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【図解で詳しく説明】年末調整の書き方を全集中で理解しよう! ~ガラッと変わった令和2年(2020年)の年末調整申告書~

年末調整の書き方を図解【令和2年(2020年)版】

 サラリーマンの年末の(秋の?)風物詩、「年末調整」が今年もやってきた。読者のお手元には生命保険会社から保険料控除の証明書が届いているはずだ。新型コロナウイルス感染症の影響で、多くの人が例年と異なる1年となったであろう2020年。年収が減少した人は年末調整で税金がたくさん戻ってくる可能性がある。SNSでは毎年、「面倒くさい」「書き方が分からん」「ハガキ(控除証明書)が見つからない」「期限過ぎた」などネガティブなコメントが多いが、年々増えているのが「ウェブになって簡単」「ウェブ申請になって、前年のデータを引き継いでるのが素敵すぎる」など、年末調整が社内システムに組み込まれて楽になったというコメントだ。全てのサラリーマンが「年末調整はスマホで簡単」と言える時代は少し先なので、この記事では「書き方が分からん」を解決、「期限過ぎた」ときの対応策、面倒な生命保険料控除を超簡単に計算するツールの紹介など、年末調整の書き方を図解で詳しく説明しよう。「年末調整って意味不明」は、この記事を読めば「お、し、ま、い、DEATH!」。

「INTERNET Watch」ではこのほかにも、サラリーマンと個人事業主がぜひ読んでおきたい税金に関する記事を多数掲載しています。まとめページ『サラリーマンと個人事業主の税金の話』よりご参照ください。


1. そもそも年末調整とは

 サラリーマンは毎月の給与明細を見ると、所得税と住民税が天引きされているはずだ。所得税は「令和2年分 源泉徴収税額表」により毎月の給与の額から算出され“みなし金額”がその月に納税されている。12月の給与額が決まると年収が確定。そこから給与所得控除、配偶者控除、扶養控除、生命保険料控除などが差し引かれ、最終的な納税額が決まる仕組みだ。このため12月の給料日前に年末調整の申告書を提出する必要がある。

給与から天引きされる所得税はいくらか?
「令和2年分 源泉徴収税額表」で社会保険料等控除後の給与が30万円の場合、独身(扶養親族0人)なら、その月は所得税8420円が天引きされる

 ちなみに、この結果が住民票を置く市区町村に送られ住民税の額が決定、翌年6月から翌々年5月まで天引きされている。そのため新入社員の人は2年目の6月から住民税の天引きが始まる。

所得税と住民税はいつ納入するのか?
所得税は毎月納税、住民税は翌年納税する

 年末調整の申告書の記入に際し、「所得」を計算する必要がある。簡単にサラリーマンの所得税の計算方法を説明しておこう。

 計算式は下の図のとおり。1行目の左が年収(給与の収入金額)。その右の給与所得控除は一定式で決まっていて、差し引いたのが右側の所得(給与所得)と呼ばれるもの。2行目は、その所得から配偶者控除、扶養控除、生命保険料控除など各種所得控除が引かれ、課税所得が算出される。課税所得に、それに応じた税率を掛けると納税額が決まる。

 2行目の各種所得控除は人により異なる。「専業主婦の奥さんがいる」「大学生の子がいる」「生命保険に加入している」など、差し引かれる(控除される)金額が多くなると納税額が減る仕組みだ。家族構成や生命保険などを年末調整で記入することは税金を減らす作業だと理解しよう。

「収入金額(年収)」「給与所得」「課税所得」の関係と「所得税額」の計算式
サラリーマンの所得税の計算式

 控除額の算出には、扶養する配偶者の所得や子どもの年齢、支払っている生命保険の内容と金額を知る必要がある。それにより正確な納税額を年末に調整するのが年末調整だ。一般的に、毎月天引きされる“みなし金額”がやや多めで、年末調整により12月の所得税は少なくなり(あるいは還付され)、少し手取り金額が多くなる傾向がある。今年、新型コロナウイルス感染症の影響で年収が減った人は、年末調整により12月は例年以上に手取りが多くなるだろう。

 年末調整はかなり“面倒くさい”作業だが、もし起業して自分で確定申告をすると、数日間の作業が強いられる。“倍返し”どころではなく、年末調整の10倍以上、もしかすると100倍くらい面倒くさい作業をしなければならない。加えて、税の知識も必要となる。税理士に依頼すると費用が発生する。会社では、税の知識や労力の大半は総務や経理の人が補ってくれる。面倒くささが100分の1になるのは管理部門のお陰。「退職してから知る総務・経理のありがたみ」。督促されても感謝の気持ちを持っていただきたい。

2. 令和2年(2020年)分の年末調整のポイント

 平成29年(2017年)の年末調整の申告書は2枚。一昨年の平成30年(2018年)から1枚増えて3枚。そして今年、令和2年(2020年)は枚数はそのままだが、昨年とはガラッと申告書のフォーマットが変更された。今回の変更は、基礎控除(および給与所得控除)が改正されたことによる。

