Microsoftが「Windows Phone 8」発表、Windows 8のパワーをモバイルに

　米Microsoftは20日、サンフランシスコで開催された発表イベントにおいて、開発コード名「Apollo」として知られてきた次期携帯端末用OS「Windows Phone 8」を初めて正式に発表した。対応するSDKは今年夏ごろに配布を開始、Windows Phone 8搭載端末は「今年後半」出荷予定だ。

　最大の特徴は、「Windows 8」と共通のコアを持つことにある。そのため、マルチコアサポート、高解像度画面、大規模ストレージなど強力なハードウェアのサポートや、クロスプラットフォーム開発が容易になるというメリットを享受できる。また、NFC（短距離無線通信）、財布機能などの興味深い新機能も提供する。

スタートスクリーンのカスタマイズの例（Microsoft Windows公式ブログより画像転載）

●アプリがマルチタスクに対応、VoIPアプリはOSに統合

　Windows 8と共通のコアとして挙げられているのは、「ネットワーキング、セキュリティ、メディア、ウェブブラウザーテクノロジー、ファイルシステム」としている。

　新機能として、強力なマルチコアプロセッサー対応、新たに利用できる画面解像度として1280×768と1280×720のサポート、microSDカードのサポート、Windows 8と同じバージョンのInternet Explorer 10の搭載が挙げられる。

　また、NFCをサポートしたが、一般的に期待されている決済だけでなく、他のNFC搭載端末との間で連絡先、写真、Officeドキュメントなどの受け渡し、ファイル共有が可能になるとしている。

　さらに、決済機能を提供するアプリ「Wallet」を搭載。デビットカード、クレジットカードによる決済に加え、クーポン、搭乗券など、さまざまなサービスや決済サービスに対応する。キャリアが提供する安全なSIMカードと組み合わせれば、Walletから携帯キャリアによる決済サービスも利用できる。

　ユーザーインターフェイスも改良された。スタートスクリーンが新しくなり、すでにWindows Phoneで提供されているライブタイルの配色テーマやタイルサイズをカスタマイズ可能になった。エンタープライズ向けのユーザーインターフェイス画面も提供される。

　アプリもマルチタスクに対応するため、ランニングやエクササイズ、カーナビなどのアプリをバックグラウンドで動作させることが可能になる。さらにVoIPアプリがWindows Phone 8に統合されるため、電話とインターネット通話を同じインターフェイスから利用できるようになる。

　アプリ開発に関しては、C/C++言語がフルサポートされ、ネイティブアプリ開発が可能になる。Windows 8と共通コアを使用していることも加わり、クロスプラットフォーム開発が容易になるとしている。また、ネイティブDirectXベースのゲーム開発環境のほかに、人気のゲームミドルウェアもサポートする。

　エンタープライズ対応も強化されている。端末のOSとデータを丸ごと暗号化する技術の採用や、セキュアブートプロトコルUEFIのサポート、アプリと電話を別々に管理できる遠隔管理機能、企業独自の内部アプリ配布や情報共有のためにカンパニーハブを作成できる機能の提供などが加わった。

●最初に端末を発売するのは、Nokia、Huawei、Samsung、HTC

　Windows Phone 8は50言語をサポートし、マーケットプレイス利用可能地域も180地域に拡大する。アップデートは、ワイヤレスによるOTAアップデートをサポート。端末発売から最低18カ月のアップデートサポートを保証する。

　Windows Phone 8端末を最初に発売するハードウェアメーカーは、Nokia、Huawei、Samsung、HTCで、チップセットはQualcommが独占的に供給する。チップセットの型番などは明らかになっていない。

●現行のWindows Phone 7/7.5は「7.8」へアップグレード

　現行のWindows Phone 7/7.5端末から、Windows Phone 8へのアップグレードはサポートされない。これには新アーキテクチャの採用が大きく影響している。その代わりに、ソフトウェアが関係する部分に関しては、「Windows Phone 7.8」としてアップグレードが提供される。

　Windows Phone 7.8では、Windows Phone 8の新スタートスクリーンが搭載される。また、Windows Phone 7系統アプリは、Windows Phone 8端末でも動作するとしている。