イベントレポート
NTT R&Dフォーラム 2013
次世代ビデオコーデック「HEVC」、コンテンツの分割表示技術などを披露
(2013/2/15 15:51)
NTTグループの研究開発成果を紹介するイベント「NTT R&Dフォーラム 2013」が14日と15日の2日間、東京都武蔵野市のNTT武蔵野研究開発センタで開催された。
動画関連技術では、現在広く用いられているH.264/AVCの半分のビットレートで同程度の動画サービス品質を実現する新たなビデオコーデック「HEVC」に関する展示が行われていた。HEVCは、ITU-Tでは「H.265」として承認された次世代のビデオコーデックで、ITU-TとISO/IEC共同による標準化作業が2013年1月に完了している。
会場では、NTTドコモが国内外の事業者向けに3月からライセンス提供するHEVCの復号ソフトを利用して、スマートフォン上での500kbps程度の動画再生や、4K映像を再生するデモが披露された。
現時点のソフトでも、2012年モデルのAndroidスマートフォン上で1MbpsのHEVC動画がソフトウェア再生できており、NTTドコモでも提供する動画サービスにHEVCを取り入れる計画を進めていくとしている。
マルチデバイス活用関連では、1つのウェブコンテンツを複数のデバイスに分割して表示する技術が展示されていた。動画配信サービスなどにおいて、動画はテレビ画面に、再生コントロール部分は手元のスマートフォンに表示するといった操作を可能にする技術で、サービス提供側は1つのウェブコンテンツを用意するだけでよく、コンテンツの分割・配置を制御するサーバーを中間に設置することで、ユーザーがどのコンテンツをどのデバイスに表示させたいかを指示できるようにする。
中間サーバーは家庭内のホームゲートウェイのような機器に設置する方法や、クラウド側に設置することで遠隔地の機器とも連携させる方法が考えられるとしており、会場内では動画の再生コントロールや字幕部分だけをスマートフォンに表示したり、遠隔地のテレビと同時に動画を再生するデモなどが披露された。
60GHz帯の無線ネットワークを利用したサービスとしては、非接触式で大容量コンテンツを瞬時に転送する技術を展示していた。60GHz帯を利用する通信技術としては、無線LANでも「IEEE 802.11ad」として標準化が進められているが、60GHz帯は直進性が高いためアンテナの制御などが難しいといった問題があるという。
こうしたことから、会場では非接触式のICカードをタッチするのと同様の感覚で、端末同士を近付けて高速通信を行うという活用法のデモを紹介。タブレット端末に装着するジャケットに60GHz帯の送受信装置を内蔵し、街頭のキオスク端末などに接触させることで動画などの大容量コンテンツがダウンロードできるというデモで、今後はこうした利用方法についても標準化や活用を進めていきたいという。