として「MapFan 乗換案内」も新たに実装。この機能はこれまで、MapFan Webのスマートフォン版サービスにおいて有料で提供していたもので、PCブラウザー版のMapFan Webでは提供されていなかった。今回、PCブラウザーからも利用できるようになったほか、スマートフォンからも無料で利用できることになった。スマートフォン版サービスで従来、有料で提供してきた他の機能(渋滞情報、駐車場の満空情報など)も今後、有料機能として追加していく予定だという。

MapFan 乗換案内

 なお、大きく変わった標準地図のデザインは、企業向けサービスの「MapFan API」で先行して使われていたもの。また、RPG風、古地図風などのデザインバリエーションや、大型車規制を考慮したルート検索などの機能も同様だ。それらが今回、MapFanの一般向け地図サイトでも利用できるようになったわけだ。

 あわせて、地図サイトの名称をMapFan Webから、シンプルな「MapFan」へと変更。インクリメントPでは今後、地図サイトやスマートフォンアプリなどで微妙に使い分けていたサービス名称を「MapFan」に一本化して展開していくという。測地系も、従来の日本測地系から世界測地系へと移行し、ベースとなる地図システムも一本化していく。

(永沢 茂)