 ここ数年、申告書が何度も変更される理由は、サラリーマンの増税が進んでいるからだ。「エッそうなの?」とサラリーマン時代の筆者は言ったと思う。日本のサラリーマンは税金の知識に乏しい人が多い。筆者もその1人だった。20年ほどサラリーマンを経験して起業したが、年末調整の意味を知ったのは起業してからだ。サラリーマン時代は「何のために年末調整をしてるんだ」くらいに思っていた。

 税の知識に乏しいサラリーマンに(多くの日本人に?)気付かれないように、高額所得者からジワジワと巧妙に増税を進める過程で税の仕組みの複雑化が進んでいる。それにともなって年末調整の申告書は枚数が増え、記入も難しくなっている。

今年の主な変更点:申告書のフォーマットが大幅変更

 今年は3枚の申告書のうちの1枚が大幅に変更された。昨年の「令和元年分 給与所得者の配偶者控除等申告書」が、今年は「令和2年分 給与所得者の基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」と、ウルトラスーパーアホみたいに長い名称となった。サラリーマン時代、加湿器に「キリー・ポッター」、空気清浄機に「エアフォース・ファン」、静音パーツに「駆動静か」など、真剣にお馬鹿なネーミングを考えていた筆者は、ド直球な申告書名にある意味脱帽だ。

「令和元年分 給与所得者配偶者控除申告書」と「令和2年分 給与所得者の基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」の違い
「令和2年分 給与所得者の基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」は、名称もフォーマットも大幅に変更された

 残りの2枚は、「令和2年分 給与所得者の保険料控除申告書」はほぼ変更なし、「令和3年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」は少しだけ変更されている。

「令和元年分 給与所得者の保険料控除申告書」と「令和2年分 給与所得者の保険料控除申告書」の違い
「令和2年分 給与所得者の保険料控除申告書」はほぼ変更なし
「令和2年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」と「令和3年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の違い
「令和3年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」は少し変更されている


年末調整の電子化:国税庁が「年調ソフト」を無償提供

 2020年10月から国税庁が無償提供する「年末調整控除申告書作成用ソフトウェア」、通称「年調ソフト」のダウンロードが可能となった。今年の年末調整の大きな話題だ……ったはずだが、あまり知られていない。“年末調整の電子化“と聞いて、「安倍政権から管政権になり、デジタル庁が早速」と思われる人もいそうだが、これは以前から進められていて、昨年の記事でも「来年(令和2年)の年末調整から生命保険などの控除証明書の電子データによる提供が行われ、年末調整の電子化に向けた施策が実施されるらしい」と紹介している。

 早速ダウンロードして、「スマホで確定申告」の記事のようにレビューをしようかと思ったが、まだ機が熟していないようだ。

 実際に年調ソフトを利用するには、企業側も社員側も準備が必要で、普及するにはそれなりの年数がかかりそうな感じだ。興味がある人は国税庁の「年末調整控除申告書作成用ソフトウェアダウンロード」でWindows版/Mac版のソフトウェアをダウンロードできる。操作マニュアル(Windows版/Mac版/スマートフォン版)も用意されている。

 参考程度に……操作マニュアル(Windows版/Mac版のPDF)は114ページ、スマートフォン版に至っては130ページの豪華マニュアルが用意されている。「これを読む時間があれば、手書きで年末調整が完成するんじゃね」と思わなくもないが、気合いが入った力作であることは間違いない。

国税庁「年末調整ソフト」のマニュアル表紙
操作マニュアルの表紙。パソコン版は114ページ。スマホ版は130ページの力作だ


国税庁の「年調ソフト」は普及するのか?

 年末調整の電子化はメリットが大きい。年末調整の記入項目は名前、生年月日、生命保険料など毎年同じ内容を記入することが多い。電子化が進めば、一度入力した項目は翌年以降は入力不要となり、あっと言う間に完了する。日本中のサラリーマンが、平均30分の手書き作業を3分で終わらせれば大きな生産性の向上だ。

 年調ソフトが普及して欲しいと願う反面、国が主導してもなかなか普及しないものもある。マイナンバーカード(個人番号カード)は2016年(平成28年)1月に交付が開始され、まもなく5年となる。2020年10月1日時点で普及率は20.5%。やっと普及してきた雰囲気だ。

 というのも、その前身である住基カード(住民基本台帳カード)は2003年(平成15年)8月に交付が開始され、2015年(平成27年)12月で発行を終了。12年で普及率は5.6%にとどまり、1兆円をドブに捨てたと揶揄されたりもした。

