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Acronis、ランサムウェアに対抗するための新世代バックアップソフト、個人向け製品では世界初となるブロックチェーン技術を採用

 アクロニス・ジャパン株式会社は、2016年9月に発売したバックアップソフト「Acronis True Image 2017」に、ランサムウェア攻撃からのリアルタイム保護機能やブロックチェーン技術を追加した「Acronis True Image 2017 New Generation」を発表した。1年の使用期間が設定されたサブスクリプション制で提供し、1TBのクラウドストレージが付属する。価格(税込)は1台分が9980円、3台分が1万4980円、5台分が1万5980円。同社のオンラインストアのみで販売され、従来の「Acronis True Image 2017」はスタンダードモデルとして継続して販売する。

 Acronis VP/GMグローバルコンシューマ&オンラインセールスのガイダー・マグダヌロフ氏は、サイバー攻撃の新たな手口は増え続けており、従来型のバックアップソリューションだけでは不十分であると述べる。また、データの一部を改ざんすることが目的の攻撃や、バックアップソフト自体への攻撃も起こる可能性があるため、「ランサムウェアからの攻撃を受けても確実にバックアップを取れる環境を整える必要がある」と強調した。

 バックアップソフトを誰でも使いやすいものにするためには、“シンプルで使いやすいこと”が求められるという。そのため、アクロニスではクラウドサービスのセキュリティ強化やインターフェースの改善、Mac OS Xやモバイル端末へ対応してきたことを挙げた。

 New Generationでは、ランサムウェアの脅威からデータを保護する「Acronis Active Protection」、ブロックチェーン技術を採用した「Acronis Notary」、電子署名に対応する「Acronis ASign」を新たに搭載した。

「Acronis Active Protection」「Acronis Notary」「Acronis ASign」を新たに搭載
Acronis VP/GMグローバルコンシューマ&オンラインセールスのガイダー・マグダヌロフ氏

 Acronis Active Protectionは、データファイルが変更されるパターンを独自のホワイトリスト/ブラックリストを元に検知し、悪意のある疑わしい動作を見つけるとインスタントバックアップとユーザーへの通知を実行。ユーザー側で不審なプロセスの一時停止やブロックを行える。素早く対策を取ることで、攻撃を遮断したときに影響があったファイルも簡単に元の状態に復旧できるという。

 マグダヌロフ氏は、「バックアップソフトの復旧時間はできるだけ短く、復旧時点は最新に近いものが望ましい。万が一被害に遭ってもデータを失わず、時間をかけないバックアップが重要だ」と述べた。

 なお、この機能は現時点でWindows向けのみとなっているが、これはWindowsのランサムウェア被害が大きいことを挙げる。Macに関しては現在開発中で、2017年末ごろに提供開始する予定だそうだ。

 Acronis Notaryは、金融取引インフラでの応用が期待されるオープンソースのEthereumのブロックチェーン技術を用いて、デジタル証明書を発行する機能。フィンガープリントとなるハッシュ情報の保管にはEthereumのサーバーを使用。個人向け製品でブロックチェーン技術を採用したのは世界初だそうだ。また、非改ざん性を保証するための電子署名にはAcronis ASignを活用でき、より信頼性を高めることができるとしている。

「Acronis Active Protection」でランサムウェアの動きを監視
「バックアップを行う必要性は当然であるとしても、バックアップされたデータがオリジナルのものから勝手に改ざんされていないか検証することが今後ますます重要になる」(マグダヌロフ氏)
「Acronis Notary」でオリジナルのコンテンツが改ざんされていないか確認
「Acronis ASign」

 ランサムウェアの被害をシミュレートするテストを行ったところ、無償のウイルス対策ソフトでは10個のうち1個しか防御できなかったのに対し、New Generationを併用すると、9個のランサムウェアを防げたそうだ。また、ローカル/クラウドの復元率は100%という結果になったという。

 New Generationは単体で使うものでもなく、すでにユーザーが使っているウイルス対策ソフトと組み合わせて使うことでセキュリティをさらに強化できるツールになるとしている。

ウイルス対策ソフトと併用することでより強固なセキュリティ環境を構築できるとしている