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年末調整の面倒な計算を解消、生命保険料控除の“サポートツール”が超便利! 扶養控除申告書は“簡易バージョン”が使える場合も
2026年(令和8年分)年末調整の書き方ガイド 後編
2026年11月6日 18:50
毎年お届けしている年末調整の書き方。前編に引き続き、後編では「令和8年分 給与所得者の保険料控除申告書」と「令和9年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の記入手順を具体的に見ていこう。
2026年(令和8年分)年末調整の書き方ガイド 前編・後編[目次]
3.年末調整の書き方〔3枚の申告書の記入手順 2・3〕
記入手順2:令和8年分 給与所得者の保険料控除申告書
読者のお手元には生命保険会社などから保険料控除の証明書が届いていると思う。毎年10月になり証明書が届き始めると「そろそろ年末調整のシーズンが近い」と感じる人もいるだろう。
生命保険は10年、20年と変更なく加入し続ける人が多い。税制改正がなければ、ずっと同じ内容を記入することとなる。年末調整の保険料控除申告書を楽に書くコツは、前年の申告書のコピー、スマホ写真、PDFなどを保存しておくことだ。
「生命保険料控除」は約8割の人が申告している
保険料控除申告書は、生命保険や地震保険、近年人気のiDeCoなどで支払った金額を申告し、納める税金を減らすための申告書だ。主役となる生命保険は旧制度・新制度、一般・介護医療・個人年金など複数に分類され、保険料から控除額を算出する式もやや分かりにくく、記入に手間のかかる申告書だ。加えて今年から、23歳未満の扶養親族がいる人の生命保険料控除の特例が新設され、記入欄が増えている。
国税庁の「令和6年分 申告所得税標本調査」によると、生命保険料控除を受けている人は79.2%。多くの人が記入するこの申告書の主役だ。まずは生命保険会社などから送られてきた控除証明書を手元に用意し、記入を始めよう。
生命保険の控除は、平成23年(2011年)以前に契約した保険が「旧制度」、平成24年(2012年)以降に契約した保険が「新制度」となっている。さらに旧制度は「一般生命保険」(医療保険を含む)と「個人年金保険」の2種類、新制度は「一般生命保険」「個人年金保険」に「介護医療保険」を加えた3種類で、新旧を合わせて5種類に分類されている。さらに、23歳未満の扶養親族がいる人は新制度の一般の生命保険料控除の上限額が6万円に引き上げられた。
自分がいつ生命保険に加入したかを覚えている人は少ないだろう。「えーっと、結婚した翌年に保険に入ったから……」と記憶をたどる必要はない。手元にある控除証明書に適用制度が旧制度か新制度か、一般(生命保険)用、介護医療用、個人年金用などが記載されているので、それを見ながら記入する。この証明書は記入を終えた申告書と一緒に提出しよう。
保険会社の名称は略称でOK
保険料控除申告書に記入する生命保険会社の名称が「長くて書けない」と言う人が多い。前編では、国税庁が提供している申告書の入力用PDFファイルなら長い保険会社名も自動的に文字を小さくして記入されると書いたが、スマホアプリや社内システムなどでは文字数の上限があるという声も聞く。
生命保険会社の名称は(長くなくても)短縮可能だ。三井住友海上あいおい生命の「よくあるご質問」には「社名が長くて……省略していいですか?」「省略してかまいません」と書かれている。
保険会社が公開している保険料控除申告書の記入例を見ると、アフラック生命保険株式会社は「アフラック」、株式会社かんぽ生命保険は「かんぽ生命」、東京海上日動あんしん生命保険株式会社は「あんしん生命」と略称で記載されている。
そもそも生命保険料控除は、旧制度・新制度、一般・介護医療・個人年金の区別と支払った保険料が正しく記入されていれば、どの保険会社であっても控除額・納税額は同じ。加えて保険料控除証明書を添付するので保険会社の名称は「アフラック生命保険株式会社」でも「アフラック生命保険」でも「アフラック生命」でも「アフラック」でも問題ない。
