レビュー
「自作スマートホーム」はアイデア勝負! 身近な材料で「防犯システム」や「空きトイレ表示」をDIYしてみた
mouse スマートホームレビュー(後編)
2017年10月18日 06:27
2万4000円というかなりの安さで「自作スマートホーム」が作れる、株式会社マウスコンピューターの「mouse スマートホーム スターターキット」。前回は、基本的な使い方を紹介したが、今回は、もっとデバイスやセンサーを増やし、あるいはちょっとした改造を加えて、より本格的、かつオリジナリティある「スマートホーム」を作ってみた。
用意したのはパトランプにサインボード、E26のプラグ(レセプタクル)など。
今回、これで作ってみたのは、なかなか本格的(?)な防犯・セキュリティシステム、そしてIoT定番の「トイレ空き情報表示システム」だ。
スマートLEDライトで在宅偽装!
まず一番簡単にできるのは、スマートLEDライトを使った防犯システムだ。これは警察から聞いた話なのだが、空き巣がまず狙うのは、いつもは駐車している車がない家。さらに夜なのに電気がついていない家だという。どちらも散歩をするフリなどをして、見ただけで留守と分かるので、空き巣のいい判断材料になるそうだ。
そこを逆手に取るのが、今回のスマートハウスセキュリティ。たとえ家を空けていても、決まった時間にLEDライトをつけるようにしておけば、あたかも人がいるように見せかけられる。
そんなシステムの構築は一瞬! スタンドライトの電球をスマートLEDライトに差し替えて、電源スイッチを常にON。ただ、最近は電球式のスタンドライトなんて売ってないので、ホームセンターで電球ソケットと電線を買ってきて自作するのが、一番安くて早いかも?
自作するのに必要なのは、次の部品。
レセプタクル(E26) | 1個 | 500円ぐらい |
電線(7Aか12A) | 数m | 500円ぐらい |
コンセント | 1個 | 300円ぐらい |
レセプタクルというのは、簡単に言うと電球ソケット。ネット通販などで探す場合は、こっちの難しい用語の方がヒットするはず。プラスチック製と陶器製があるが、LED電球はそんなに熱を持たないのでプラスチック製でOK。ただし、サイズはE26というものを選ぶこと。これは普通の電球ソケットのことで、ねじ込み式(エジソン式)で直径26mmという意味となっている。ダウンライトなど、電球よりひと回り小さいE17というものもあるので注意して欲しい。
電線は、7A(アンペア)か12Aまでのものを必要な長さだけ確保する。切り売りで買うと7Aという表記ではなく、太さの0.75mm2、12Aの1.25mm2と書かれている場合がある。
さて、実際の作り方は、こんな感じ。まずレセプタクルのフタを開けるなどして、電線をつなぐ端子が見えるようにする。
次に電線の皮を2cmほど剥いて、よじったあと、レセプタクルのネジに巻きつける。このときのポイントは、ネジに対して時計回りに電線を巻きつけ、電線の先端を被覆の付いている側の下を通すこと。これはネジを締めるときは右回し(時計回り)にするので、ネジを締めたときにしっかり電線が端子に圧着されるためだ。
電線を反時計回りに巻きつけると、ネジを締めると電線がバラけて接触不良やショートなどの原因になるので注意すること。また、ネジを締める強さは、電線を軽く引っ張って抜けなくなる程度でOK。あまりネジを締めすぎると、電線を引きちぎってしまう恐れがある。
ちなみに筆者は楽してキッチリ作れるツールがいろいろあるので、ちょっとズルをさせてもらった。
圧着するしないに関わらず、2本で1組になっている電線を、レセプタクルの両方の端子に繋げたら、ソケットの工事は終わり。
電線の反対側はレセプタクル同様にコンセントをネジ止め。
あとはスマートLEDライトをレセプタクルにねじ込んで、コンセントを差し込めばライトが点灯する。
あとはスケジュール機能を使って、毎日同じ時刻にライトを点灯させるようにすればいい。よりリアルに見せるなら、寝る時間になったらLEDライトの明るさを暗くするなんてことも可能だ。
また、コンセント式の安いラジオなどを使い、その電源をスマートプラグでスケジュール予約すれば、いかにも人がいてラジオやテレビを楽しんでいるような偽装もできる。
なお、スマートLEDライトとスマートプラグは、ONとOFFの時刻を1分刻みで指定でき、曜日に応じて時刻を変更することもできる。
空き巣を家に近づけない!モーションセンサーでパトライトの閃光!
