特別企画

【Yahoo!JAPAN “爆速Girls” 座談会】

理系エンジニア女子が熱く語る「女性エンジニアという生き方」(2)

 第1回目に続いて、ヤフーで働く7名の女性エンジニアのみなさんにご協力いただき、なぜエンジニアを目指したのか、現在どのような環境で働いているのか、結婚、出産といった生活の変化にどう対応しているのかなどをお聞きしていきます。(聞き手:すずまり)

今回のメインテーマは仕事のやりがいと子育て。お子さんを3人育てながら2つのチームのリーダーを務めるナリさんは、仕事をしたい女性に「諦めないで欲しい」と言う

働いていて嬉しかったこと

――今まで仕事をしていて、嬉しかったことがあったら教えてください。

ひーみん:
 私は路線のサービス作ってるんですけど、電車に乗っていて、その路線のサービスを使っている人を見たときですね! あれはホントに嬉しい!(一同おお! と声をあげて同意)

ナリ:
 自分も入ったときは「Yahoo!知恵袋」の立ち上げやってたんですけど、当時、日本の中では後発だったんですね。1~2年くらい経って業界No.1になったときは、すごい嬉しかった。エンジニアは裏側のシステムを作ってるわけですけど、メンテナンス終わると、ピッタリその時間に投稿が始まるんですよ。(メンテナンスの終了を)待っててくれたんだ、って思うと感動しますね!(一同頷く)

 あと、メールの「Cc」ってあるじゃないですか。「Cc」が何かを知らないママ友とかに、「知恵袋やってるよ」っていったら、「それは知ってる!」って言われたときは、やっぱり嬉しかったですね。詳しくない人でも使えるってすごいし。

はせ:
 私は新卒で入社して、初めてやる開発が初めて出すサービス、っていうのがすごい嬉しくて、印象に残ってます。新規の立ち上げっていうのは結構準備も大変だし、開発も大変だし、やりがいありますよね。

さやか:
 私は開発ではなくて運用なんですけど、今あるシステムをもうちょっと便利にする、っていうのが好きで。使いづらいと言われていたシステムをぱぱっと直して、それが便利に見やすく、速くなったりすると、「あ、これちょっと便利になったよ」っていう声が社内から聞こえてくる。そうすると、「あ、自分貢献できたんだ」って感じて嬉しいです。

亜希子:
 私は友達が「使ってるよ」って言ってくれたときです。「ここが使いやすくて」とか、そういうのをフィードバックしてくれたりしたとき、すごく嬉しく思います。

リエ:
 私は今アプリの開発やってるんですけど、ちょっと前に、更新で機能追加して出したアプリがカテゴリーで1位取れたときです。みんなで狂喜乱舞しながら、カテゴリーのスクリーンショット撮って「1位!」って大喜びしました。あと、ユーザーさんの声が聞こえてきたときかな。アプリから、FacebookとかTwitterに投稿できるんですけど、そのときにハッシュタグを独自に付けて出せるんですね。なのでそのハッシュタグで検索すると、ユーザーさんの投稿とかが見られるんです。こうやってこのアプリ使ってくれてるんだ、とか、ユーザーさん同士が口コミで広めてくれている投稿とかを見ると、「ああ、なんかちょっとがんばってる甲斐があるな」って感じます。

働きながら凹んだこと

――逆に、一番凹んだのはどういうときでしょうか。

おんこ:
 失敗だったら数え切れないほどたくさんあるんですけど。(苦笑) 配属されて3カ月くらいだったと思うんですけど、当時担当していたサービスが「Yahoo! BEAUTY」だったんです。そこでサービスのトップ画面を1時間ほど真っ白にするという失態を起こして……。みんなが原因究明している中、私は何もできず、でも原因は私だった! っていう。それはもうすごい凹みました。

はせ:
 リリース作業しているときに、オペレーションミスでサービスを止めてしまったというのは、何回かあります。あれは悔しいですね。しょうもないミスで……。(一同あるあると同意)

