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「Office 365でOneDriveしか使えないのはおかしい」

~米Box社CEO、“オープンなMicrosoft”を呼びかける

 米Box社CEOのAaron Levie氏は28日、MicrosoftのストレージサービスOneDriveに関連して“オープンなMicrosoft”になってほしいと公式ブログで呼びかけた。

 米Boxは企業向けオンラインストレージサービスで、米SECに提出した書類によると、登録会員数は2500万人、有料サービス利用企業は3万4000社に上る。

 Box社CEOのLevie氏は、「Office 365ユーザーをOneDriveという“島”に閉じ込めることによって、Microsoftは、Box、Dropbox、Googleドライブなどを選択した数億もの顧客を“座礁”させている」とMicrosoftを批判した。

 Levie氏は現代のポストPC時代には、ほとんどの組織が多数のクラウドサービスの中から自社に最適なサービスを選んで使用していると指摘。そのため、データは顧客の選ぶサービスへ移行可能にするべきだとした。クラウドサービスの具体名としては、Salesforce.com、Workday、Zendesk、MobileIron、Okta、GoodData、Domo、Google Apps、Office 365、Boxを挙げた。

 Microsoftが先頃発表したiPad版Officeでも同様のことが問題になっていたが、「iPad版Officeで自社以外のクラウドサービスから文書を表示または編集する機能を提供しないことによって、ユーザーが彼らのソフトウェアを最大限に活用することを簡単にするのではなく、むしろ難しくしている」と批判した。

 Levie氏がこのような主張を展開するのには理由がある。この直前にMicrosoft側が意味深な発表を行っていたからだ。

 MicrosoftのOneDrive公式ブログは28日に「Thinking outside the box」と題した投稿を掲載し、「OneDrive for Business」で1ユーザー当たり容量を25GBから1TBに大幅増量するなど一連の発表を行った。これは米MicrosoftコーポレートバイスプレジデントOffice事業部のJohn Case氏によるものだ。

 この発表文中に「Box」という社名は一度も登場しないが、主題の中に「box」という言葉を“かけことば”のように含めているように考えられなくもない。発表の中でも企業名は明らかにしないまま、「他のストレージソリューション」について「単なるポイントソリューションだ」と批判し、OneDriveの優位性を主張した。Levie氏はこれに対して反論していたのである。

 MicrosoftのCase氏は発表文の最後に「クラウドの本質は、人と情報の間の壁を打ち壊すことにある。空に浮かぶ一群の島々を新たに造り直すことではない」と表現した。

 この言葉をBoxのLevie氏は直接引用して批判し、「Boxでは、クラウドには壁を打ち壊す力があると信じており、それを実現するためにMicrosoftと共に働く機会を歓迎したいと思っている」と結んだ。

 なお、Levie氏は2013年にMicrosoftのBUILD開発者向け会議で特別ゲストとして登壇するなど、これまでMicrosoftとは良好な関係にある。

(青木 大我 taiga@scientist.com)