とにかく空き巣は、目立つことをイヤがるという。そこで次の防衛策は、家に近づいたら回転灯(通称、パトライト)などを派手に点滅させて「近づくと目立つぞ!」というアピールをする。
回転灯に加えてサイレンや犬の声を録音したICレコーダーを再生するなどすれば、より効果的だが、その辺はご近所との兼ね合いってことで。
さて、mouse スマートホーム スターターキットには回転灯がないので、これは自分で調達しなけりゃならない。なのでAmazonで調べてみると、車のシガーソケットから電源を取る回転灯が2000~3000円で手に入るようだ。100V式ならスマートプラグで直接ON/OFFできるがちょっと高いので、ちょっと工作することにしよう。
そこであわせて買いたいのが、12VのACアダプター。注意したいのは、回転灯の消費電力だ。12V 2Aと書かれていれば、それ以上のA数を持つACアダプターを購入すればいい。目安はだいたい1.5~2倍位。つまり回転灯の消費電力が2Aなら、12V 3A~4AのACアダプターを用意すればいいってこと。
もし、W数表記になっていたら、W数を12Vで割り算すればAが求められる。
さらにもう1つ欲しいのは、車のシガーソケットの差し込まれる方。つまりメスが欲しい。Amazonでも買えるが、車用品を売っているホームセンターなどに行けば、どこでも購入できるはずだ。
今回はきちんとACアダプターのソケットをハンダ付けして工作したが、ACアダプターのコネクタを切り落として、シガープラグのメスに直接よじって接続してもOK。
ただしプラスとマイナスを間違えないこと。
準備ができたら玄関周辺に設置しよう。車用の回転灯はだいたい底に磁石が付いているので、鉄製の門やポストがあれば、取り付け簡単。もしなければ、ホームセンターで鉄板などを購入して、壁に両面テープで固定するといいだろう。
さて、スマートホームのアプリの設定は、シナリオという機能を使う。これはセンサーのステータスの変化をトリガーにして、デバイスの状態を変える機能。プログラミング的な要素は全くないので、どんな人でも使いこなせるだろう。
ここではモーションセンサーをトリガーにして、シナリオ機能でスマートプラグの電源をONにしてみた。
これでACアダプターを経由してつながっている回転灯が激しく点滅するという塩梅だ。実際やってみると、昼間でもかなり目立つが、夜になると「コレ何キロ先から確認できる?」ってぐらい、眩しいフラッシュライトが光るので、空き巣撃退効果はPAC3(パトリオット)以上だろう。
シナリオは同じデバイスに対していくつも用意できるので、モーションセンサーをトリガーに、回転灯をフラッシュさせ、さらに玄関のスマートLEDライトを点灯するなどの複数攻撃も可能。
また、ドアセンサーをトリガーに、さらに回転灯をフラッシュさせるなど、数段構えの防犯シナリオも作れる。
家族が多いと死活問題! トイレ使用中ランプを作る!
さて、mouse スマートホーム スターターキットは、セキュリティシステムを構築するだけのものじゃない。生活もスマートにしてくれる。
………というわけで、我が家でスマートじゃないトイレ事情をIoTで解決するために、トイレ使用中サインを作ってみた。つまり、新幹線とか飛行機でよく見かける、「トイレ使用中」とか「Vacant/Occupied」のアレ。
ただ単にスマートLEDライトを点灯しただけだと、来客した人が何を意味するか分からない上に、インテリアとしてもダサい。そこでちゃんと、サインボードっぽくしてみよう!