おそらく最も社名の長い「プルデンシャル ジブラルタ ファイナンシャル生命保険」は、公式サイトのトップのロゴは「PGF生命」、沿革にも「2013年4月 社名の略称『PGF生命』の使用を開始」と書かれている。また、MS&ADホールディングスは「三井住友海上あいおい生命→MSA生命」などグループ会社各社の略称を公開している。
社名の長い保険会社の略称は以下のとおりだ。
| 正式な社名 | 略称 |
| プルデンシャル ジブラルタ ファイナンシャル生命保険株式会社 | PGF生命 |
| 三井住友海上プライマリー生命保険株式会社 | MSP生命 |
| 三井住友海上あいおい生命保険株式会社 | あいおい生命 または MSA生命 |
| あいおいニッセイ同和損害保険株式会社 | AD |
| 東京海上日動あんしん生命保険株式会社 | あんしん生命 |
| クレディ・アグリコル生命保険株式会社 | CA |
| T&Dフィナンシャル生命保険株式会社 | T&D |
「生命保険料控除」の計算は「生命保険料控除申告サポートツール」を活用しよう
生命保険料控除の計算は面倒くさい。加入している生命保険の1年間の支払額から「生命保険料控除」の額を算出する計算式は、申告書の最下段に[計算式I(新保険料等用)][計算式II(年齢23歳未満の扶養親族を有する場合の新保険料等用)][計算式III(旧保険料等用)]が用意されている。
例えば3万3580円の介護医療保険(新制度)は以下の計算となる。難しい計算ではないが、新旧で計算式が違うなど勘違いによる間違いもありそうだし、少々面倒くさい。
3万3580円×1/2+1万円=2万6790円
この生命保険料控除の計算に役立つのが、生命保険会社が提供しているサポートツールだ。「生命保険料控除 サポートツール」で検索すると、多くの保険会社の計算サポートサイトを見つけることができる。自分が加入している保険会社でなくても結果は同じなので、積極的に利用していただきたい。
数ある保険会社の中で、執筆時点で記入例が新フォーマットになっているのを確認できたのは「かんぽ生命」のみだった。
実際に使用してみた。旧制度の一般の生命保険料に9万円、新制度の一般の生命保険料に11万6000円、23歳未満の扶養親族……にチェックを付けて[計算する]をクリックすると、自動計算に加え、記入例も表示されるので、迷わず申告書に記入できる。
「生命保険料控除」の記入
「令和8年分 給与所得者の保険料控除申告書」の左側は、生命保険料控除。生命保険料控除は約8割の人が申告するので、この申告書の主役だ。2つの記入例を用意したので順番に見ていこう。
記入例1:新制度・旧制度の一般の生命保険のみの場合
1つめはシンプルに一般の生命保険料のみ。新制度の生命保険に11万6000円、旧制度の医療保険に9万円を支払っている例。旧制度では介護医療保険の分類がなく、医療保険は一般の生命保険に分類される。また、23歳未満の扶養親族がいるので、新制度の生命保険料控除額の上限は6万円となる。
新制度の生命保険料11万6000円を赤矢印に沿って[(a)のうち新保険料等の金額の合計額]のA欄に記入、最下段の計算式IIに当てはめて算出した5万9000円を、[23歳未満の扶養親族の有無]の有の②欄に記入する。
旧制度の医療保険の9万円を青矢印に沿って[(a)のうち旧保険料等の金額の合計額]のB欄に記入する。最下段の計算式IIIに当てはめて算出した4万7500円を③欄に記入する。
②と③の合計額を⑤に記入する。ただし、上限額が6万円なので⑤と(イ)は6万円となる。この記入例では他の保険がないので緑矢印に沿って生命保険料控除額の欄に6万円を記入する。
記入の流れも計算式もハッキリ言って面倒くさい。やはり、先ほど紹介した生命保険料控除申告サポートツールを利用して計算・記入することをお勧めしたい。
最後に計算式の上[年齢23歳未満の扶養親族]の欄に対象となる23歳未満の扶養親族の氏名、個人番号、生年月日等を記入すれば完成となる。