――会社の業務上の失敗以外で、たとえば仕事と家庭の両立なんかで嫌な思いを経験したことはないですか。

ナリ:
 仕事上の嫌な思いっていうわけじゃないんですけど、うちは子供が3人いるんで、インフルエンザで出社されるのは困りますね。(苦笑) 水疱瘡とかもそうで、うつる病気の場合、予防接種してる自分は発症しなくても、子供は発症しちゃう。子供が3人続いてかかると、1カ月会社休むのかよ! ってことになっちゃうので。

おんこ:
 それわかります! 確かに家で流行っちゃうとそういうことありますね。結構みなさん頑張り屋さんで、胃腸炎にかかったりインフルエンザにかかったりしても、会社に来ちゃうんですよね!(一同爆笑) 「僕大丈夫ですから!」って言われても、子供がいる身としては「こっちが大丈夫じゃないから帰っていただけますか!」みたいな。(笑) そういうのは結構困りますね。

――仕事上での嫌な思いっていうのはないんですね。(笑)

子供を育てながらの勤務は「周りの理解がすごい!」

――開発の仕事というと、深夜残業とか、徹夜とか、休日出勤とか、かなりハードなイメージもあると思うんですが、その辺りの勤務実態はいかがでしょうか。

リエ:
 リリースのときは、土日のユーザーさんが使ってない間に出しちゃおうっことで、金曜の夜にスタートして、日曜の夕方までに何としてもリリースしなければ! みたいな感じで、徹夜作業とかはありますけど、それでも半年に1回あるかないかくらいですね。

ナリ:
 人がかなり少なかった頃は、うちの部署もそういうのもやってましたけど。運用をやってる方とかは、夜中にサービスが止まったりしたとき、どうしても徹夜対応ってあると思うんですけど、普通にエンジニアでものを作っている場合は、自分のスタイルで仕事してるって感じのほうが多いと思います。

――勤務時間の、始まりと終わりは一応決まっているんですか。それともフレックスとか、フリーな感じですか?

ナリ:
 フレックスですね。(一同頷く) 10時から15時がコアタイムです。

さやか:
 フレックスで15時に帰れるってすごいですよね~。

――15時に帰れるんですか。本当に15時に帰っても大丈夫なんですか?

一同:
 帰ります!

おんこ:
 役所行かなきゃいけないってときは、サクッと帰っちゃいます!

――それはすごいですね。女性は結婚した、子供ができた、生まれた、とライフステージが変わると、勤務にストレートに影響が出やすいと思うんですが、お子さんのいる方とか、実際どうなんでしょうか。

ナリ:
 自分に合わせて仕事をしていますね。

――リリース前や障害のときなどは別としても、普段は全然自分に負担なくお仕事できる?

ナリ:
 負担なくできてると思います。(一同頷く)

さやか:
 自分でコントロールできるからいいですよね。

――ナリさんはお子さん3人もいらっしゃるとのことですが。

ナリ:
 3人のうち、ここに入ってから2人産んだんです。入社した頃、一番上の子供が1~2歳で、当初はやっぱり大変じゃないといったらウソになるんですけど、でも仕事がすごく楽しかったし、周りの理解がすごくよかったなと思いますね。

――その“周り”とは、会社ということですか?

ナリ:
 もちろんそうです。自分が仕事したいときに仕事ができて、ちょっと今日は休まないと、と思ったときには、ちゃんと休める環境がありますね。

おんこ:
 私も子供が1人いるんですけど、私、シングルなんですよ。なので、子供にとっては本当に私しかいないので、使える制度は極限まで使って、周りのサポートもかなりしていただいてます。今担当しているサービスが「webR25」なんですけど、開発、技術者が私と新卒で入ってきた子しかいなかったので、その周りの人に、さらにサポートしてもらってやってますね。

さやか:
 私も子供がいて、やはりお迎えがあって残業できないので、朝早く来て、早めに帰るようにしています。早く仕事に戻りたくて、産休は半年くらいで復帰したんですけど、よく熱を出して、1カ月のうち半分くらいしか保育園に預けられないときがあって。そういうときも「看護休暇」という制度があって、それをフルに使わせてもらったりとかしました。

――「看護休暇」ってどういうものなんですか?

