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Facebook Japan、モバイル広告に注力、2016年はオーディエンスネットワークを本格展開

 Facebook Japanは、10月5日付で代表取締役に就任した長谷川晋氏による記者会見を東京都内の同社オフィスにて開催した。

Facebook Japan代表取締役の長谷川晋氏

 長谷川氏は、同社の持つビジョンとして「コミュニケーションの取り方は1つだけでなく、進化していくという考えを持っている。テキストから写真、ビデオベースと移り、FacebookやInstagramの中でも動画をコミュニケーションの手段として使ってもらうことを重視しているが、次はVRが重要と考える。Oculusのようなデバイスを着けることで、自分のいる場所を相手に体験してもらうなど、人と人のつながり、コミュニケーションは変わっていくのではないかと信じている」と語った。

 日本におけるFacebookの月間アクティブユーザー数は2500万人で、1日の平均利用率は64%。また、モバイルからのアクセスは92%となっており、ユーザーはモバイルに移行しているという。Instagramの月間アクティブユーザー数は810万人で、前年比2倍以上の伸び。1日の平均利用時間は20分となっており、さまざまなコンテンツを通じて浸透するプラットフォームになっていることを紹介した。ビジネスの面では、ブランドや広告サービスについて認知するブランディングのエリアでもInstagramやFacebookでサポートできると考え、製品やサービスを提供しているという。

 スマートフォンの限られた画面スペースの中で効果的な広告を出す方法として、横にスクロールできる「Carousel広告」を導入。これにより、複数のビジュアルを使ってサービスや商品についてスマートフォン上で表現できることをアピールした。また、スマートフォンでも動画が視認されるような形での広告にも力を入れており、動画広告のフォーマットとロケーションのデータを使うことで、ユーザーにとって親近感を持ってもらう取り組みができるようになるという。長谷川氏は、「ユーザーの生活の中心にあるスマートフォンなどのデバイスでいかにサービスを使いやすくするか、企業がマーケティング、コミュニケーションをするときにどのような製品・サービスを提供していくかという考え方がユーザーサイド/ビジネスサイドの根幹だと思っている」と述べた。

 広告の仕組み以外に、制作物のクリエイティブの重要性を挙げる。ビジュアル、動画は見せ方によって結果が変化するとしており、広告は作り込むことでブランディングのインパクトが出せるという。同社にはクリエイティブの専門チームがあり、興味を喚起することで、Carousel広告を使ってユーザーに合った商品をビジュアルを使いながら売り込んでいくことで結果を出すとしている。

「ユーザーが親指を止めるところがクリエイティブの分かれどころ」と定義
静岡県や福島県では表示される広告が異なるなど、ローカライズが施されている
ニールセンがトラッキングを行ったところ、日本はグローバルの平均以上のインパクトが見られたという

 「今年は、大前提としてあるのがモバイル。広告ビジネスサイドではモバイルに合ったサービス、製品を提供し続けることで結果が出始めている」と2015年を統括した。

 2016年のプランとして、Facebook、Instragramに加え、オーディエンスネットワークの展開、中小企業のサポート、モバイルにおけるクリエイティブの強化をテーマとして取り組んでいくという。Facebookから他の携帯のアプリに対しても、ユーザーの属性、好みに合うような形で広告を出せるサービスにするとしている。

 ユーザーの求めているものはサービスごとに異なるとしており、ニーズに合わせた形でプロダクトを作っていく必要があるという。WhatsApp、Messenger機能などそれぞれのコミュニケーション、コネクションの方法に合わせたサービスを提供することで、トータルのファミリーとして取り組んでいくとしている。また、中小企業では人材・販路の開拓、マーケティングが課題となっており、グローバルに対してもサービスを発信、売り込めるプラットフォームになるためのサポートも行っていくという。

11月にMarketing Boot Campセミナーを東京、大阪、金沢で中小企業向けに実施

 なお、Facebookを普段使用しないユーザーへのアプローチに関して、「サービスは話題や動きがあってから浸透するものと考えている。Instagramなど各サービスを通じて、ユーザーの好みのビジュアルを発見し、知ってもらい、それをきっかけに使用してもらえるようにしたい」と述べた。

過去3年間でオフィスの人員は5倍に増えた
雀卓などが置かれた休憩スペース
管がむき出しになっているのは、「オフィスもビジネスも工事中で、ここから作っていく」という意思表示の現れだという
Instagramなどのチームが合流し、エリアが拡大された
高さを自動調整できる机を設置
社員の居場所を確認できるシステム
東京の四季を表現したアート
Oculus部屋は2つに別れており、操作を体験できる
部屋の名称はKIRITO(キリト)

(磯谷 智仁)