記入例2:旧制度の一般生命保険+新制度の介護医療保険+旧制度の年金保険の場合
2つめの記入例は新旧の保険がてんこ盛りだ。旧制度の一般生命保険に12万円、旧制度の医療保険に9万円、新制度の介護医療保険に7万6000円、旧制度の年金保険に12万円となっている。内容も図も複雑になったので、旧制度の一般生命保険は青文字/青実線、新制度の介護医療保険は赤文字/赤点線、旧制度の年金保険は緑文字/緑実線とした。
一般の生命保険料は、青矢印に沿って[(a)のうち旧保険料等の金額の合計額]のB欄に21万円と記入する。最下段の計算式IIIに当てはめて算出した5万円(上限額)を③欄に記入する。計算式IIIを見ると10万1円以上は一律に5万円となっている。この記入例は生命保険だけで12万円なので、医療保険の9万円は記入する必要はない。⑤と(イ)には5万円と記入する。
新制度の医療保険は介護医療保険料の欄に記入する。赤の点線矢印に沿って7万6000円の保険料を[計算式I(新保険料等用)]の40,001円から80,000円までの計算式に当てはめて「7万6000円×1/4+2万円=3万9000円」と算出し、控除額の3万9000円を(ロ)に記入する。
旧制度の個人年金保険料は、記入例の緑矢印に沿って計算し、控除額は5万円(ハ)。一般生命保険料、介護医療保険料、個人年金保険料の控除額の合計は13万9000円となるが、生命保険料控除の全体の上限が12万円なので合計の欄は12万円となる。
事例の河野一太郎さんには、23歳未満の子が2人いるが、一般の生命保険が旧制度なので、新設された特例の恩恵がない。仮に新制度の一般の生命保険に加入していても、介護医療保険、個人年金保険と合わせた控除額が上限の12万円を超えているので、特例の恩恵は受けられない。
「地震保険料控除」の記入
右側の上段、[地震保険料控除]の欄も証明書を手元に用意しよう。保険会社の名称、保険の種類、保険期間など証明書を見ながら記入する。地震保険の満期・更新で証明書が2枚ある場合は、保険料を合算して計算・記入しよう。
「社会保険料控除」の記入
地震保険の下の[社会保険料控除]の欄は、毎月の給与から天引きされている厚生年金、健康保険などは勤務先の会社が把握しているので自分でこの欄に記入する必要はない。記入が必要なのは、年の途中で就職し、それまでの無職の期間に自分で国民年金、国民健康保険を支払った場合や、20歳を超えた大学生の子の国民年金を代わりに支払った場合はこの欄に記入する。
「小規模企業共済等掛金控除(iDeCo)」の記入
最後は下段の[小規模企業共済等掛金控除]。「iDeCo、何それ?」という人はスルーだ。近年急増している個人型確定拠出年金(iDeCo)に加入している人は、このブロックの[確定拠出年金法に規定する個人型年金加入者掛金]の欄に記入しよう。
iDeCoに加入している人は控除証明書の合計金額に記載された金額を申告書に記入する。記入例は個人型年金加入者掛金に証明書の合計金額12万円を記入している。
以上で「令和8年分 給与所得者の保険料控除申告書」の記入は完了。2つの記入例を掲載しておこう。
※【記入例】の画像はクリック/タップで拡大。さらにPCで閲覧している場合は、拡大画像の左上にある「+」アイコンをクリックすると、より高解像度な元画像を表示できる。
繰り返しとなるが、生命保険は10年、20年と変更なく加入し続ける人が多い。税制改正がなければ、ずっと同じ内容を記入することとなる。今年書いた申告書のコピー、スマホ写真、PDFなどを保存しておくと来年は楽に記入ができる。
記入手順3:令和9年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
年末調整の最後の1枚、「令和9年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」は、来年1月以降の給与から天引きされる所得税の税額を決めるための申告書だ。扶養親族の申告に漏れがあると、毎月の所得税が増えるので漏れがないように記入したい。
毎月天引きされる所得税はどうやって決まる?
