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寝る前の着衣で30分かけて飲むビール限定販売、サッポロがFacebook上で開発

 サッポロビール株式会社は、Facebook上でビール愛好家と意見を交換しながら開発したビール「百人のキセキ」を限定販売する。333ミリリットル瓶6本パッケージが3150円(販売計画数2000セット)、同じく12本パッケージが5250円(同1000セット)。ウェブサイト「サッポロわくわくブルワリー」において、3月22日12時10分に販売を開始する。ビジネスマンが昼休み時間に注文しやすいよう、正午ではなくあえて10分ずらした。商品の発送は5月下旬の予定。

 百人のキセキは、那須の天然水を用いた麦芽100%ビールで、アルコール度数は7%と高め。「ハラタウ産アロマホップの濃醇な味わいや深みのある琥珀色と、米国産フレーバーホップが生み出した柑橘系のニュアンスを感じる後味」および「飲み進むにしたがって、さまざまな表情を見せる複雑な味わいとまろやかな苦味」が特徴。「ゆっくり、ゆったり時間をかけてお飲みいただきたいキセキのビール」と説明している。

 サッポロビールは2012年8月、Facebookページ「百人ビール・ラボ」を開設。毎週金曜日の夜にオンライン会議を開催し、ビール愛好家とともに商品コンセプト、味、香り、ネーミング、容器デザイン、販売促進策などを議論してきた。計18回(このうち商品開発に関する会議は16回)開催されたオンライン会議に参加したビール愛好家は延べ1万2000人に上り、8500件のコメントが寄せられたという。

Facebookページ「百人ビール・ラボ」の利用状況。約2万9000人の閲覧というのは「いいね!」の数のこと
金曜日の夜に開催した「LIVE会議」のテーマ

 そこでの議論を集約した結果、決定したコンセプトは「一人でとことんじっくり味わうためのビール」。

 また、具体的な飲用シーンのイメージとして、「仕事を終えた22:00以降、自宅でリラックスしながら、寝る前の着衣で音楽・映画・本等の芸術作品とともに嗜むビール。仕事を終えた自分へのご褒美、オンからオフへ自分をリセットするための究極の旨みが味わえるビール。自分をリセットさせるためにパイントグラスで30分程度かけて飲むビール」としている。

 サッポロビールによると、ビール会社が考えるビール商品のコンセプトといえば、通常は「爽快」「ゴクゴク飲める」「みんなでワイワイ楽しめる」といったものが多く、ネーミングも「○○仕立て」「○○仕込み」といったものになりがち。これに対して百人のキセキは、商品コンセプトもネーミングもFacebookならではのものになったとしている。ラベルのデザインもアンケートなどによって決定した。

「百人のキセキ」のコンセプトと飲用シーンイメージ
「百人のキセキ」のラベルデザイン案

 6日夜には、百人ビール・ラボに参加したビール愛好家を招いて、完成した百人のキセキの試飲会を開催。その席上で百人のキセキをインターネットで限定販売することも公表された。また、コメント数に応じて付与されるポイントの上位100人に与えられる「百人ビール・マイスター」のうち上位3名の表彰式も行われた。

ビール愛好家を招いて開催された「百人のキセキ」の試飲会。冒頭、サッポロビール代表取締役社長の寺坂史明氏があいさつ。「百人ビール・マイスター」の表彰式などが行われた後、取締役常務・生産技術本部長の市川誠一郎氏が乾杯の音頭を取った

 サッポロビールでは、同社営業部の中に12名体制の「デジタルマーケティング室」を設立することも明らかにした。消費者との双方向コミュニケーションによる商品開発やテストマーケティング、ファンによるコミュニティ形成などを行う「SNSマーケティング」、自社ECサイトやサッポロわわくブルワリーなどの「ECビジネス」、ウェブ広告やブランドサイトを手がける「ウェブマーケティング」といった機能を持ち、従来は分散していたデジタルメディアを統一。さらにアプリやソフトの開発も合わせ、デジタルを活用した新しいマーケティング・広告の手法を開発・強化するという。

営業部に新設する「デジタルマーケティング室」の概要

 消費者のメディア接触時間の中でインターネットの占める割合が増加していることから、こうした変化にマーケティング手法を対応させていく必要性があることに加え、デジタルメディアを活用して需要そのものを創造していくことにもつなげたい考えだ。

 デジタルマーケティング室では今後、百人ビール・ラボの新たな企画を5月以降に検討中だ。また、百人のキセキは今回はインターネットでの数量限定販売ということだが、サッポログループ直営飲食店での販売も検討中だとしている。

代表取締役社長の寺坂史明氏
取締役常務・営業本部長の尾賀真城氏
取締役常務・生産技術本部長の市川誠一郎氏
営業本部営業企画部業務グループ担当部長の大谷光弘氏。百人ビール・ラボのプロジェクトリーダーを務めた

(永沢 茂)