ニュース
10月14日から開催のCEATEC 2025、「Innovation for All」をテーマに、AIなどの最先端技術が“社会や暮らしにいかに貢献するか”を体感できる機会に
2025年10月7日 17:05
一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)は、10月14日~17日までの4日間、千葉県千葉市の幕張メッセで開催するCEATEC 2025の開催概要について発表した。出展者数は810社/団体となり、会期中に10万人以上の来場を見込む。
CEATECの鹿野清エグゼクティブプロデューサーは、「出展者の半数以上がAI関連の展示を行っている。また、約4割が新規の出展になる。10万人を超えるイノベーターに来場してもらいたい」とした。
また、CEATEC 2025に展示される出展品や案件のなかから、イノベーション性が高く優れたものを表彰するCEATEC AWARD 2025についても発表した。
最新技術だけでなく「社会や暮らしにいかに貢献するか」も見せる
CEATEC 2025は、幕張メッセのホール1~ホール6を使用。Society 5.0が実現するこれからの社会や暮らし、最新のテクノロジーを、「見て」「聴いて」「感じて」「考えて」もらえる「CEATEC体験」により、未来を変えるとなる出展者や来場者が、ともに新たな共創を生み出す展示会と位置づけている。
25回目の開催となった昨年のCEATEC 2024では、日本自動車工業会が主催する「JAPAN MOBILITY SHOW BIZWEEK」と初の併催となり、11万2014人が来場。今年のCEATECでは、10万人以上の来場を目標にしているが、単独開催で前年と同等規模の来場者数にまで到達するかどうかが注目される。
JEITAによると、CEATEC 2025の出展者数は 810社/団体(CEATEC 2024は808社/団体)。そのうち、新規出展者数は318社/団体となり、新規出展者率は39%となった。また、スタートアップ企業や大学研究機関の出展者数は232社/団体(同188社/団体)となり、海外出展者数は、29の国と地域から156社/団体が出展する。
「特に、スタートアップ企業や大学研究機関の出展は、このカテゴリーの記録が残る2014年以降で過去最多となり、次世代を担う幅広い出展者が集うことになる。AIに対する関心が高まるなか、これまでのAI関連展示はハードウェアが中心であったものから、ソフトウェア化が進展しており、それがスタートアップ企業や大学研究機関の出展の増加につながっている。また、スタートアップ企業や大学の研究機関を支援する多くのプログラムを用意したことも、出展の増加に影響している」と分析した。
今年の開催テーマは「Innovation for All」。最先端技術の披露にとどまらず、テクノロジーが社会や暮らしにいかに貢献するかを具体的に示すことで、人々の共感と参画を促し、イノベーションの社会実装を加速させる契機となることを目指すという。
CEATEC 2025は、4つの展示エリアで構成される。
「General Exhibits」は、ホール1からホール3までを中心に、ホール4からホール6にまで一部エリアを拡張。電機メーカーや部品メーカーなどが出展して、最先端の技術を展示する。電機大手では、日立製作所、ソニー、三菱電機、富士通、NEC、シャープが出展。とくにシャープブースは、単独展示としては、CEATEC 2025のなかで最大規模になる。
新たに設置された3つのパークのうち、「パートナーズ&グローバルパーク」では、「暮らしのDXパビリオン」や「海洋デジタル社会パビリオン」など、Society 5.0の実現を目指した14件の独自テーマによるパビリオンが用意される。
なかでも、「地方創生2.0 パビリオン」では、省庁や都道府県、市区町村、企業など33社/団体が出展し、地方創生を旗印にした展示が行われる。「CEATECでは、毎年、自治体と企業が連携して、地方の社会課題を解決するための事例を数多く紹介してきた。今年のCEATECでも、全国でどんな課題があるのか、それをどう解決していくのかを、出展者や来場者とともに考えていきたい」とした。
毎年話題を集めているJEITA半導体フォーラムによる等身大サイズの「半導体産業人生ゲーム」は、今年も、タカラトミーとの連携によって展示を行うのに加えて、新たに大型の「黒ひげ危機一発」も展示。当たると出展している半導体企業を紹介した特製カードがもらえる。「会期中には約8000人の学生の来場を見込んでいる。これらの学生に、半導体の基礎を知ってもらい、半導体産業の将来に関心を持ってもらいたい」としている。
海外勢では、EUの12カ国が出展し、EUパビリオンを構成。さらに、カナダ・オンタリオパビリオン、インドパビリオン、ラトビアパビリオン、ウクライナパビリオンが用意され、各国の最先端技術や革新的なソリューションを発信することになる。
「パートナーズ&グローバルパークは、国内外の出展者同士や来場者が共創し、新たなビジネスチャンスが生まれる場になる。ウズベキスタンが初めて出展し、ITの取り組みを紹介する。また、ウクライナは、戦禍にありながらも、3年連続での出展となる。IT立国として、どんなことをやっているのかを知ってもらいたい。さらに海洋デジタル社会パビリオンでは12社が参加して海洋での取り組みだけでなく、陸上養殖の取り組みも見てもらえる。大型の水槽が持ち込まれる予定だ」とした。
また、「暮らしのDXパビリオンはスマートホームによって個人の生活がどれだけ豊かになるのかを知り、体験してもらえる。ヤマダ電機系列のヤマダホームズと、エディオンという大手家電量販店2社が出展し、住宅メーカーの積水ハウスも出展する。CEATECが新たな時代を迎えていることの象徴である」と位置づけた。
「AXパーク」新設、IPAや理化学研究所も出展
新たに用意された「AX(AI Transformation)パーク」は、研究機関からスタートアップ企業まで、33の企業、団体が出展。AIの最新技術と社会実装の取り組みを紹介する。特設ステージでは、生成AIや産業AIなど、幅広い分野のセッションを毎日開催しており、展示とプレゼンテーションを通じて、AIの現在地と未来を体感することができる。