 マイナンバーカードと関係の深いe-Tax(国税電子申告・納税システム)は2004年(平成16年)に全国で運用開始。こちらは16年経って、やっと普及してきた感じがする。

 e-Taxと少し名前が似ているETC(似てない?)は2001年(平成13年)11月30日に有料道路での一般利用が開始され、2005年(平成17年)10月に利用率が50.3%と、4年経たず5割超え。2009年(平成21年)5月に80.1%と、あっと言う間に普及し、現在は92%ほどで推移している。当時を振り返ると、1万円を超える車載器を買っても、すぐに元が取れるメリット=割引があった。

 国主導のものは、普及促進のために巨額な広告費が費やされている。その一部を利用者に還元すると普及速度が上がるような気がする。「年末調整の電子化をしたら○万円の税額控除」なんて大盤振る舞いはないと思うが、年調ソフトが早く普及することを期待したい。


3. 申告書の種類と提出期限


年末調整の申告書は3枚

 お手元に配布されている年末調整の申告書は以下の3枚だ。

  1. 令和2年分 給与所得者の基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書
  2. 令和2年分 給与所得者の保険料控除申告書
  3. 令和3年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書

 それぞれの申告書の内容と裏面に記載されている提出期限をまとめた表を見ていただこう。

年末調整の3枚の申告書の内容および提出期限のまとめ

 各申告書の内容は表のとおりで、それぞれの詳細は後述する書き方の項で説明しよう。

 表に記載された提出期限は、申告書の裏に明記されているものだ。「令和2年分 給与所得者の基礎控除申告書 兼 ……」は12月の給料日の前日。「令和3年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」は来年1月の給料日の前日と明記されている。どういうこと? 会社から「今週中に提出」「11月末までに提出」などと言われている人がほとんどだろう。

 傾向として社員数の多い企業は早めで11月前半だったり、社員数が少ない企業は遅めで12月になってから提出することもある。大企業はシステム化が進んでいるので、徐々に手書きの年末調整は減っているようだが、手書きが主流だったころの作業を想像して欲しい。

 提出された年末調整に書かれた家族構成、誕生日などが間違っていないか確認。添付された生命保険の証明書を見て、新制度・旧制度を確認し、控除額を1円単位まで検算。1人分の確認作業を5分とすると1000人で5000分=83時間、担当者が1人ならば確認作業に10日ほどかかることになる。

 仮に給与が月末締め翌25日支払いだとすると、11月末で残業代も確定し、ボーナス査定も決まっていれば個々の社員の年収が決まる。年末調整から算出した各種控除に社会保険、源泉徴収(納税済みの所得税)を加味して所得税額が決まり、差額を調整して12月25日支払いの給与で精算することになる。

 提出した方(社員)より提出された方(総務・経理)が大変なのだ。社員数・担当者数によるが、社員数の多い企業は膨大な作業量となるため、提出期限が早めに設定されてきた。もし1000人が給料日の前日に提出したら……給料日に正しい額の給与を振り込むことは不可能だろう。

提出期限を過ぎてしまったら……自分で確定申告するしかないのか?

 業務が多忙で、一身上の都合で、単にズボラで、会社が定めた提出期限を過ぎたらどうするか? 自分で確定申告をしてもよいが、1日でも早く総務・経理の担当の人に頭を下げて受け取ってもらおう。優先順位は「令和2年分 給与所得者の基礎控除申告書 兼 ……」と「令和2年分 給与所得者の保険料控除申告書」。この2枚がないと納税額が確定しない。「令和3年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」は来年の給与から源泉徴収する額を決めるための申告書なので、12月の給料日を過ぎても大丈夫だが、また頭を下げに行くのも辛いし、誠意が感じられないので3枚セットにして提出したい。繰り返しとなるが“感謝の気持ちを持って”臨んでいただきたい。

「手書きよりキーボード」という人は、申告書の入力用ファイル(PDF)を活用しよう

 筆者は手書きが嫌い、というか苦手なので、送り状、封書など可能な限りキーボード入力している。そういう人は、年末調整の申告書の入力用ファイル(PDF)をダウンロードしていただきたい。会社が入力用ファイルの利用を認めてくれるかは要相談だと思われるが、名前や住所などコピー&ペーストができる部分もあるし、毎年同じ記入内容は翌年コピペできるので効率アップが可能だ。お勤めの会社の年末調整システム化が期待できない状況なら、少しでも楽ができるように入力用ファイルを活用していただきたい。

「令和2年分 給与所得者の基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」入力用PDFファイル


4. 3枚の申告書それぞれの書き方【図解で詳しく説明】

 年末調整の3枚の申告書のうち、2枚は昨年とほとんど変わっていない。多くの人が記入する部分は同じと考えてよい。大リニューアルした申告書は、超名前の長い「令和2年分 給与所得者の基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」だ。多くの人が記入時に苦戦しそうなので、まずは「令和2年分 給与所得者の基礎控除申告書 兼 ……(長い)」から見ていこう。