ナリ;
 有休と同じですね。未就学の子供1人につき年間で5日、休暇を取れるんですよ。

さやか:
 休暇はお給料が出るので、気兼ねなく使えますね。(笑)

おんこ:
 すぐなくなっちゃいますけど。(苦笑)

さやか:
 あーまたお迎えコールがー! って。

――そういう方は結構回りにもいらっしゃるんですか?

ナリ:
 いっぱいいると思います。

おんこ:
 お子さんいる方は全員使ってるよね。

――周りにいる男性の意識はどうなんでしょうか。先ほど周りの方の理解もあって、サポートもあったとおっしゃったんですが、早く帰ることに対して、世間でよく言われるような摩擦が生じたりはしませんか?

ナリ:
 子供のいるいないに関係なく、みんなフレックスで、自分のスタイルに合わせて仕事をしているというのがあるから、そういうのはないと思いますね。仕事って時間じゃないじゃないですか。与えられた時間、自分がやれる時間内にパフォーマンスを出せるんだったら、別に長時間いる必要は全くないし。

おんこ:
 トラブルが起こると作業が終わらないことも多いんですけど、お迎えは待ってはくれないので、もう任せちゃうんですね。「申し訳ないけど、本当に無理だからお願い!」みたいな感じで任せても、「やっとくんで帰ってください」って言ってくれる。「プライベートは手伝えないですが、仕事はやります!」って。(一同爆笑) お子さんいらっしゃらない方とか、若い男の子とかも含めて、周りはすっごい理解があります。こんなに理解してくれる会社そうそうないかな、と思うくらい。

さやか:
 昔、結構メンテナンスが続いた時期があって、私は妊娠6カ月で深夜メンテとかしてたんです。さすがに途中で止められたんですけど、でもそのとき、「妊婦でもやれ」ではなく、「妊婦だからやめろ」でもなく、「好きにしたらいいよ」っていう温かい感じがあるなと思いました。

ナリ:
 体が辛ければできないんですけど、自分はまったくつわりもなくて、妊娠8カ月で徹夜1週間とか普通にやってた。別に自分が働けるっていうのがあるんだったら、妊娠してるとか、子供がいるとか、周りに気兼ねしなくてもいいんじゃないですかね。周りがヘンに気を遣ってくれると、それはそれで自分も苦しいし。なので、できるところまではやる。できないところはできない、とハッキリさせることが大事。それを、普通に受け入れてくれてるっていうところが結構あるなと思いますね。

――今のお話を伺っていると、今独身だったりお子さんのいない方も、子供ができたときに会社を辞めるとか、家庭か仕事か悩むといった必要はまったくない感じがするんですが。

はせ:
 ないですね~!

おんこ:
 辞めたらもったいない! ここまで働いてきて、出産で辞めるっていうのはちょっとない!(一同笑いながら頷く) 私の周りでは、なんだかんだ言いながらも、結局みんな産んでから職場に帰ってきますね。

ナリ:
 諦めないで欲しいですね!

――それは、ここでの仕事にやり甲斐を常に感じてるから?

ナリ:
 仕事したいじゃないですか。親がお金かけてくれて、大学も出て、そこまで勉強して頑張ってきて。そこまでは男女差ってなくやってこれると思うんだけど、なんで入ったあとに女性が変わらなきゃいけないのかっていうのは、常に感じています。一線を退くと、仕事の感覚がなくなったり、いろんなネットワークがなくなったりとかして、それがすごいもったいない。無理するのは良くないんだけど、ちゃんとライフイベントに合わせて仕事ができるとしたら、女性が仕事を辞めたり、諦めたりする必要はまったくないんじゃないかなと思うんです。

仕事は辞めず、ライフスタイルに合わせて職種を変えて働き続ける

――みなさんのお話を伺っていると、みなさんの職場は女性が働きやすそうって気がしますが、結婚などを機に会社を辞めた方などは周りにいらっしゃいますか?

