レビュー
無料レジアプリ「Squareレジ」の最大の特徴は“最高の普通”、コーヒースタンドのオーナーが実際に運用してみて分かったこと
2016年6月21日 06:00
レジアプリを使い始めて数カ月。レジアプリ無しで会計処理をすることなどもう考えられないというくらいに、運用開始以来、「Squareレジ」を活用させてもらっています。また、運用して初めて分かったこともあり、今回はそういったところを中心にレポートします(レジアプリ選定編のレポートは、6月17日付記事『スマートな会計を実現する無料レジアプリはどれだ? コーヒースタンドのオーナーが実際に試してみて分かった使い勝手の違い』を参照)。
伝票集計のわずらわしさから解放されたい!
喫茶店などの飲食店では、POSを導入していない場合、伝票による帳簿管理が必須となります。注文を受けて記入した伝票は、オーダーの伝達や、提供時の確認などに使われたあとに、会計に使われ、最終的には日ごとに集計して売上を算出する、というプロセスによって処理されているわけですが、当店でもSquareレジの本格運用前までは、手書き伝票での集計を行っていました。
一日の終わりに、当日の伝票をまとめ、売上をカウントするのですが、これが思いのほかにわずらわしい作業。集計が終わった後も、紙の伝票は、保管するとなるとスペースを必要とするため、物理的な保管場所の問題も発生してきます。さらには、経営上どの商品がどのくらい売れたのかを管理・把握する必要があるため、売上記録はなるべく詳細なデータが欲しいわけですが、手書きの伝票では情報量にも限りがあり、データ管理の方が優れてるといえます。
オンライン管理はやはり便利
売上データの保管期限に制限がないのもSquareを採用する決め手の1つでした。他のアプリでは「無料プランでは売上データの保管期限が3日まで」といった制限があるものもあって、例えば業績の比較のために過去のデータを使うとなると、日々のデータをExcelなどに移してから処理しなければなりません。
Squareは、すべてのデータをさかのぼって参照できるので、先月のこの日の売上はどうだっただろうか、などという風に思い立ったときにアプリを立ち上げて過去のデータを閲覧することができます。また、基本的にはクラウド型の管理になるため、オンラインの端末からであれば、いつでもどこでも、自分のデータにアクセスすることが可能となっています。
AppleやGoogleなどが提供しているクラウドサービスに慣れた生活をしていると、テキストファイルや画像ファイルなどでは当たり前のように扱えていることが、売上のデータでも同様にクラウドでアクセスできる点は、とても利便性が高いように思えます。
マルチ端末/マルチアカウントに対応
今のところは私が持っている店舗は1店のみであり、また、狭い店なので複数の端末による処理も当店ではあまり必要としていません。しかし、何らかの事情でメインのiPadが使えなくなった場合にも、個人用のiPhoneにもSquareがインストールしてあれば、それで会計を行うことができます。
ただし、iPad用のインターフェースそのままなので、iPhoneで使う場合には若干の使いにくさを感じる部分もあります。とはいえ、同じ機能を端末を超えて共有できるのはとても便利。また、ユーザーを複数登録することができるので、従業員ごとにレジにログインして誰がレジ処理をしたのかを明確にすることも可能です。
商品の管理は若干面倒
POSとして運用するためには価格や商品名などを登録する必要があります。その管理はパソコンからもiPadからも行うことができますが、その仕組におおむね不満はないものの、複数の商品の情報をまとめて変更したり、同じような商品をコピペで複数登録して詳細は個別に変更する、などの機能はないため、商品数が多くなると若干ではあるが手間の多さに辟易とすることも。具体的には、価格の変更があった場合に複数商品をまとめて訂正することができないことや、微妙に詳細の異なる似たような商品をいくつも新規登録する場合などに不便さを感じました。とはいえ、当店のような業態では商品の登録や変更はそう頻繁に行うことではないし、あまり大きな問題というほどのことではないかもしれません。
クレジットカード決済にも対応だが、当店では未導入
Squareは本来はクレジットカード決済のためのサービスで、Squareレジアプリも、クレジットカード決済を前提とした設計にはなっています。決済から入金の間の期間を短く設定できるなど、クレジット決済を導入する上での障壁はSquareではかなり低くなっているように感じます。
事業規模の拡大などにあわせ、クレジット決済への対応も想定はしているものの、当店では、オペレーション上の都合でまだ導入できておりません。ただ、クレジット決済を使わなかったとしても、レジアプリとして十分な機能を持っているので、売上集計画面で決済方法一覧に現金しか表示されない自店の画面を見ていると、なんだか申し訳なさすら感じてしまうほどです。
「シロクマトーキョー」での一日
具体的な運用の雰囲気をお伝えするために、当店でのSquareアプリの一日を、時間を追ってご説明させていただきます。
開店作業は、「シフトを開始」するだけ。営業中は、オーダーと同時にレジを打ち、売上を立てます。その日の現在の売上は「レポート」から確認できます。
当店では、レシートプリンターやキャッシュドロワーなどを導入しておらず、iPadではあくまでも売上を計上する用途に特化した使い方をしています。
現金の管理はGoogle スプレッドシートにて行っています。レジチェックと売上記録を兼ねており、現金残高、入金額、売上金額などを入力するスタイルのシートを作成しています。
業務終了時には「シフトを終了」して、当日の売上を確認します。
ソフトウェアベースならではのデメリットも
クレジット決済や周辺機器をまだ導入していないこともあり、ハードウェアに起因するトラブルというものは皆無。ソフトウェア面でもノートラブルで運用できております。ただ、唯一のトラブルとしては、バグを含んだアップデートが配信されたことです。
自動アップデートの設定だったので、バグを含むバージョンが適用され、取引履歴が表示できないことがありましたが、次のアップデートでは改善されていました。こうしたPOSレジアプリは、ソフトウェアベースのため導入の手軽さや、機能の追加・拡張などは簡単ですが、システムの安定性というところでは、専用システムに分があるのかもしれません。