「令和2年分 給与所得者の基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」の書き方

 名前が長い理由は、その中身をド直球に並べたからで、「基礎控除申告書」「配偶者控除等申告書」「所得金額調整控除申告書」の3つの申告書が1枚に収められている。大きく分類すると3つだが、記入作業で見ると6つのブロックに分けられる。

「令和2年分 給与所得者の基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」で記入する6つのブロック
「令和2年分 給与所得者の基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」は6つのブロックに分けられる

 上段は会社名や自分の氏名、住所などを記入する欄。この申告書の主役は中段の4ブロックで、左側が自分の所得と基礎控除、右側は上から順に配偶者の情報、配偶者の所得、配偶者控除となっている。下段は令和2年から新設された「所得金額調整控除」だ。

 新しいフォーマットと「収入金額」「所得金額」の文字に、多くの人が「収入金額? 所得金額? どう違うの? どいうこと?」と頭を悩ませるだろう。主役部分の記入の流れは図のとおりだ。

「令和2年分 給与所得者の基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」記入の流れ
記入の流れ

 ザックリと説明しよう。①に年収を記入する。年収から所得を計算する。ここが今年の年末調整の天王山なので、計算方法はあとで説明しよう。②に所得を記入。大半の人は900万円以下となるので、③の「基礎控除の額」は48万円と記入。④の判定にAと記入する。

 ⑤に配偶者の年収を記入する。パート勤めであれば103万円以下の人が多いはずだ。⑥に55万円を引いた額を記入する。⑤が103万円なら⑥は48万円となる。判定は「48万円以下かつ年齢70歳未満」となる人が多いはずだ。⑦に判定結果を記入し、縦軸の区分Iが「A」、横軸の区分IIが「②」なら金額は38万円。下段の適用が「配偶者控除」なので、右下上段の⑧「配偶者控除の額」の蘭に38万円と記入する。

「所得金額」を算出する方法

 所得金額は、収入金額=年収から給与所得控除を引いた額となる。要するに、「年収」と「給与所得控除」というイマイチよく理解できないものが分かれば、引き算をするだけだ。

収入金額(=年収)-給与所得控除=所得金額

 まずは「年収」。この時点で厳密に年収を算出するのは難しい。年末調整の提出期限が早い大手企業の社員は、提出後に11月、12月の給与とボーナスをもらう人が多い。給与は大きな変動はないだろうが、今年の冬のボーナスは減額される人が少なくない。12月のボーナスが確定してから年末調整を提出すれば、より正確な申告になると思うが、申告内容も増税増税の連発で複雑化しているので企業が早めの提出を求めるのも仕方ないのだろう。

 比較的年収が安定している人は昨年分の源泉徴収票を見るのが手っ取り早い。源泉徴収票の左上「支払金額」が年収だ。次は毎月の給与明細から支給額を合計する方法だが手間がかかる。加えて残業代などが毎月変動する人はこの方法でも正確な年収を算出するのは難しいだろう。

源泉徴収票の「支払金額」が「収入金額」(年収)となる
源泉徴収票の「支払金額」が年収となる。右横の466万円は令和元年の所得。税制が改正されたので、同じ年収でも令和2年の所得は476万円となる

 結論は「適当でいいじゃね」となる。先ほどの流れで書いたように、日本人サラリーマンの9割以上は年間の所得は900万円以下だ。890万円でも400万円でも基礎控除額の額は48万円、判定はAだ。なので、昨年の年収が600万円で、今年は少し減ったかなという人は580万円とか、増えた人は640万円とかゆるく考えるのが幸せだと思う。

 次の、年収から「所得金額」を計算するのが微妙に面倒くさい。長い名称の申告書の裏に、収入金額から所得金額を計算する方法が記載されている。

「収入金額」から「所得金額」を計算するための表
申告書の裏に記載された、「収入金額」から「所得金額」を計算するための表

 試しに計算してみよう。年収が650万円の場合、所得は476万円となる。先ほどの源泉徴収票は年収の右横に記載された所得が466万円と、同じ年収でも10万円の差異がある。これは令和2年から給与所得控除が税制改正された影響だ。うかつに前年(旧税制)の源泉徴収票を書き写さないように注意したい。

表の下から3行目に該当するので
650万円÷4=162万5000円
162万5000円×3.2-44万円=476万円

 この表の計算式を考えた人は頭が良いなあと思う。ちなみに年収を650万3520円で計算すると

650万3520円÷4=162万5880円 → 千円未満切り捨てで162万5000円
162万5000円×3.2-44万円=476万円

と、同じ476万円となる。「同じじゃん」。

 計算が面倒な人には「令和2年分の年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」(PDF)の利用をお勧めしたい。

 PDFを開くと表が表示される。給与等の金額=年収。給与所得控除後の給与等の金額=所得なので、年収を見つけて、その右側の金額が所得となる。

「令和2年分の年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」の見方
給与等の金額=年収。給与所得控除後の給与等の金額=所得

