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最先端技術が集結するF1で活躍する、CAのサーバーアプリケーション
~F1日本グランプリ・マクラーレンピットレポート~


鈴鹿サーキット
 Computer Associates(CA)は、フォーミュラ・ワン(F1)のコンストラクター「チーム・マクラーレン・メルセデス(マクラーレン)」のテクノロジー・パートナーおよびスポンサーとして協賛、サーバーアプリケーションの提供を行なっている。10月7~9日にかけて三重県鈴鹿市の「鈴鹿インターナショナル・レーシング・コース(鈴鹿サーキット)」にて開催された2005年度のF1グランプリ第18戦「F1日本グランプリ(日本GP)」における、マクラーレンのピットレポートを通して世界最高峰のモータースポーツで活躍するCAのサーバーアプリケーションを紹介する。


モータースポーツの最高峰・F1ではネットワーク技術も最先端

 時速300km以上の高速で走行し、1000分の1秒を争うF1においては、わずかなマシンの状態変化が勝敗を左右する。また、モータースポーツの最高峰ということもありマシンの技術革新のスピードが速く開発競争も熾烈を極め、わずかな開発の遅れがチャンピオン争いに影響を与えることも少なくない。そのため、F1ではマシンの状態変化を情報として把握し、レースマネージメントやマシン開発を成功させるべく「テレメトリーシステム(遠隔測定機能)」を利用することが、今や常識となっている。マクラーレンにおいても例外ではなく、2005年度のマシン「MP4/20」には約120個のセンサーを搭載。センサーにより測定されたデータは約6,500項目に及び、1ラップ当たりのデータ容量は約35MBに上るという。

 マシンのセンサーから得られた大量のデータは、約4Mbpsの無線接続によりピットへ伝送、同時にマクラーレンの本拠地である英国のファクトリーにもリアルタイムで伝送される。伝送されたデータを元に、ピットクルーがレース状況の報告やピットインのタイミング指示などをドライバーに伝えるといったレースマネージメントを常に行なう。また、同じくデータが伝送されたファクトリーでは、今後のレースに備えたレースシュミレーションや、次期シーズンのマシン開発においてデータとして活用する。ネットワークに関わるスタッフは、マクラーレンの約500名のスタッフのうち約10名程だと言う。



マクラーレンの2005年シーズンのマシン「MP4/20」。緻密に設計されたウイングなどのマシン各部や、ステアリング周辺のスイッチの多さから、最新技術がふんだんに取り入れられていることがうかがえる。


マクラーレンで活躍するCAのサーバーアプリケーション

 常に大量のデータが送信・蓄積され、またデータを最大限に活用するマクラーレンのネットワーク環境下においては、トラフィックの安定化やデータ破損やセキュリティ面でのリスク管理も不可欠となる。そこで、CAがテクノロジー・パートナーとしてサーバーアプリケーションを提供し、マクラーレンのネットワークをサポートしている。

 ネットワーク管理では、「Unicenter Network and Systm Management(Unicenter NSM)」を利用してネットワーク上のトラフィックを随時監視し、サーバーの負荷を分散するなどのキャパシティマネージメントを行なうほか、「BrightStor Storage Resouce Manager(BrightStor SRM)」にてデータのパックアップを作成。さらに、「BrightStor High Availability(BrightStor HA)」を利用して保存データを2重化し、記録サーバーとは別のサーバーに記録してデータの保持を行なっている。データの運営に関しては「CleverPath Portal」を用いて収集されたデータを分析し、分析結果をグラフなどで表示。Unicenter NSMとあわせてネットワークの監視からデータ保護・運用を一元的に管理している。

 セキュリティに関しては、「eTrust AntiVirus」にてウイルスからネットワークの保護を、「eTrust Security Content Manager(eTrust SCM)」にてメールやURLのフィルタリングを行なう。また、「eTrust Security Command Center(eTrust SCC)」にてセキュリティ関連情報の収集などを行ない一元管理。不正アクセスや攻撃を遮断し、毎年50万件に上る外部からのシステム攻撃を受けているというマクラーレンのネットワークを強固に保護している。なお、CAはセキュリティ関連ソフトウェアの「eTrustシリーズ」を個人向けに販売しており、F1で活躍しているセキュリティ技術をPCの個人ユーザー環境に再フィードバックしているとも言えるだろう。


マクラーレンのピット内の模様。手前のマシンはスペアカー、奥のマシンはファン・パブロ・モントーヤのマシン ピット内に設置されたテレメトリーシステム。テスト走行時などはこちらでデータを参照する ピットレーン脇に設置されたテレメトリーブース。レース開催時はブースからドライバーやピットクルーに指示を送る