作り方は簡単。ペイントが得意な人は、乳白色のアクリルとスモークのアクリルを買ってきて、乳白色の方に影としたい柄を塗っていけばいい。つまり色を塗っていない部分が光るというわけ。ポイントは、銀と黒を何回か重ね塗りすると、キレイなシルエットが出るという点。
ペイントが苦手という人は、屋外用のカッティングシートの黒か銀を買ってきて、柄をシートに転写してカッターで切り抜けばいい。筆者は、締め切りという悪しき事情のためカッティングマシン(プロッタ)で切らせてもらった。
もし乳白色の板が手に入らない場合は、透明版を使ってもいい。そのときは、スモークのアクリル板と透明の間にコピー用紙を1枚挟んでおけばいい。
サインボードのハードウェアが完成したので、さっそくシナリオの作成!……といきたいが、実は1台のルームハブに接続できるデバイスやセンサーの数に上限がある。中でもモーションセンサーは、ルームハブ1台に対して、1台のみ接続可能。すでに防犯セキュリティのために玄関にモーションセンサーを1台使ってしまっているので、ルームハブを1台追加した。
1台のルームハブに接続できるデバイスとセンサーの上限 | |
モーションセンサー | 1個 |
スマートLEDライト | 3個 |
スマートプラグ | 3個 |
ドアセンサー | 3個 |
PM2.5センサー | 1台 |
スマート空気清浄機 | 1台 |
※エアコンと扇風機、テレビとセットトップボックス(先日のアップデートで増えた)は、ルームハブから直接赤外線リモコンで操作するので、接続台数には含まれていない
この追加した1台に、モーションセンサーと、サインボードに入れたスマートLEDライトをペアリングしている。なお、複数台のルームハブを使う場合の注意点は、シナリオを利用する際ルームハブをまたげないという点だ。つまり、シナリオで紐付けできるのは、同一ルームハブに接続されているセンサーとデバイスのみということになる。
モーションセンサーは、天井などに取り付けて人がそこにいるかどうかを判定する。公共機関のトイレの個室などと同じで、じっとしたまま動きがないと「人がいる」と判定できなくなるのが弱点だ。
とはいえ動きを検知して何分間かサインボードのランプを点灯するようにしておけば実用的には問題なだろう。
サインボードは居間に設置しておけば、トイレの利用状況が常に把握できる。
こうして設置したモーションセンサーとスマートLEDライトは、シナリオで紐付ける。
実際に部屋に置くとこんな感じになる。ダンボールでできたサインボードなので、部屋のインテリアを壊すこともなく、なんとなくそのサインがトイレ使用中というのが、ひと目でわかるだろう。これならはじめての来客でも迷わない。
今回はトイレ使用中のサインを作ったが、同様にして宅配ボックスに投函されたかどうかをチェックするサインも簡単に作れる。ドアセンサーを宅配ボックスのフタに取り付け、フタが開いたらスマートLEDライトをつけっぱなしにすればいい。
つまり、ライトが宅配ボックスの荷物到着フラグとなるわけだ。
楽しさ無限大! デバイスを追加してシステム拡張もOK!
2回にわたってお届けしてきたmouse スマートホーム スターターキット。わずか2万5000円という価格ながら、本格的なセキュリティシステムから、スマートなIoTシステムが自由に構築できる。
スマートプラグやスマートLEDライトなど、単品での販売も始まっているので、より柔軟な構成で「自作スマートホーム」を実現可能だ。
願わくばIFTTTへの対応が待たれるところだろう。このインフラが整えば、さまざまなクラウドサービスをトリガーにしてデバイスを動かしたり、家のセンサーを元に各種クラウドサービスと連携させたりできる。
また、今はシナリオという簡単な仕組みしか使えないが、変数や論理演算などができるマクロが使えるようになると、かなり複雑なシステム構築も可能になる。
ちょっと未来をちょっとの価格で垣間見られる。それがmouse スマートホーム スターターキットだ。工作好きなら買って損はない!