 先ほどの計算で年収が650万と650万3520円が同じ所得になった理由はこの表だ。パソコンなどなかった時代、計算が大変だったので、この速算表で年収から所得を算出していた。簡便化するため、年収は4000円刻みとなっている。計算式はこの表と同じ結果になるように4で割って1000円未満を切り捨てる工程を入れている。

 余談だが、計算式は大昔から引き継がれる速算表に合うように11段階に細かく分けた式が書かれている。しかし900万円を超えるのは最後の1行だけで、それ以外の10行、年収が850万円未満の人は絶対に所得が900万円を超えない。計算式を書くより「基礎控除額の額に48万円、判定はAと記入して下さい」とすれば、日本中のサラリーマンが無駄な計算をしなくて済むはずだ。

 配偶者の年収から所得を算出する方法も同じだ。裏面の表に書かれているように161万9000円未満であれば55万円を引くと所得となる。計算するもよし、速算表から探すもよし、自分が楽な方法を選択していただきたい。

 ここまでできれば、判定を照らし合わせると「配偶者(特別)控除」の額が分かるので記入しよう。

「令和2年分 給与所得者の基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」の記入例
「令和2年分 給与所得者の基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」の記入例

令和2年から新設された「所得金額調整控除」

 最下段は今年、令和2年(2020年)から新設された「所得金額調整控除」だ。申告書の左側上段の「~記載に当たっての注意~」を読むと、「給与の収入金額が850万円以下である場合……所得金額調整控除の適用を受けることはできません。」ということで年収が850万円以下の人はスルーしよう。

 年収が850万円を超え、自分自身、配偶者、扶養親族に特別障害者がいる人、平成10年1月2日以降に生まれた23歳未満の子がいる人は、この「所得金額調整控除」が受けられるので記入しよう。

 この控除で興味深いのは、旦那さんも奥さんも年収が850万円を超える場合、旦那さんも奥さんも控除が受けられることだ。国税庁の「所得金額調整控除」の記載をそのまま引用すると、「この控除は、扶養控除と異なり、同一生計内のいずれか一方のみの所得者に適用するという制限がありません。したがって、例えば、夫婦ともに給与等の収入金額が850万円を超えており、夫婦の間に1人の年齢23歳未満の扶養親族である子がいるような場合には、その夫婦双方が、この控除の適用を受けることができます。」

「令和2年分 給与所得者の保険料控除申告書」の書き方

 次は「令和2年分 給与所得者の保険料控除申告書」だ。この申告書は昨年とほぼ同じだ。生命保険や地震保険の保険料を記入して控除額を算出する。生命保険は一度契約するとそのまま継続する人が多い。昨年記入した申告書のコピーを持っている人は保険契約の変更がなければそれを見ながら記入すると楽だ。当然、今年書いた申告書はコピーを取るか、スマホで撮影しておこう。

 この申告書は5つのブロックに分かれている。上段は会社名や自分の氏名、住所などを記入する欄。下段の左側、大きなエリアが生命保険。右側は地震保険、社会保険、確定拠出年金などを記入する欄が縦に並んでいる。

「令和2年分 給与所得者の保険料控除申告書」で記入する5つのブロック
「令和2年分 給与所得者の保険料控除申告書」は5つのブロックに分かれている

 最上段のブロックは会社名や自分の氏名、住所など記入する欄となっている。おそらく左端の所轄税務署や会社名、法人番号、会社の住所は会社が記入してくれるか、配布時にゴム印などが押されてるだろう。実際には氏名と住所を記入して捺印すれば終了だ。

主役は「生命保険」、新旧制度あわせて計5分類

 国税庁の統計によると、生命保険は8割ほどの人が控除を受けているので、多くの人が記入することになる。この申告書の主役だ。まずは手元に生命保険会社などから送られてきた控除証明書を用意しよう。

保険会社から送られてきた「生命保険料控除証明書」はがきの例
保険会社から送られてきた「生命保険料控除証明書」を用意しよう

 生命保険の控除は、平成23年(2011年)以前に契約した保険が「旧制度」、平成24年(2012年)以降に契約した保険が「新制度」となっている。さらに旧制度は「一般生命保険」(医療保険を含む)と「個人年金保険」の2種類、新制度は「一般生命保険」「個人年金保険」に「介護医療保険」を加えた3種類で、新旧あわせて5種類に分類されている。

生命保険料控除の計5つの分類
生命保険料控除は「旧制度」「新制度」があり、旧制度は「一般生命保険」「個人年金保険」の2つ、新制度は「一般生命保険」「介護医療保険」「個人年金保険」の3つに分かれている

 いつ生命保険に加入したかを覚えている人は少ないだろう。「えーっと、長男が生まれたのが2012年だから平成24年で保険に入ったのは……」と記憶をたどる必要はない。手元にある控除証明書に適用制度が旧制度か新制度か、一般(生命保険)用、介護医療用、個人年金用などが記載されているので、それを見ながら記入しよう。この証明書は提出時に添付する必要があるので、記入を終えても捨てたりしてはいけない。