サラリーマンは毎月の給与明細に、天引きされた所得税の金額が記載されている。今年2026年(令和8年)の所得税は「給与所得の源泉徴収税額表(令和8年分)」によりその月の給与の額から算出され、“みなし金額”がその月に納税されている。
例えば「給与所得の源泉徴収税額表(令和8年分)」の[その月の社会保険料等控除後の給与等の金額]の338,000円以上341,000円未満の部分を見ると、[扶養親族等の数]が0人:10,750円、1人:7,910円、2人:6,290円、3人:4,680円……と、7人まで納税額(その月に天引きされる額)が記載されている。この表を見ると、扶養親族の人数が増えると天引きされる所得税が減ることが分かる。
この扶養親族等の人数を確認するための申告書が「令和9年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」だ。配偶者や子を書き忘れることはないと思うが、別居の親などを書き忘れると毎月の納税額が増えることとなる。来年の年末調整でリカバリーはできるが、おそらくこの申告書に書き忘れる人は、そのまま何年も控除を受けることなく納税額が増えたままとなる可能性が高いので注意しよう。
住民票と居住地が異なる人は住所の記入に注意が必要
この申告書は7つのブロックに分かれている。多くの人が該当するのは最上段の自分の情報、Aブロック:配偶者の情報、Bブロック:扶養親族(16歳以上)の情報、Eブロック:16歳未満の扶養親族の情報だ。ここではこれら4つのブロックを順番に見ていこう。
最上段は自分の氏名、個人番号、生年月日、世帯主の氏名と続柄、住所、配偶者の有無を記入する。個人番号の記入は会社のルール(過去に報告していれば記入不要など)に沿って、必要があれば記入する。世帯主の氏名欄は、自分が世帯主の場合は自分の氏名を記入し、続柄は本人。例えば父親が世帯主の場合は父親の氏名を記入し、続柄は父または親と記入する。
自身の住所に関する注意点は、居住地と住民登録の住所が同じなら住んでいる住所を書けばよいが、独身の人で住民票は居住地ではなく実家のままというような場合は会社のルールを確認しよう。この申告書の情報をもとに市区町村にデータが送られて住民税が課税されるが、その際、住民登録がないと役所から会社に確認が行われる。したがって、基本は住民票の住所を書くと思われる。
会社側は実際に住んでいる住所も住民票のある住所も把握しておきたい。会社のルールが住民票の住所を記載となっていれば住所欄には実家の住所を記入。欄外に現住所を記載するルールであれば、それにしたがって記入する。独身で親などを扶養していない人は、この欄を記入したらこの申告書の記入は完了だ。
左側の給与の支払者の名称(=会社名)、法人番号、住所などは会社が記入するはず。市区町村は納税先となる住民票が置かれた自治体を記入するのが基本だが、現住所と住民票が異なる場合は念のため、会社のルールを確認しよう。
「源泉控除対象配偶者」の記入
ここからが、この申告書の重要ポイント。配偶者、子、親など扶養する親族を漏れなく記入しよう。最初は[A 源泉控除対象配偶者]の欄。ここには配偶者の情報を記入する。配偶者とは、夫から見た妻、妻から見た夫で、家庭によってどちらも配偶者控除の対象となりえるが、この記載例では配偶者控除の対象を妻として説明しよう。
源泉控除対象配偶者とは
- ① 自分(=申告者)の来年(令和9年)の合計所得金額が900万円(給与の年収1095万円)以下
- ② 配偶者の来年(令和9年)の所得が95万円(給与の年収169万円)以下
青色事業専従者、白色事業専従者などの記述もあるが、該当する人はまれだと思われるので、概ね①②をクリアしていれば源泉控除対象配偶者だ。自分が年収1095万円以下(=ほとんどのサラリーマン)で、パートなどの配偶者の年収が住民税の均等割・所得割が非課税となる110万円以下(住民票を置く自治体によって異なる)なら、「源泉控除対象配偶者」となる。
記入欄の[令和9年中の所得の見積額]は、推定される年収から給与所得控除の74万円を引いた額を記入する。年収105万円なら所得は31万円、年収169万円なら所得は95万円といった感じだ。配偶者が正社員で働いているなど年収が300万円とか400万円であれば控除の対象とならない。
「源泉控除対象親族」の記入
