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マイクロソフト、国内初の小学生向け「Minecraft」プログラミング授業の成果を報告

 日本マイクロソフト株式会社は、東京都渋谷区立猿楽小学校の6年生30名を対象に、2015年11月から2016年1月23日まで実施した「Minecraft」によるプログラミング授業の効果や課題をまとめた実証完了報告書を公開した。

 プログラミング授業は、国内で初めて正規の授業にMinecraftを活用して行われたもの。総務省の実証事業である「ICTドリームスクール実践モデル プログラミング教育とデジタルものづくり教育の実践」の一環として、日本マイクロソフトが統括して行われた。タブレットPCは東芝株式会社、ネットワーク機器はヤマハ株式会社、インターネット接続環境はNTTドコモ株式会社などの各企業が提供し、事業に協力した。

(日本マイクロソフト公式ブログより画像転載)

 授業には、教育教材向けに用意されたMODをインストールしたPC版の「Minecraft EDU」が用いられた。Minecraft EDUでのマルチプレイにはサーバーが必要となるが、Minecraft EDUでは、管理者や教員がサーバーを比較的容易に構築可能だという。サーバー上では、教育上不要な機能の制限や子供たちのアバターの制御、教材の配布などが行える。

 Minecraft EDUの一部であるMOD「COMPUTERCRAFTEDU」では、一定のルールに基づいたドラッグ&ドロップによるプログラムが可能なビジュアルエディターと、これにより書かれたコードを確認できるコードエディターが利用可能になる。

Minecraft EDUのビジュアルエディター
Minecraft EDUコードエディター

 授業は1回45分で、10回が行われた。Minecraftの世界で1人の児童が縦横20マスずつを整地、そこに家を建て、5~6人のグループで完成後に街を作ることを目指し、タートルのロボットに対して作業を自動化するプログラミングを行う内容となる。

 この授業では、プログラミングにおけるルールの理解と、条件分岐などによる実際のプログラミングにより、論理的・合理的な思考を養うことと、Minecraft EDUの仮想世界におけるマルチプレイにより、協働作業や役割分担を身に付けることが狙いとなっていた。

プログラミング授業の課題と達成率

 授業ではこうした狙いについて成果が見られたという。また、授業前後に行われた子供たちへのアンケートでも、6段階の自己評価で、「集中できた」の項目で3人に1人、「話し合いをたくさんできた」の項目で3人に2人が、1段階向上したと答えている。

 一方で報告書では、プログラミングに用いるツールを習熟度により今回のブロック型からテキスト型へいつ移行すべきか、またプログラミング技術への理解に要する時間や適切な例題などについて、引き続き実証研究が必要としているほか、プログラミングの実践に欠かせないキーボード付き端末、同時接続数を保証するネットワークなど環境面での必要性や、サポートスタッフのプログラミングに関する知識などが課題として挙げられている。

 なお、Minecraft EDUについては、今後「Minecraft Education Edition」としてリリースされることがすでに発表されている。

(岩崎 宰守)