生命保険料控除証明書に記載された分類の例
生命保険料控除証明書には「旧制度」「新制度」「一般」「介護医療」などの分類が記載されている

「生命保険料控除」の計算

 加入している生命保険の1年間の支払額から「生命保険料控除」の額を算出しよう。無駄や間違いを避けるため、記入を始める前に計算式を確認しておこう。申告書の最下段に「計算式I(新保険料等用)」「計算式II(旧保険料等用)」が用意されている。

 新制度の保険料の合計額が2万円以下なら、合計額がそのまま控除額となる。例えば1万9872円なら計算は不要で1万9872円となる。8万1円以上なら控除額は一律4万円となる。これも計算不要だ。複数の保険に加入しているときは、8万1円以上の保険が1つあれば上限額を超えるので、他の保険は記入不要だ。もし9万円、3万円、8万円の保険があったら9万円の保険だけ記入し、控除額は4万円となる。サラリーマン時代の筆者はこのことに気付くのに十数年かかった。生命保険を2つ、長女と長男の学資保険を毎年全部記入していた。

新制度の保険料の控除額の計算方法
「計算式I(新保険料等用)」

 新制度の保険の支払額が7万8216円の場合、式に当てはめると控除額は3万9554円となる。チョット面倒な計算だ。

7万8216円×1/4+2万円=3万9554円

 旧制度の保険料は合計額が2万5000円以下なら、合計額がそのまま控除額となる。10万1円以上なら控除額は一律5万円となる。

旧制度の保険料の控除額の計算方法
「計算式II(旧保険料等用)」


保険会社の「生命保険料控除申告サポートツール」を利用しよう

 端数のある保険料で計算が面倒な人は、生命保険会社のサポートツールを利用しよう。「生命保険料控除 サポートツール」で検索すると、多くの保険会社の計算サポートサイトを見つけることができる。自分が加入している保険会社でなくても結果は同じなので、積極的に利用していただきたい。

 では、「令和2年分 給与所得者の保険料控除申告書」を実際に記入していこう。

「生命保険料控除」の記入

 前述のとおり、生命保険料控除は納税者の8割が控除を受けているので、記入例を2つ用意した。

記入例1:旧制度の生命保険のみの場合

 1つめはシンプルに旧制度の生命保険(+旧制度の医療保険)に加入している例だ。この例は死亡保険などの一般生命保険(旧制度)に12万円、入院給付金などの医療保険(旧制度)に9万円を支払っている。旧制度では介護医療保険の分類がないので、医療保険は一般生命保険と同じ分類となっている。

「給与所得者の保険料控除申告書」における旧制度の生命保険の記入例
旧制度の生命保険の記入例

 矢印に沿って「(a)のうち旧保険料等の金額の合計額」をB欄に21万円(12万円+9万円)と記入し、下段の「計算式II(旧保険料等用)」に照らし合わせ控除額の5万円を算出し、その後も矢印に沿って記入すれば完成となる。記入例では保険料の合計が10万円を超えているので、控除額は上限の5万円。計算式を見ると10万円以上は一律に5万円となっている。この記入例は生命保険だけで12万円なので、医療保険の8万円は記入する必要はない。サラリーマン時代の筆者はこの記入例のように10年以上無駄な労力を掛けていた。

記入例2:旧制度の一般生命保険+介護医療保険+旧制度の年金保険の場合

 2つめの記入例は保険がてんこ盛りだ。旧制度の一般生命保険に、新制度の介護医療保険と、旧制度の年金保険を加えている。内容も図も複雑になったので、旧制度の一般生命保険は青文字/青実線、新制度の介護医療保険は赤文字/赤点線、旧制度の年金保険は緑文字/緑実線となっている。

「給与所得者の保険料控除申告書」における旧制度・新制度の生命保険の記入例
旧制度の一般生命保険、新制度の介護医療保険、旧制度の年金保険の記入例

 一般の生命保険料は、先ほどの記入例と同じだ。青の実線矢印に沿って計算し、控除額は5万円(イ)となる。新制度の医療保険は、下段の介護医療保険料の欄に記入する。赤の点線矢印に沿って9万円の保険料を「計算式I(新保険料等用)」に照らし合わせ、控除額の4万円を(ロ)に記入する。

 旧制度の個人年金保険料は、記入例の緑の実線矢印に沿って計算すると、控除額は5万円(ハ)。一般生命保険料、介護医療保険料、個人年金保険料の控除額の合計は14万円となるが、上限が12万円なので合計の欄は12万円と記入しよう。