配偶者控除の次は扶養控除。控除対象の年齢は来年(令和9年)の年末時点で16歳以上(平成24年1月1日以前生まれ)、ほぼ来春に高校1年生になる子から上の年齢が対象だ。ただし、高校1年生でも早生まれ(平成24年1月2日~平成24年4月1日生まれ)は年末時点で15歳のため、控除対象外(=税金が高くなる)となる。前編で説明した特定扶養親族・特定親族と同じく、早生まれの子を持つ親は税金が増える。
[B:源泉控除対象親族(16歳以上)]の欄は扶養親族(子や親)を記入するが、年齢により細かく分類されている。年齢ごとに見ていこう。以下、年齢は令和9年末時点。控除対象となる所得は令和9年中の見積額となる。
16歳~18歳、23歳~69歳
一般の扶養親族: 控除額は38万円。所得62万円以下(給与の年収136万円以下)。
高校生のアルバイト、就職浪人、フリーター、退職したサラリーマン、定年後のアルバイトなど、子や親が年収136万円以下であれば控除対象となる。親が公的年金を受給している場合は、年齢により控除額が異なる。65歳未満の公的年金控除額は60万円、65歳以上の公的年金控除額は110万円。したがって、公的年金のほかに給与所得などがない場合は、65歳未満で公的年金が122万円以下なら所得が62万円以下となり控除対象。65歳以上で公的年金が172万円以下なら所得が62万円以下となり控除対象。例えば、65歳以上で公的年金の額が156万円なら156万円-110万円(公的年金控除)=46万円と記入する。
19歳~22歳(平成17年1月2日生まれ~平成21年1月1日生まれ)
特定扶養親族: 控除額は63万円。所得62万円以下(給与の年収136万円以下)。
特定親族: 控除額は63万円~3万円。所得62万円超123万円以下(給与の年収136万円超197万円以下)。このうち、所得62万円超85万円以下(給与の年収136万円超159万円以下)までが控除額63万円、所得85万円超123万円以下(給与の年収159万円超197万円以下)は控除額が61万円~3万円まで段階的に減少する。
例えば、アルバイトの年収が144万円なら所得は144万円-74万円(給与所得控除)=70万円と記入し、[特定親族]にチェックを付ける。所得が62万円以下なら[特定扶養親族]にチェックを付ける。特定扶養親族・特定親族は「大学生の子がいるとお金がかかるから税金を安くしましょう」という趣旨だが、年齢が条件なので大学生である必要はない。浪人生でもフリーターでも、生計を一として、年間の所得が条件を満たせば控除対象となる。繰り返しとなるが、大学1年生であっても早生まれで来年末時点に18歳の子は控除の対象外となる。
70歳以上(昭和33年1月1日以前生まれ)
老人扶養親族: 控除額は48万円(同居の場合58万円)。所得62万円以下。
前述のとおり、親が公的年金を受給している場合は、年齢により控除額が異なる。65歳以上の公的年金控除額は110万円。したがって、公的年金のほかに給与所得などがない場合は、172万円以下なら所得が62万円以下となり控除対象。例えば、70歳で公的年金の額が156万円なら156万円-110万円(公的年金控除)=46万円と記入する。
同居の場合は[同居老親等]にチェックを付ける。この場合の控除額は58万円。親が実家暮らしや老人ホームなど、別居の場合は[その他]にチェックを付ける。この場合の控除額は48万円となる。
母親が遺族年金を受給している場合は注意したい。遺族年金は課税対象とならないので、厚生年金や国民年金などの被保険者であった父親が亡くなって、母親が遺族年金を受給している場合は、他に所得がなければ遺族年金の金額、母親の年齢に関係なく扶養控除の対象となる。
扶養親族では、19歳~22歳、70歳以上は控除額が増えるので、漏れなく申告しよう。
「16歳未満の扶養親族」の記入
下段の[住民税に関する事項]の欄は、[16歳未満の扶養親族(平24.1.2以後生)]を記入する。16歳未満の扶養親族は所得税の控除対象外だが、住民税の非課税の判定などに利用されるので、令和9年の年末に16歳未満=平成24年1月2日以降に生まれた子がいる人はここに記入しよう。中学生以下が対象となるが、高校1年でも早生まれで、年末に16歳未満の子は含まれる。
「令和9年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の主要な部分の記入はこれで完了だ。記入例を参考にして、最後の1枚を完成させていただきたい。
