レビュー
2万円台で「自作スマートホーム」を実現可能、5つの機器がセットの「mouse スマートホーム」を試してみた
マウスコンピューターによるセット製品、学習リモコン、ドアセンサー、コンセント、LED電球、動きセンサーがワンセット
2017年10月2日 08:12
昨今IoTやらスマートハウスで盛り上がる、家電や住宅メーカー。僕らからするとイマイチ縁遠い存在で、バカっ高いデバイスやら屋内配線の工事なんて、家でできるわけネーだろっ!的なものが多かった。
まぁ、せいぜいIoTで便利なものって言えば、昼間に家で留守番しているペットの様子を見る、ネットワークカメラぐらいなモン。
そんな高嶺の花だったスマートハウスをお手軽価格で実験的に構築できるキットが発売された。それが、株式会社マウスコンピューターから発売された「mouse スマートホーム スターターキット」だ。
販売価格はウェブ通販で2万4800円(税別)と非常に手ごろな価格。そんなに安物じゃたいした期待はできないな……という人はちょっと待った! 一流メーカーのIoTを謳うただのウェブカメラに比べたら、よっぽど拡張性があるだけでなく、できることも多いのだ。
5つのセンサー/コントローラがセットで24,800円ルームハブ/動きセンサー/スマートプラグ/LEDライト/ドアセンサー
スターターキットに同梱されているのは、次の5点。
ルームハブ
スマートホームの中核となるハブ。以降の各種センサーやデバイスとの入出力を行うだけでなく、自身に温度センサー、湿度センサーも持つ。また、無線LAN経由でクラウドサービスと接続し、スマートフォンに各種センサーのステータスを返したり、スマートフォンからのコマンドを各デバイスに送りコントロールする。加えてIR発信・受信器を内蔵しているので、赤外線リモコンで操作するエアコンやテレビ、空気清浄機などの家電をルームハブで操作できる。
モーションセンサー
ビルの夜間警備や人感センサー付きの照明などでも使われる、人の動きを検知するセンサー。ペットなどの小動物は検知しづらいので、「近くで人が動いている」ことを検出する場合に有効なセンサーとなる。電源はバッテリー駆動式。
スマートプラグ
家電の消費電力を測るワットメーターに、コンセント自体のスイッチが付いたデバイス。スマートフォンからスマートプラグの100Vのコンセントをオン/オフでき、その状態の取得も可能。また、スマートプラグに接続している機器の消費電力をリアルタイムでモニターできるようになっている。
他のセンサーと連携させてオン/オフしたり、毎日のタイムテーブルを作ることで、指定の時刻だけ機器をオンにするなどの使い方が可能。
スマートLEDライト
スマートフォンから照明のオン/オフに加え、5%刻みで明るさを制御できるLEDライト。また、タイムテーブルに合わせて照明をオン/オフしたり、明るさの調整が可能となっている。
口金は大きいE26タイプで、電球色、明るさは720ルーメンで60W電球相当のライトとなっている。
センサー/デバイスの増設OK!さらに、今後発売予定のセンサーも
現在は発売されていないが、発売予定とされており、アプリ側の作り込みも進んでいるものがいくつかある。
PM2.5センサー
空気中の微粒子状の浮遊物、例えば花粉や黄砂、もっと細かく大陸から飛来するディーゼルの排気ガスなど、PM2.5の飛散状況をモニターするセンサー。ルームハブは、エアコンや別売の空気清浄機などをコントロールできるので、新聞やテレビで飛散状況を確認せずとも、値が高くなってきたら自動的に空気清浄機を運転するなどの使い方できる。
スマート空気清浄機
16畳まで対応できる空気清浄機。詳細なスペックは不明だが、カタログスペックを見る限りHEPAフィルターを搭載しているので、PM2.5は余裕で対応できそうだ。フィルターのプリーツの作り方などでは、1.0まで対応できる可能性もある。また、脱臭機能もあり、こちらは活性炭ではなく、イオン系の消臭機能のようだ。ルームハブから9段階の風量を調整できるようになるという。
ショックセンサー