「地震保険料控除」の記入

 右側の上段、「地震保険料控除」も証明書を手元に用意しよう。保険会社の名称、保険の種類、保険期間など証明書を見ながら記入すれば完了だ。

「社会保険料控除」の記入

 地震保険の下の「社会保険料控除」の欄は、毎月の給与から天引きされている厚生年金、健康保険などは会社が把握しているので自分でこの欄に記入する必要はない。記入が必要なのは、年の途中で就職し、それまでプー太郎(就職活動)をしていて自分で国民年金、国民健康保険を支払っていた場合や、20歳を超えた大学生の子どもの国民年金を代わりに支払った場合はこの蘭に記入する。

「小規模企業共済等掛金控除」の記入

 下段の「小規模企業共済等掛金控除」のブロックも記入する人は少な目だ。近年、急増している個人型確定拠出年金(iDeCo)に加入している人はこのブロックに記入しよう。「iDeCo、何それ?」という人はスルーして、「令和2年分 給与所得者の保険料控除申告書」の記入は完了だ。

「小規模企業共済等掛金控除証明書」ハガキの例

 紹介した2つの記入例の全体を掲載しておくので、参考にしていただきたい。

「令和2年分 給与所得者の保険料控除申告書」の記入例1
記入例1
「令和2年分 給与所得者の保険料控除申告書」の記入例2
記入例2


「令和3年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の書き方

 最後の1枚は「令和3年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」だ。この申告書は、来年1月の給与から天引きされる所得税の税額を決めるための申告書だ。扶養家族などの申告に漏れがあると、毎月の所得税が増えるので漏れなく記入したい。

 この申告書は6つのブロックに分かれている。多くの人が該当するのは最上段の自分の情報、A 配偶者の情報、B 扶養親族(16歳以上)の情報、E 16歳未満の扶養親族の情報だ。ザックリ言うと「養う家族の人数」を申告して、人数が多ければ税金を減らしましょう、ということになる。

「令和3年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」で記入する6つのブロック
「令和3年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」は6つのブロックに分かれている

 最上段は自分の氏名、個人番号(マイナンバー)、生年月日、世帯主の氏名と続柄、住所、配偶者の有無を記入し、捺印する。個人番号の記入は会社のルール(過去に報告してれば記入不要など)に沿って、必要があれば記入する。自分が世帯主の場合は自分の名前を記入し、続柄は本人。父親が世帯主の場合は父親の氏名を記入し、続柄は父または親と記入する。

「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」における自分の情報の記入例
自分の情報を記入する

 居住地と住民登録の住所が同じなら住んでいる住所を書けばよいが、独身の人で住民票は居住地ではなく実家という場合は会社のルールを確認しよう。この申告書の情報をもとに住民税が課税されるが、住んでいる市区町村にデータが送られた際、住民登録がないと役所から会社に確認が行われる。会社のルールが住民票の住所を記載となっていれば実家の住所、欄外に住民票の住所を記載し、住所欄は現住所を記載というルールならそれに従って記入する。独身で親を扶養していない人は、この欄を記入したらこの申告書の記入は完了だ。

 おそらく、左側の給与の支払者の名称(=会社名)、法人番号、住所などは会社が記入するか、配布時にゴム印が押されてるので自分で記入する必要はない。左端の所轄税務署も会社が記入。その下の市区町村は居住地に住民票があればその市区町村を記入。現住所と住民票が異なる場合、納税先は住民票が置かれた自治体だが、念のため会社と相談しよう。

「源泉控除対象配偶者」の記入

 ここからは扶養する親族を申告する。配偶者、子ども、親などの面倒を見ている人は漏れなく記載しよう。最初はA:配偶者の情報。配偶者とは旦那さんからみた奥さん、奥さんからみた旦那さんで、ここでは配偶者控除の対象を奥さんとして説明しよう。

 申告書には「A 源泉控除対象配偶者(注1)」と書かれていて、やや右下の注1には、よく分からないことが書いてある。これを日本語に翻訳すると

条件1:旦那の来年(令和3年)の所得が900万円(年収1095万円)以下
条件2:奥さんの来年の所得が95万円(年収150万円)以下

をクリアすれば配偶者控除の対象となる。自分が年収1095万円以下(=ほとんどのサラリーマン)で、パートの奥さんの年収が、従来どおり所得税が非課税となる103万円以下、住民税が非課税となる93万円~100万円以下(地域による)を続けているなら、深く考えずに記入しよう。

「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」における「源泉控除対象配偶者」の情報の記入例
「源泉控除対象配偶者」の情報の記入例

 記入欄の「令和3年中の所得の見積額」は、推定される年収から55万円を引いた額を記入する。年収100万円なら所得は45万円、年収150万円なら所得は95万円といった感じだ。奥さんが正社員でバリバリ働いていて、年収が350万円であれば控除の対象とならない。逆に旦那がコロナの影響で失業し、来年の年収が150万円以下になりそうなら、奥さんが配偶者控除を受けることで、奥さんの所得税を減らすことができる。