※【記入例】の画像はクリック/タップで拡大。さらにPCで閲覧している場合は、拡大画像の左上にある「+」アイコンをクリックすると、より高解像度な元画像を表示できる。
「【簡易対応様式】令和9年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を利用する
もともと年末調整の記入項目は家族の氏名・生年月日や加入している生命保険の名称・支払額など、毎年同じものが多い。手書きの場合、毎回同じことを記入する不毛な作業だ。2024年から新たに加わった【簡易対応様式】の扶養控除等(異動)申告書は、「前年と同じなら書かなくてOK!」という申告書で、手書きの人は大幅な効率アップとなる。
利用できるのは前年と変更がなかった人。詳細は「扶養控除等申告書の提出について(令和9年)」のPDFを参考にしていただきたい
記入方法は氏名、個人番号、住所だけ記入して、右肩の[前年の申告内容から異動]の[なし]にチェックを付けるだけだ。
以上で年末調整の3枚(+簡易対応様式)の申告書の記入は完了だ。マイナンバーを利用して、国民に不毛な作業を強いる年末調整がなくなる日が早く来ることを期待したい。
4.最後に
ここからは筆者の雑談。お時間のある人はお付き合いいただきたい。
年末調整のデジタル化による恩恵は大きい。従業員数の多い企業ではかなり浸透してきた印象だが、従業員数の少ない企業では手書きによる申告が続いている傾向がある。
読者は国税庁が「年調ソフト(年末調整控除申告書作成用ソフトウェア)」を無償配布しているのをご存じだろうか。この年調ソフトを筆者がチラッと紹介したのは2020年の年末調整の書き方の記事。
それから6年が経過したが、使用している人が限られているのか、定着している様子が見られない。ここに来て、年調ソフトは新しいフェーズに入るようで、これまでPC、スマホ(Android/iOS)で利用できたが、来年からスマホ用のみの提供となる。
年末調整のデジタル化は会社主導で行われるのが一般的だが、この国税庁が提供する年調ソフトの特徴の1つは、従業員が自分で年末調整の“一人デジタル化”ができること。データで会社に受け渡すには、会社と従業員の双方で年調ソフトの導入が必要となるが、印刷して提出するなら従業員は単独でデジタル化が可能だ。
年調ソフトを使用すれば、今年入力したデータは来年に引き継ぐことができる。氏名、住所、個人番号、配偶者や扶養親族の情報などは2年目以降は入力不要だ。年収や支払った保険料は都度入力する必要がある。ただし、「マイナポータル」で生命保険会社と連携をしていれば、生命保険料は自動で入力される。
「うちの会社はしばらくデジタル化されないな」「不毛な手書きの年末調整をなんとかしたい」と思う人は、一人デジタル化を検討していただきたい。
来年以降、PC版が廃止されるということなので、今年から年調ソフトを使ってみようと思う人はスマホ版を利用していただきたい。年調ソフトは以下のQRコードからダウンロードできる。
本記事の執筆時点で以下の2つの不具合が報告されている。いずれも11月中旬に修正版が出るとのことだ。
- 一定の条件で「生命保険料控除の扶養親族の判定のほか、所得金額調整控除額について正しい金額が算定されない」
- Android端末で印刷できない
試しに年調ソフトに入力してみた。印象としては、1回目(1年目)はそれなりに手間がかかる。理由は本記事で紹介している記入例が5人家族、生命保険もてんこ盛りで、入力項目が多かったためだ。来年からは大幅に楽になるはずだ。PDF出力は、見慣れた年末調整の申告書とは似ても似つかぬデザイン。単なる箇条書きで「えっこれでいいの?」と思ったが、国税庁お墨付きの年調ソフトなので問題ないのだろう。
ただ、従業員から提出された申告書の確認・給与システムへの入力を行う担当者は、見慣れぬフォーマットで仕事が増えそうだ。出力されたPDFを見て思ったのは、事前に年末調整の提出先である社内の担当者に「国税庁の年調ソフトを使いますね」と一言伝えておいた方がよさそうだ。来年から楽になりたい人はお試しいただきたい。
2026年(令和8年分)年末調整の書き方ガイド 前編・後編[目次]








