おんこ:
 辞めた方はいないんですけど、エンジニアから企画やディレクション的な仕事に業務を変えたりしてる方はいます。場所によってなんですが、担当してる業務によって、エンジニアでも、子供がいてもガッツリ働かないとマズイ空気みたいなある場所もあると思うんですよね。そういうときは、子供がいても働きやすい部署に異動したり。会社辞めて転職ではなくて、社内で自分のライフスタイルにあった仕事に変えてますね。辞めなくても大丈夫なんですよ。この会社の中で好きなことを選べる。

ナリ:
 異動は割と自由なんです。開発したり、企画したり、企画したり、開発したり。営業したり、開発したりって。私は営業はやってないですが、ほかはほとんど経験してます。好きなことができるっていうところがすばらしいよね。

 さっきもちょっと言いましたけど、みんな、諦めないで欲しいんですよ。男性の場合は、大学卒業して社会人になって、いざとなったら辞めるか、っていう選択肢がないんです。頭の中に。でも、女性ってそれがあるんですね。たぶんそこの意識の差から、男女の差が生まれてくるのかなと思っていて。

 「私はいつでも辞めていいわ」っていう人と、「私は絶対辞めない」って言う人が同じ仕事に向かっていたら、どちらが経験を積めるかは目に見えてるじゃないですか。辞めたいって思ってる人が、ああだこうだといろいろ文句をいっても、結局変わらない。できる制度を自分で作っていくべきだと思うし、周りの意識も自分で作っていくべきだと思うんです。

――確かに最初から無理だと決めてかかったり、諦めていたら、思考停止になっちゃいますね。

ナリ:
 そうなんですよ。最近心に残った言葉に「more woman in power」っていうのがあるんですね。女性が増えていくことによって、生まれてくる力があると思うんですね。だから、自分たちと同じように、諦めないでがんばろうっていう人たちが増えていけば、いろんな気持ちが分かち合えるようになって、そのあたりの意識ができるといいなって思います。

――29日(月)に引き続き女性エンジニアの本音をお送りします。どうぞお楽しみに!

【参加者プロフィール】
リエ(既婚)
現在の業務:iPhone アプリ Petapicの開発、Petapicのディレクション
過去の業務:インタレストマッチの配信システム開発、配信システムのユニットとりまとめ、広告サイエンス、IDプラットフォーム運用
ひーみん(未婚)
現在の業務:Yahoo!路線情報の技術リーダー、Yahoo!路線情報全般の開発及び運用業務(主にAndroid版乗換案内アプリ、通勤タイマーアプリ)
過去の業務:Yahoo!路線情報全般の開発、および運用業務、YOLP(Yahoo! Open Local Platform)カセットギャラリーの開発
さやか(既婚、子供1人)
現在の業務:コマース(ポイント)システム企画、社内システム企画、社内業務企画
過去の業務:コマース系サービスのシステム運用保守、サーバトラブル障害対応
おんこ(独身、子供1人)
現在の業務:webR25の開発、運用
過去の業務:Yahoo! BEAUTYの開発、運用。X BRANDの開発
亜希子(未婚)
現在の業務:Yahoo! JAPANアプリの開発、かわいいウィジェット♪「ウィジェリー-Widgely-」の企画
ナリ(既婚、子供3人)
現在の業務:インターネット広告についての研究、開発。2つのチームのリーダー
過去の業務:ヤフーに入る前はSE。Yahoo!知恵袋の開発(立ち上げから約6年間)、YDN(Yahoo!ディスプレイアドネットワーク)の企画(1年)
はせ(未婚)
現在の業務:プラットフォームの運用業務、新卒技術研修、次世代監視システムの開発
過去の業務:TV向けサービスの開発、運用

すずまり

プログラマからISPの営業企画、ウェブデザイナーを経て、現在はIT系から家電関連まで、 全身を駆使してレポートする雑食性のフリーライターに。主な著書に「Facebook仕事便利帳」「iPhone 4 仕事便利帳」(ソフトバンククリエイティブ)など。 睡眠改善インストラクター、睡眠環境診断士(初級)。