VPSサービスでは国内初~お名前.comのスナップショット機能を試す


 GMOインターネット株式会社の「お名前.comレンタルサーバーVPS(KVM)」では、11月8日にスナップショット機能を追加した。全プランで、追加料金なしで利用できる。

 スナップショットとは、任意の時点でディスクのイメージを保存しておき、後からそのときの状態に復元できる機能だ。VMware製品やVirtualBoxなどの仮想化ソフトを使っている人であれば、スナップショット機能を使っている人も多いだろう。実際にはディスクのイメージをまるごと保存するわけではなく、差分をとることにより、倍の容量にならないようになっている。

 お名前.comレンタルサーバーVPS(KVM)の試用アカウントを再び編集部から借りたので、スナップショット機能を試してみた。

お名前.comレンタルサーバーVPS(KVM)

 なお、サービス全体の使用感については、8月にレポートしているので、合わせて参照していただきたい。


システム変更の保険としてスナップショットを取れる

 スナップショットがあると便利な場面のひとつとして、OSをアップデートするときがある。たとえばCentOS 5.7の仮想サーバーでアップデートを実行すると、CentOS 5.8にアップデートされ、ソフトウェアも新しいバージョンに置きかわる。マイナーバージョンアップなら基本的には同じように動作するはずだが、すでに設定などを加えて実際に動いているサーバーでは、問題が生じる可能性もある。そこで、保険として事前にスナップショットを取っておけば、いつでもアップデート前の状態に戻せる。

 そのほか、大きく構成を変更するときや、初めての構成を試すときなどには、事前にスナップショットを取っておけば、安心して元の状態に戻せる。仕事であれば同じ構成のサーバーで先に試してから本番サーバーを変更するのだろうが、個人で動かしているサーバーで慣れない設定をするときなどは、心強い。

 さて、コントロールパネルにログインして、サーバーの管理画面を見ると、「スナップショット」のタブが増えている。このタブからスナップショットの操作をするようになっている。

 スナップショットを取るには、仮想サーバーを停止しておく必要がある。その状態で「スナップショット取得」をクリックすれば、それだけでスナップショットが取れる。

 なお、スナップショットの数には制限がないが、容量には制限がある。スナップショットを取るときに契約しているディスクの容量の半分を超えていると取得できない。具体的にはたとえば、100GBの契約なら使用容量が50GB未満であれば、スナップショットが取れる。ただし、スナップショットも使用容量に含まれるため、スナップショットを取った時点で50GB未満ならスナップショットは有効だが、スナップショットを取った結果50GBを超えてしまうと、そのままでは次にスナップショットが取れないことになる。

 スナップショットが利用できるかどうかを判断するディスク使用量はホストOS上で計算され、仮想サーバー内から見たディスク使用量とは異なる。前述の通り、スナップショットの差分も使用量に含まれる。ホストOS上で計算したディスク使用量はコントロールパネルで確認できるので、スナップショットを取る前に確認した方が良いだろう。

 容量超過でスナップショットが利用できない場合は、コンバート機能を利用することで容量の圧縮ができる。ただし、コンバート機能を利用すると、過去のスナップショットが全消去されてしまうため、利用の際には注意が必要だ。

「スナップショット」タブの初期状態。「スナップショット取得」をクリックするだけでスナップショットが取れる。ディスクの使用量もバーで表示されるスナップショットを取る確認
特に指定などなしにスナップショットが取れた仮想サーバーの起動中にスナップショットを取ろうとするとエラーになる

 スナップショットの名前(ラベル)は、自動的に付けられる。後から混乱しないように、スナップショット画面からスナップショットを選んで、ダイアログからラベルの「編集」でラベル名を変更しておくとよいだろう。

 同じダイアログでロールバックを実行すると、その時点のディスクイメージに戻る。ロールバック対象のスナップショットの後でほかのスナップショットを取ってある場合、スナップショットはパラレルワールドのように枝分れする。

 VPSを実用目的というよりサーバーの実験に使っている場合などには、複数の構成を切り替えられると便利だ。たとえば「Webサーバーの構成と、デスクトップ環境の構成を使いわける」といったことができる。さらに、容量が許せば、OSを入れ替える前後でスナップショットを取れば、それぞれの構成を育てていくこともできる。

スナップショットを1つ取った後のスナップショット画面。ディスク実使用量の表示の下に、スナップショットが一覧表示されるスナップショット画面からスナップショットを選ぶと、名前(ラベル)を編集できる。同じダイアログから、ロールバック(その時点に戻る)や削除もできる
一覧表示は、上の「▲▼」をクリックすると、時間順表示と逆順表示を切り替えられるロールバックを実行すると、その時点のディスクイメージに戻る。
ロールバックを実行して、スナップショットの系統が枝分かれしたところ構成やOSを変更して、パラレルワールドのようにスナップショットを切り替えられる


リモートコンソールの高解像度対応やキー配列変更なども

 スナップショット機能のほかに、比較的最近に追加された機能も試してみた。

 10月には、リモートコンソールの画面が高解像度ビデオデバイスに対応した。コントロールパネルの「VM設定」に「ビデオデバイス設定」の項目が設けられ、ここで標準の「cirrus」から「vmvga」に切り替えると、仮想サーバーから認識するビデオデバイスが変更される。これにより、最大2,360×1,770ドットまでの画面が使えるようになる。

 9月には、コントロールパネルのリモートコンソール機能で、キー配列として、101キーボード系のいわゆる英語配列がサポートされた。リモートコンソールの左下から、106キーボード系のいわゆる日本語配列と切り替えられる。

ビデオデバイス設定で「vmvga」を選ぶと、仮想サーバーから認識するビデオデバイスが変更され、最大2,360×1,770ドットまでの画面が使える
リモートコンソールの左下から、キーボード配列を切り替えられる

 以上、お名前.comレンタルサーバーVPS(KVM)のスナップショット機能を試してみた。特に、プロでない個人ユーザーがLinuxサーバーを勉強しながら構成を試していくときなどに、失敗しても元に戻せるというのは安心感があるだろう。



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(高橋 正和)

2012/11/19 07:00