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)や、国立研究開発法人理化学研究所計算科学研究センターが出展するほか、「CIAJオール光ネットワークパビリオン」も用意される。
鹿野氏は、「いま起きているAIのトレンドと、未来のAIの世界を体験してもらいたい」と述べた。
また、「ネクストジェネレーションパーク」は、スタートアップ企業や大学研究機関、企業内新規事業開発部門が出展しており、共創パートナーや協賛企業、スポンサーなどの協力のもと、トークステージを新設している。「新たなビジネスのきっかけや新たなソリューションの創出、ビジネスの獲得につなげてもらいたい」としている。
スタートアップや来場者などとつながれる共創企画も用意
このほかに、注目度が高い3つの共創も実施される。
1つめが、アビームコンサルティングによる共創企画である。来場者の課題に基づいて、ネクストジェネレーションパークに出展しているスタートアップ企業などを、同社のコンサルタントが選定、案内し、マッチングを支援する「共創体験ツアー(ウォーキングブレスト)」と、来場者とスタートアップ企業とのマッチングを後押しするために、AIエージェントが共創の可能性を提案し、出展企業との出会いのきっかけを提供する「共創アイデア生成AIエージェント」を用意する。
2つめが、ゼロワンブースターによるセッションだ。社内起業家や企業スピンオフの経験者、大学発スタートアップ企業などの経験者が登壇するセッションを用意し、それぞれの取り組みを紹介しながら、企業のマッチングを支援することになる。
3つめが、EventHubが提供する「CEATEC 2025 Business Matching」である。アプリを使い、事前に登録しておくと、興味や関心にあわせて、来場者と出展者をマッチングし、出会いを支援するという。
地方創生やAIエージェント、大阪・関西万博にまつわるセッションも開催
展示と並んで、CEATEC 2025のもう1つの柱となるコンファレンスでは、ピッチイベントなども含め、222本を用意。日本におけるAIエージェントのポテンシャルや、サステナブル社会に向けた取り組みについての講演なども予定している。
開催初日のオープニングセッションでは、三菱電機の漆間啓社長CEOと、本田技研工業の三部敏広社長などが登壇する予定だ。また、内閣官房、総務省、経済産業省、国土交通省、デジタル庁の審議官などが一堂に会した「地方創生2.0」に関するセッションも予定されている。
最終日には、大阪府の吉村洋文知事による「大阪・関西万博とレガシー」と題したセッションや、「大阪・関西万博と空飛ぶクルマ」と題したセッションなどが予定されている。
なお、コンファレンス会場では、AIリアルタイム翻訳サービスを提供しており、スマホとイヤフォンを使用して、日英翻訳のほか、50カ国語以上の字幕と音声での聴講が可能になっている。
さらに、CEATEC公式ウェブサイトにおいては、10月1日から、オンラインセッションを公開している。
CEATEC 2025の開場時間は、午前10時から午後5時まで。無料で入場できるが、全来場者登録入場制となっている。事前の来場登録はCEATEC 2025の公式ウェブサイトから行える。
CEATEC AWARD 2025も発表
「CEATEC AWARD 2025」の発表も行われた。
総務大臣賞は、シャープの「電子制御式フェーズドアレイアンテナ搭載小型・軽量LEO衛星向けユーザー端末試作機」、経済産業大臣賞は、NTTドコモの「“痛み”の共有による相互理解の深化を実現するプラットフォーム」、デジタル大臣賞は、村田製作所の「AI時代の信頼できる音声入力を実現するマスク装着型デバイス mask voice clip」が、それぞれ受賞した。
また、イノベーション部門賞では、ジャパンディスプレイの「さまざまな素材をタッチパネルやスイッチに変えるセンサー / ZINNSIA(ジンシア)」、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)の「多言語同時通訳とマルチスポット再生技術」、TDKの「エッジ向けアナログリザバーAIチップを用いたリアルタイム学習機能付きセンサシステム」、日立製作所の「次世代AIエージェント Frontline Coordinator - Naivy」、ヤマハロボティクス/産業技術総合研究所/東京理科大学の「AIの進化に貢献する、環境配慮型チップオンウエハダイレクト接合技術の開発」、リンナイの「入浴中の心拍センシング」が受賞したほか、ネクストジェネレーション部門賞は、TouchStar(東北大学事業化プロジェクト)の「触れて感じる、次世代の4D映像体験」、ロート製薬/フツパーの「リアラボAI ― 探索からラボ実験まで、研究の現場を動かす自律型AIエージェント」が受賞した。
コ・クリエイション(共創)部門賞は、RNA共創コンソーシアムの「ビューティ&ヘルスケアを変革する、産業を越えた共創― RNAで繋がる花王・アイスタイル・キリンによる未来創出 ―」が受賞。新設したモビリティ賞は、Humoniiの「フィーリング」が受賞した。
なお、グローバル部門の受賞企業は、CEATEC 2025の会期中に発表される。
CEATEC AWARDは、Society 5.0の実現を目指し、新たな価値と市場の創造、発展に貢献したり、関係する産業の活性化に寄与したりする優れたプロジェクトや技術、製品、サービス、またはそれを支えるソフトウェア、アプリケーション、コンポーネント、デバイスなどを表彰するもので、CEATEC AWARD 審査委員会による厳正な審査により選出されている。
「これまではAIに関する受賞が多かったが、今年のCEATEC AWARDではAIエージェントを中心とした製品、サービスの受賞が増えた。製造現場だけでなく、幅広い人たちが使えるようになっている。また、ユニークなデバイスが登場している」と総括した。