スペックが公表されていないが、アプリ側の作り込みがあるショックセンサー。おそらくサッシの窓などに取り付け、ガラスを割った振動などを検知するセンサーと思われる。ショックセンサーとスマートプラグを連携させれば、侵入者を検知して回転灯を点灯させたり、叩くとスイッチオンにできる家電などを構築できるだろう。
なお、1台のルームハブに接続できるセンサーやデバイスの最大数は、次の通り。
スマートLEDライト | 3台 |
スマートプラグ | 3台 |
ドアセンサー | 3台 |
PM2.5センサー | 1台 |
スマート空気清浄機 | 1台 |
モーションセンサー | 1台 |
最大値を超えて利用したい場合は、ルームハブを追加して管理するセンサーやデバイスを分けてやる必要がある。
オール無線通信で設置は簡単電波の到達距離や交換用電池の入手には気を使いたい
各種センサーやデバイスは、ルームハブとBluetoothを経由するのでワイヤレスで設置できる。ドアセンサーやモーションセンサーなどは、バッテリーを内蔵しているので電源線も必要ない。
ただ、これらのバッテリーは現状、交換用電池の入手がやや難しい(Amazonにはあるが、扱っていない量販店もあるようだ)。このキットで使う電池はER1425というもので、カメラ用のCR2(=CR1425)と同じサイズだが、電圧が異なる。もっとも、最近このタイプの電池を使う機器が増えているので、近い将来ネット通販だけでなく、量販店などでも入手可能となるだろう。
接続は省電力のBluetoothなので、Wi-Fiの到達距離より少し厳しい感じだ。2.4GHzの電波なので、ドアなどにも反射されやすく、戸建で外にセンサーを設置した場合や、1階にルームハブを置き、ドアを2、3枚挟んだ部屋に設置したセンサーなどは、電波が届かなくなる場合もある。こんなときは別売のルームハブを追加して対応する必要がある。スタートアップセットは、同じフロアでほぼ見通し範囲内と思ったほうがいいだろう。
また、ルームハブがコントロールするエアコンや扇風機、テレビは、ルームハブから赤外線信号を出すので、機器との間に遮蔽物があるとコントロールできなくなる。赤外線の到達距離はテレビの操作でもおなじみの通り。したがってルームハブの設置場所も重要になってくる。ただし、ルームハブのみUSB-ACアダプター駆動となっているので、コンセントの位置にも縛られる点に注意して欲しい
なお、ルームハブに集約された各種デバイスの情報や制御は、ルームハブから無線LANを経由して、マウスコンピューターのスマートホームクラウドサービスと連携する。したがって家の中から無線LANを経由してスマートフォンから操作することも、外出先からLTE回線を経由して自宅のデバイスを操作することも可能だ。
ルームハブ内蔵の赤外線リモコンで多くの家電を操作OK!
赤外線通信のリモコンは、各社間で誤動作を起こさないように、最低限のフォーマットは決まっている。しかし製品ごとにリモコンの信号が違ったり、2台同時に使いたい場合などは、信号を別のチャンネルに切り替えるなどできるため、信号がバラバラで整理しきれていないという現状がある。また、国産以外の製品は、国内メーカーでの取り決めが適用されないので、ますます混乱している。
ルームハブでは、エアコンや扇風機、空気清浄機をコントロールできるとしているが、すべての機器に対応きる保障はない点に注意したい。
エアコンなどをルームハブに登録するには、エアコンの機種名もしくはリモコンの型番を入力し、一覧に表示されたリストから選ぶようになっている。ただ、すべての家電に対応してるわけではない点に注意。
しかしルームハブには、赤外線リモコンの信号をコピー(学習)する機能が備わっている。例えば扇風機のリモコンを学習させる場合は、スマートフォンでルームハブを学習モードに変更する。
ここで電源ボタンを学習させるモードにして、扇風機のリモコンをルームハブに向けて電源ボタンを押す。これでルームハブに扇風機のリモコンの赤外線信号パターンをコピー(学習)できた。同様にして、風量ボタンやタイマーの赤外線信号のパターンをコピーする。
