ITU TETECOM ASIA 2004のフォーラム「Connecting the next billion」では、総務副大臣の山口俊一氏が日本のIT政策について講演を行なった。
● ブロードバンド回線利用料は世界最安値を達成
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総務副大臣の山口俊一氏
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山口氏はまず、2001年1月に策定した施策「e-Japan戦略」について説明を行なった。2005年までに世界最先端のIT国家実現を目指すとしたこの施策では、世界でもっとも進んだインターネット環境の整備や電子商取引の促進、教育面でのIT利用やITによる人材開発などが目標として掲げられていた。このうちインターネット環境整備の具体的目標値として、2005年までにDSLやCATVといった高速インターネットサービスを1,000万世帯に、FTTHといった超高速サービスを1,000万世帯に普及させる目標としていた。
インターネットの利用率は2000年12月の37.1%から2003年12月の60.6%へ増加するとともに、ブロードバンドサービスの月額料金平均は7,800円から2.500円へ低価格化。また、教育分野でのIT利用も2001年の1%から2004年の96%へ、株式市場でのIT取引も6%から23%へと伸びを示している。
インフラの構築ではDSLが3,800万回線、CATVが2,300万回線、FTTHが1,800万回線とすでに当初の目標を超える数値を達成した。ただし、回線の実利用率は最も高いDSLでも34.5%、CATVが11.8%、FTTHが8%と低水準に止まっている点が問題だという。料金面では、100kbpsあたりのドル単価が諸外国と比較して最も安い0.09ドルを実現した。
● 広がる3G携帯電話の用途~電子決済、電子鍵など
モバイル分野の成長も目覚ましく、2002年3月には約90万人程度だった3G携帯電話の利用者数は、2年間で1,669万人へと急増。そのうちCDMA2000が3G利用者全体の約80%を占める1,351万人と大きく伸びている。山口氏は「モバイルインターネットサービスの利用形態も多様化しており、画像の送受信やニュースの閲覧、eコマース利用や楽曲ダウンロードにも使われ始めている」と補足した。
日本における3G携帯電話の動向として山口氏は、下り最大2.4Mbpsでの通信が可能なCDMA2000方式の「1xEV-DO」を紹介したほか、W-CDMA方式で14Mbpsの通信速度を実現する次世代3G携帯電話技術にも言及。今後の課題として800MHz帯、1.7GHz帯、2.5GHz帯の周波数再割り当てやTDD方式の新技術の評価などが挙げられたほか、3G携帯電話の研究開発やナンバーポータビリティにも取り組んで行く方針だという。
山口氏は「3G携帯電話は電話やテレビ電話、インターネット接続だけに利用するのではなく、電子決済や鍵、チケットとしても利用が進む」とコメント。その一例として携帯電話に搭載したICカードによる電子決済サービス、携帯電話を鍵代わりに利用する電子鍵技術、携帯電話をコンサートチケットや乗車券、航空券として利用する電子チケットサービスなどを紹介した。
今後の施策としては、いつでも、どこでも、誰でも自由に情報を交換できる「ユビキタスネット社会(u-Japan)」を2010年までに構築することが課題だという。山口氏はユビキタスネット社会の実現に向けて研究開発や技術利用の促進などを図っていくほか、産学との連携も必要になるとした。
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e-Japan戦略によるいくつかの結果例。インターネットは急速に普及している
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3G携帯電話は2年間で急成長を遂げた
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3G携帯電話の今後の動向
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ユビキタスネット社会でどこからでも自由に情報交換できる時代に
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関連情報
■URL
ITU TELECOM ASIA 2004
http://www.itu.int/ASIA2004/
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( 甲斐祐樹 )
2004/09/07 21:32
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