VoIP導入を視野に入れるなど、マクラーレンのネットワークは進化を続ける

 マクラーレンがCAをテクニカル・パートナーとして選択した理由についてパートナーマネージャーのキャサリン・ダイヤー氏は「現在のF1ではデータマネージメントが重要なほか、セキュリティ対策はF1全体においても重大な問題です」と前置きし、「1997年にパートナーを選定する際に、CAのソフトウェアのストレージ管理能力やセキュリティ対策の高さに注目したからです」と回答。また、「CAにはサーバーソフトウェア業界での経験がある点や、多数のアワードを受賞した点、1つの企業で多数のソリューションを提供している点も、採用の理由の1つです」とCAのサーバーアプリケーションを採用した経緯を語った。

 なお、テレメトリーシステムについては、マシン開発のコスト高騰によるチーム規模から起因する格差を是正する目的で、国際自動車連盟(FIA)によって2003年度より双方向での通信が禁止され、マシンからピットへの通信のみ許可するとレギュレーション(規定)が変更されている。また、2008年にはテレメトリーシステムの禁止とデータ取得システムの厳密な管理を行なうといったレギュレーション変更も施される予定となっている。

 レギュレーションにおいては、いわば「ハイテク禁止の拡大」となりつつある現状について、チーフエンジニアのスティーブ・ハラム氏は「レギュレーションの変更については、特に影響はない」とし、「現在のF1では、それほどレギュレーションで締め付けられているとは感じない」と、名門チームを支えるエンジニアらしい、自信に満ちたコメントをした。また、今後のネットワーク構築については「VoIPを積極的に取り入れたい」という。


キミ・ライコネンのヘルメット。バイザー上部にCAの企業ロゴが添付されている CAのサーバーアプリケーションによって運用・保護されたデータを基にマシンセッティングなどを行なう データが豊富であってもセッティングに反映されなければならず、高い整備能力も要求される

FIAの車検場。F1マシンは高度な技術が多数利用されている反面、レギュレーションによる規定も多岐にわたる 車検場にマシンを搬入するマクラーレンのピットクルー パートナーマネージャーのキャサリン・ダイヤー氏

日本GP決勝では、ライコネンが予選17位から逆転優勝

 日本GP決勝でマクラーレンは、ファン・パブロ・モントーヤが決勝1周目にザウバー・ペトロナスのジャック・ヴィルニューヴと接触しリタイアとなった。しかし、キミ・ライコネンは、フリー走行でエンジンを交換し17位スタートとなったものの(2005年のレギュレーションでは2レースで1エンジンを使用しなくてはならず、エンジン交換の必要が生じた場合は予選順位が10位降格させられる)、積極的に攻め続けたレース展開からファイナルラップで1位に躍り出るとそのままチェッカーフラッグを受け、今季7度目となる優勝を16台抜きの逆転優勝で獲得した。

 しかし、マクラーレンとコンストラクターズ・タイトルを争うルノーF1チーム(ルノー)のジャンカルロ・フィジケラが2位に、今期のドライバーズ・チャンピォンを決定しているフェルナンド・アロンソが3位となったことから、コンストラクターズポイントがルノー・176ポイント、マクラーレン・174ポイントとなり、タイトル決定は10月14日~16日に中国・上海で開催される最終戦・中国グランプリに持ち越された。コンストラクターズ・タイトル獲得に向けて、マクラーレンは今日もCAのサーバーアプリケーションと共にグランプリを戦い続けている。


日本GP決勝でのキミ・ライコネンとMP4/20 決勝レース直前に、マクラーレンのパドッククラブに登場したキミ・ライコネン

日本GP決勝直前のメインスタンドの模様 ピットに登場した鈴鹿サーキットクイーン

関連情報

URL
  コンピュータ・アソシエイツ
  http://www.caj.co.jp/
  CAストア(個人・SOHO向けオンラインストア)
  http://store.caj.co.jp/
  チーム・マクラーレン・メルセデス
  http://www.mclaren.com/
  「eTrust インターネット セキュリティ スイート 2006」「eTrust パーソナル ファイアウォール 2006」発売のニュースリリース
  http://www.caj.co.jp/press/2005/09/pf2006_iss2006.htm
  「CAのスパイウェア専用対策ソフトが米国防総省に採用」のニュースリリース
  http://www.caj.co.jp/press/2005/07/disa.htm

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( 大久保有規彦 )
2005/10/11 15:04

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