スマートフォンからルームハブを通して扇風機をコントロールする場合は、スマホの画面の電源ボタンを押すと、ルームハブがコピーした電源の赤外線信号パターンをルームハブの赤外線送信機で再生。これで扇風機が動き出すという仕組みだ。
この方法ならたいていに機器に対応できるが、それでもコントロールできない場合もあるので、万能ではない点を承知してから購入して欲しい。
IoT対応エアコンは専用アプリでの利用をオススメ
エアコンのWi-Fiユニットはこれまでオプションだったが、最近は標準装備になっているものが増えてきた。また、価格も安くなり、エアコンとセットで購入する人が急増している。このようなIoT対応のエアコンは、それぞれの専用アプリを利用することをオススメする。
スマートホームで統合したいところだが、赤外線リモコンをシミュレートするだけなので、専用アプリと違いエアコンの運転状況や設定温度などの情報を外部から読み取れないためだ。
今は個々の家電がそれぞれIoTに対応し始めた創世記。メーカー間を越えて操作できる共通のインターフェースやコマンドなどは、もう少し先の未来になりそうだ。
センサーの状況に応じて機器を操作できる「シナリオ」機能
mouse スマートホームの面白さの1つを担っているのは、センサーの状況に応じて、機器をコントロールできる「シナリオ」機能だ。INTERNET Watchの読者だと、マクロなどのオリジナル言語で自由にコントロールしたいという要望も多いだろう。しかし現在搭載されているのは、既定のセンサーの状態を検知すると、既定のデバイスのコントロールをする「シナリオ」と呼ばれる機能だ。
例えば玄関に付けたモーションセンサーで人を検知すると、スマートLEDライトを点灯するといった使い方ができる。また、タイムテーブル機能を使うと、月~金曜日は営業時間内にスマートプラグ(コンセント)をオンにして看板の照明を点灯し、土・日は消灯したまま、もしくは営業時間を変更して点灯するなどの使い方もできる。
マクロではないため、ANDやORといった条件を指定できないが、ちょっとしたプログラミング要素があるので、「このシナリオとデバイスを使えばこんなことができそうかも?」といろいろ考えをめぐらせる楽しみがある。
次回は、シナリオを使った面白い便利グッズを紹介するので期待して欲しい!
とりあえず作ってみたホームセキュリティ
スターターキットでとりあえず作ってみたのは、こんなホームセキュリティだ。
①玄関前のモーションセンサー
本来は屋内用なので保証外の使い方になるが、これで来客の動きを検知できる。
ひとまず、雨に当らない場所にモーションセンサーを設置してみたが、長期的にはケースなどを用意したほうがいいと思われる。
②玄関ドアセンサー
玄関ドアの開閉を検知、長時間開けっ放しの場合は、スマートフォンにその旨をプッシュ通知するようになっている。開閉の状態は、ログとして記録するだけで、アクションのトリガーにはしなかった。
③ルームハブ
居間のほぼ中心にルームハブを設置。エアコンとテレビをコントロールできるようにしている。
④スマートLEDライト
玄関前のモーションセンサーと連動させて、人を検知すると光るようにシナリオで連携させた。不審者なら玄関前までくると、突然部屋の中が光るので、ある程度、防犯効果を期待できるかと……。
また、タイムテーブルで夜はぼんやり常夜灯になるようにしている。
メーカーのお仕着せじゃないスマートホームをDIY
mouse スマートホームは、さすがBTOパソコンの企業だけあって、自分で構築する楽しさやカスタマイズできる便利さが前面に出た、スマートホーム構築キットだ。
スターターキットだけでも十分簡単なセキュリティシステムは組めるので、ぜひ電子ブロック感覚で遊べるので試して欲しい。ヘタをすると電子ブロックより安いぐらいだ。
スターターキットだけで事足りなくなったら、センサーやデバイスを個別に購入して、システムの規模を大きくすることもできる拡張性にも飛んでいる。
また、シナリオを組むと楽しさ倍増! 今回はセキュリティシステムとして使えるかを検証してみたが、次回は楽しく、バカっぽい工作をして、面白スマートハウスを作る予定だ!