「控除対象扶養親族(16歳以上)」の記入

 B 扶養親族(16歳以上)は、控除対象となる扶養親族(子や親)を記入する。ここは年齢により控除額が異なるため少々複雑だ。まずは所得と年齢の条件を確認していこう。

 控除対象は令和3年の年末時点で16歳以上(平成18年1月1日以前生まれ)で、所得が48万円以下となる。例えば子どもがアルバイトをしている場合は、年収で103万円以下であれば、所得が48万円以下となり、控除対象となる。仮にバイト代が毎月6万円なら年収は6×12=72万円。72万円-55万円(令和2年以降の給与所得控除)=17万円が所得となり、控除対象ということだ。子に関して言えば、高校生、大学生といった制限はないので、就職浪人やリストラなどで所得が48万円以下(年収103万円以下)であれば25歳でも40歳でも控除の対象となる。

 親が公的年金を受給している場合は年齢により控除額が異なる。65歳未満の公的年金控除額は60万円、65歳以上の公的年金控除額は110万円。よって65歳未満なら公的年金が108万円以下であれば所得が48万円以下となり控除対象、65歳以上なら公的年金が158万円以下であれば所得が48万円以下となり控除対象だ。

 母親が遺族年金を受給している場合は注意したい。遺族年金は課税対象とならないので、サラリーマンだった父親が亡くなって母親が遺族年金を受給している場合は、158万円を超えても扶養控除の対象となる。

 記入欄の真ん中あたりに「□同居老親等」「□その他」「□特定扶養親族」と書かれたチェック欄がある。その上の項目欄には「同人扶養親族(昭27.1.1以前生)」「特定扶養親族(平11.1.2生~平15.1.1生)と生年月日の縛りが記載されている。ここ重要だ。

 扶養親族には控除額の優遇が受けられる年齢がある。令和3年の年末時点で昭和27年1月1日以前に生まれた人は70歳以上、平成11年1月2日から平成15年1月1日に生まれた人は19歳から22歳だ。この2つの年齢の扶養親族は控除額が増える(=税金が減る)。図を見ていただこう。

扶養親族の年齢と所得税の扶養控除額の図
扶養親族の年齢と控除額

 70歳以上は老人扶養親族で、同居の場合は58万円、それ以外は48万円と控除額の加算がある。特定扶養親族の対象となる19歳から22歳はほぼ大学生の年齢で、控除額が25万円加算され63万円となっている。これらの年齢の扶養親族がいると控除額がグッと増え、納税額が減るということだ。

 特定扶養親族は「大学生の子がいるとお金がかかるから税金を安くしましょう」という趣旨だが、年齢が条件なので特定扶養親族は大学生である必要はない。浪人生でもフリーターでも生計を一として、年間の所得が48万円以下(年収103万円以下)であれば特定扶養親族となる。来春から子どもが大学生だ、という人で注意したいのは早生まれ(平成15年1月2日~4月1日生まれ)の子だ。令和3年の年末は18歳なので優遇を受けることはできない。

 70歳以上の親を扶養している場合、同居なら「同居老親等」に、離れた実家に仕送りしていたり老人ホームに住んでいるなど別居であれば「その他」にチェックを付ける。同じく「特定扶養親族」にあたる子がいる場合は該当する欄にチェックを付けよう。

「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」における「控除対象扶養親族(16歳以上)」の情報の記入例
「控除対象扶養親族(16歳以上)」の情報の記入例

「16歳未満の扶養親族」の情報

 下段のE 16歳未満の扶養親族のブロックは、住民税の控除を受けるための事項だ。16歳未満の子どもは、所得税の控除の対象から外されているが、住民税は控除対象なので、令和3年の年末に16歳未満=平成18年1月2日以後に生まれた子どもがいる人はこのブロックに記入しよう。

「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」における「16歳未満の扶養親族」の情報の記入例
「16歳未満の扶養親族」の情報の記入例

 ほとんどの人はこれで年末調整の3枚の申告書の記入は終了となる。「令和3年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の記入例の全体はこちら。

「令和3年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の記入例
「令和3年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の全体の記入例


5. 大増税時代がやってくる

 筆者は税金に関する記事で「今後ますます増税が続く」と繰り返し書いてきた。東日本大震災による所得税の増税は25年間で、期間の半分も消化していない。新型コロナウイルス感染症の影響による補正予算はすでに東日本大震災を上回っていて、まだまだ先が見えない。

 定額給付金の10万円も持続化給付金の100万円・200万円も財源は税金で、途方もない税金をわれわれはいつか負担することになる。筆者は国民が税に関心を持つことは、国が良くなることだと思っている。16歳未満の扶養親族に記載した子が、この先80年くらい日本で幸せに暮らせるように、少しだけ税に関心を持っていただきたい。

「INTERNET Watch」ではこのほかにも、サラリーマンと個人事業主がぜひ読んでおきたい税金に関する記事を多数掲載しています。まとめページ『サラリーマンと個人事業主の税金の話』よりご参照ください。